2024年6月から再び帝国劇場で幕を開ける『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』。2023年に引き続き本作に出演するサティーン役の望海風斗さん、平原綾香さん、クリスチャン役の井上芳雄さん、甲斐翔真さんが製作発表記者会見に登場しました。

牛のように高揚する?!独特の魅力を持った『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』

写真提供:東宝演劇部

2023年に帝国劇場で日本初演を迎え、2024年もサティーンとクリスチャンを再び演じる4人。望海風斗さんは初演を「夢だったんじゃないかなと思うくらい、非現実的な毎日だった」と振り返ります。

平原綾香さんは2023年が歌手デビュー20周年だったため、歌手活動との両立が大変だったそう。「今年はミュージカルデビュー10周年の年だから、お漬物で言ったら古漬けくらい染み込ませたサティーンでお送りしたい」と独特な意気込みを語り、井上芳雄さんは「なんで漬物で言ったのかは分からないけど、気持ちは伝わりました」と笑顔で突っ込みます。

大の『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』好きを公言する甲斐翔真さんは、「待ちに待った」初演を存分に楽しみ、稽古中も海外のスタッフたちに「Fun!」と常に言い続けていたそう。上演後の2023年秋にはフランス・パリに赴き、モンマルトルからの眺めを体感したり、「ムーランルージュ」に訪れたりしてクリスチャンの役作りを更に深められてきたと言います。

井上芳雄さんは2023年上演当時、『ラグタイム』の稽古と並行しての本番だったため記憶にないほどの忙しさだったことに触れながら、「熱い夏だったなという感覚はありますね。個人的にはあんな若い役をよく俺やっていたなと(笑)。舞台上でキラキラ感を出そうとしている分、終わった瞬間の疲れがすごかったです。甲斐くんはもう溢れ出るものがありますけど、自前のやつが(笑)。だから今年残っているのかなという一抹の不安はあります」と吐露します。

望海さんが「でも本番が始まったらすごいじゃないですか」と言うと、「仕事ですから」と言いつつも、「いくら疲れていたとしても、始まるとどんどんテンションが上がっていくので、そこは作品の独特の魅力がありますよね」と井上さん。

これには「分かる!」と深くお3方も共感し、平原さんは「とにかく赤いでしょ。牛の気持ちが分かるの。高揚してうおーってなっちゃう!」とコメント。これには井上さんが「自分が赤いの着ているのに牛の気持ちになっちゃうの?!」と突っ込みつつ、出演者も自ずと高揚する作品であることがうかがえました。

Wキャストで「気持ちの出し方が違う」サティーン&クリスチャン

本作はサティーン役もクリスチャン役もWキャストということで、それぞれの組み合わせによる違いを問われると、平原さんは「Crazy Rolling」のシーンにて、「芳雄さんは何をしても話し合ったら許してくれそうな感じがして、寂しさも感じる。だけど翔真くんは怒りが強くて、もう銃で撃たれそう。だから同じ楽曲でもヒートアップする場所が違う」とWキャストならではの感覚を語ります。

これに対して望海さんはお二人のクリスチャンの印象がまた異なるようで、「私とあーやで(サティーンが)変わったらクリスチャンの動きも変わるのかなと思った」と言います。「リハーサルシーンで、芳雄さんはもうストレートに気持ちを出すから、周りに気づかれちゃう、どうにかしなきゃと思う突っ走るようなクリスチャン。翔真くんのクリスチャンは、全身からにじませてくるタイプで、気持ちの出し方が違うから止め方が違った」と語りました。

甲斐さんは「Come What May」への入り方に違いを感じると言います。「ちょっと喧嘩のようになって、仲直りして曲に入っていくまでのストロークが、全然違う」のだとか。

井上さんは「1番好きな違いは、2幕開いた時に舞台の両端でいるところ。真ん中の踊りがメインなんですけど、両端でいるところの演出はほとんど付いていないので、時間の埋め方が日によってもキャストによっても違う」と語ります。平原さんも「芳雄くんが1000回サティーンのことを見ているとしたら、翔真くんは5回くらい」と違いを感じているそう。甲斐さんのクリスチャンは自分が作った作品が出来上がっていく様子を楽しむ時間が長く、井上さんは「あそこは休憩時間だと思っているから(笑)」とおどけつつ、サティーンとの青春を楽しむ時間にしているそうです。

日本初演では圧倒的な非日常空間の演出や、17名によるアーティストによる訳詞などが話題を呼び、一大ムーブメントとなった『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』。井上芳雄さんは「去年ものすごい盛り上がりで、今年もきっと盛り上がってくださると思うんですけれど、きっとこの先も日本でも何十年、再演が続いていく作品になっていくと思います。なっていけるように、再演って重要だと思うんです。定着するかどうか。1回目、2回目があって、じゃあ3回目4回目があるかというのは今年にかかっていると思うので、既に特別な作品だとは思うのですが、より確実に、“やっぱり凄いね”とお客さんに思ってもらえるようにしたい」と意気込みを語りました。

『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』は2024年6月20日から8月7日まで東京・帝国劇場、9月14日から28日まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演が行われます。公式HPはこちら

Yurika

激しいダンスも魅力の本作では、2幕冒頭でクリスチャンが飛ぶシーンを「クリスチャン・トス」と呼ばれているそうで、「あれ辞めたい。今年の目標はあれを辞めること」と大変さを語る井上さん。とは言いつつも、「安全に、かつ高く遠くに」と意気込むと、サティーン役のお二人から「おっ!」と期待の眼差しが注がれていました。