日々、多くの作品が上演されている小劇場演劇。どの作品を観たらいいのか迷ってしまうという方も多いのではないでしょうか。今回は、演劇を愛するAudience編集部が独断と偏見で、1月に上演している作品の中からおすすめ作品を3本セレクトしてみました!
月刊「根本宗子」15周年は本気のバー公演で幕開け!『腑に落とす。』
19歳で劇作家・演出家として活動を開始し、今年15周年を迎える根本宗子さん。2021年に俳優活動は終了していましたが、2024年の1年間限定で俳優に復帰します!2012年から2015年にかけて月刊「根本宗子」では、四谷三丁目のバー「夢」にて14回もバーで公演を上演していました。今回、「久々にバー公演のようなお客様との距離感で新作をやるところから15周年をはじめたい」と音楽実験室 新世界での上演となっています。
音楽実験室 新世界は、かつて「自由劇場」として数々の名作を生み出し、多くの若者を感動させた、歴史ある空間です。当時からの根本さんのファンにとっては“アツい”公演になること間違いありません!
新作『腑に落とす。』は、根本さんと小日向星一さんの2人芝居です。小日向さんは、月刊「根本宗子」第17号『今、出来る、精一杯。』、第18号『もっとも大いなる愛へ』、昨年上演された『宝飾時計』にも出演。根本さんも「大信頼」という小日向さんとのタッグに注目です。
本作品ではドリンク交換は終演後のみとなっており、終演後に会場内で飲むことが可能です。持ち帰りできるペットボトルも用意されています。当日券情報は、日々の公式Xでの投稿をご確認ください。
月刊「根本宗子」15周年記念興行第一弾「~15年目で本気のバー公演もっかいやります!~新作『腑に落とす。』」は、音楽実験室 新世界にて、1月9日(火)~ 1月19日(金)に上演中です。詳細は公式HPをご確認ください。
詩森ろばの代表作『アンネの日』待望の再演!
serial numberは劇作家・演出家の詩森ろばさんと俳優の田島亮さんからなる演劇ユニットです。座付作家の詩森さんの脚本による創作劇や既成戯曲の上演を行っており、すべての演出も詩森さんが担っています。現代とリンクするテーマを、綿密な取材で骨太なドラマに変換した作劇が魅力です。
詩森さんは、2013年に『国語の時間』の演出で読売演劇大賞優秀作品賞を受賞。2016年には、『残花』『insider』で紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。2018年、『アトムが来た日』で岸田國士戯曲賞最終候補に残りました。また、2020年に映画『新聞記者』の脚本で、日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞しています。
『アンネの日』は生理用品の女性開発者たちが、社内コンペ「大人の自由研究」のために、身体に良い自然素材のナプキンを作ろうと奮闘する物語です。実際の開発現場等に取材しながら、初潮から始まり閉経まで、女性ならではの辛さや喜びを、全員女性出演者で描いた初演は大きな評判を呼びました。芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した、詩森ろばさんの代表作です。
今回はさらにブラッシュアップしての再演ということで、公式Xからは、脚本自体がブラッシュアップされている様子が伺えます。(https://x.com/shimorix/status/1722070635789361601?s=20)
アンカル『昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ』で、ソジン役を演じた瑞生桜子さんが再演から参加されるということで、注目です!Serialnumber10『アンネの日』は、下北沢ザ・スズナリにて1月12日(金)〜1月21日(日)に上演。詳細は公式HPをご確認ください。
対話の困難さに向き合う シニフィエ『ひとえに』
シニフィエは、東京を拠点に活動する劇作家・小野晃太朗さんのユニット。小野さんは、演劇行為や現象を人間の社会的性質に重ねて戯曲に組み込んでいます。これまでに、群集心理や性暴力、力や持たざるものに関するアプローチを行ってきました。2020年には、『ねー』で第19回AAF戯曲賞の大賞を受賞しています。
思恵と友達のとまりは、映画や文学を通して議論を深める勉強会に参加し、自分の言葉を手に入れようとしていましたが、ある事件を境に衝突してしまいます。悪意とともに受けたダメージはその人を蝕み、状況は刻一刻と悪化していき…。
小野さんは本作の上演にあたり、「分断のこと、届かない人に言葉を届けること、大同団結の困難さ、論理に対して軽視されがちな感情、手段に徹するような献身、過去の語り直し、諦念との対峙、ひどい目に遭った人が誰かを傷つけてしまうこと。執筆の途上、様々なことが脳裏を過りました。情理を尽くした対話の道は可能なのでしょうか。手段としての暴力を前に懊悩する人々の、対抗の物語です」とコメントしました。
関連企画として、各分野で活躍されている方々の本戯曲に対する感想文が公開されています。また、戯曲の一部も公開されており、観劇がより楽しみになります。
https://signifietext.tumblr.com/post/737509366145630208/hitoenikansoubun
2024年5月末で閉館してしまうこまばアゴラ劇場。閉館してしまう前に足を運んでみてはいかがでしょうか。シニフィエ『ひとえに』は、こまばアゴラ劇場にて1月13日 (土) 〜 1月21日 (日)に上演です。詳細は公式HPをご確認ください。
皆さんの注目作品も是非教えてください!