ミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)、シルヴェスター・リーヴァイ(音楽・編曲)のゴールデンコンビによる大ヒットミュージカル『モーツァルト!』が、約3年ぶりに帝国劇場で上演。本年で同役3シーズン目となる古川雄大さんと、本作に初登場かつ帝劇初主演となる京本大我さんが、タイトルロールであるヴォルフガング・モーツァルト役に挑みます。新ビジュアルの初解禁と、お二人の強い決意が語られた製作発表記者会見の様子をお届けします。
作品を愛する2人が創り上げる、新たなヴォルフガング
古川雄大さん、京本大我さんが登壇したミュージカル『モーツァルト!』製作発表記者会見。ヴォルフガングの美しく力強い表情が大きく映し出された本公演の新ビジュアルが初解禁されました。
2023年には『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』で初の帝劇単独主演を果たし、舞台のみならず映像作品にも次々と出演。本年で同役3シーズン目となる古川雄大さんは、『モーツァルト!』について「色々なミュージカルをやらせていただいている中で、特に大好きな作品の1つ」だと語ります。
「初めて参加させていただいいたときはとにかくあがいて、あがいて、何とかやりきったヴォルフガングで。2回目に参加させていただいたときは、少し技術的にも余裕が出てきて、自分の中で掴んだものがあったんですけれども、色々な関係者の方から“初演の方が良かったよ”と声をいただきまして(笑)。お芝居ってすごく難しいなと思いながら、ヴォルフガングという役は、何か足りないものを目指して追い求めている姿みたいなものが反映されて役に活きたのかなっていうのをすごく感じておりまして。なので、今回は自分で課題を与えて、攻めるポイントをたくさん作って、とにかく自分を追い込んでいきたい」と意気込みます。
具体的に追い込む箇所を聞かれると、「フェイクなど歌の攻めるポイント」についてプランを練っており、「今までにないものになるとは思うんですけれど、それをやる実力がまだついていないのでどう持っていこうかと悩んでいるところ」と、音楽面での挑戦を中心に考えていることを明かしました。
一方京本大我さんは、「約10年前に初めて『エリザベート』で本格的にミュージカルに挑戦させていただいて、難しさ過酷さを知りながらも、同時にミュージカルの面白さ奥深さをとても感じまして。色々な作品を勉強してみようと思った時に出会ったのが『モーツァルト!』でした」と作品との出会いを語り、「いつか『モーツァルト!』を務められるくらいミュージカルを頑張ってみたいと、ぼんやりと胸の奥で抱いていた」と憧れであり目標の作品になっていたことを明かします。
Wキャストである古川雄大さんとは、『エリザベート』で共に皇太子ルドルフ役を務め、2019年にはトート役を古川さん、ルドルフ役を京本さんで共演をされた間柄。京本さんは「一緒にヴォルフガングをやってくださるということで凄く心強いです」と笑顔を見せ、「僕にとってお兄ちゃんみたいな、10年前からたくさん甘えてたくさん引っ張っていただいて支えてもらっていたので、ちょっとは大人らしくなったところを見せたいなと思いつつも、まだまだ多分頼ってしまうところもあると思う」と頼りにされていることを語られました。
古川さんも『エリザベート』での関係性を踏まえて「彼の魅力を分かっているので、きっと最高のヴォルフガングを作ってくれるんじゃないかなと思いますし、稽古場でもたくさん刺激をいただきたい」と京本さんの新たなヴォルフガングに期待を寄せます。
ミュージカル『モーツァルト!』を深く愛するお二人に本作の魅力について伺ってみると、古川さんは「幼い頃は才能と向き合うだけで良かったのが、成長するにつれて色々な人間関係が生まれてくる。モーツァルトという天才の生涯を描きながらも、身近に共感できることが描かれている」ということ、また「アマデという存在や、大きなピアノの上で走り回るなど、演劇的な表現をしている」こと、そして「楽曲の素晴らしさ」を挙げられました。
「ヴォルフガングの歌はきついんですけれど、でもヴォルフガングってそういう人生なんですよね。音楽が自然と導いてくれることも含めて、芸術性の高いところが魅力なんじゃないかと思う」と分析されます。
京本さんは「まだ客席からやDVDでしか拝見できていないので、ステージ上からヴォルフガングとして見る景色が楽しみ」としつつ、「ヴォルフガングの自由に輝きを求めて生き続けたいという無邪気さや、熱さが素敵だなと思いつつ、繊細さもある」とキャラクターの魅力を語ります。そして「何よりも楽曲がキャッチーで、難易度が高いことも聞いていて分かるんですけれど、難しい歌だからこそ聞いていて圧巻ですし、これからは僕が務めなければならないので、皆さんにヴォルフガングとしての熱い想いを歌に乗せて届けたい」と改めて決意と共に語られました。
役作りについて古川さんは「ヴォルフガングは天才で、天才が故に音楽以外は全くダメな人で…直感で何も考えずに行動してしまう人なので、そこが彼の魅力でもありダメなところでもあって。父との関係性やコロレド大司教との対立など、それぞれの役との関係性をしっかり描いていきたい」と語りつつ、「役としてだけでなく古川雄大自身を追い込んでいくことで、初演のような切羽詰まった感じを出したい。怖いんですけれど、甘えずにとことん追い込む」と強い想いを吐露されます。
京本さんも「僕はもう自分を追い殺すつもりで。本当に壊れる寸前ぐらいまで痛めつけながらやらないと皆さんに感じていただけることはないだろうなと思うので、共演者の皆さん、スタッフの皆さんに支えてもらいながらも、自立してしっかり自分の足でこの役をステージ上で演じたい」と力強い意気込みを語られました。
またヴォルフガングについては「幼少期に“奇跡の子”と呼ばれるくらいの天才で。天才の役を僕みたいな特別秀でていない人間がコツコツ積み上げて作り上げる面白さって絶対あると思うので、身の回りにはグループ(SixTONES)にも天才だなと思うメンバーがいるんですけれども、そういうキャラクターを日々勉強しながら色々なことを吸収しながら、ヴォルフガングという役を少しでも奥行きをつけながらやっていけたらいいなと思っています」とコメント。
天才だと思うメンバーについてはジェシーさんの名前を挙げ、「才能の塊というか、フィーリングでわーっとやることがかっこよかったり、音楽的なレベルの高さもそうですけど。もちろん努力もたくさんしているからなんですけれども、横にいて、これは元々持ち合わせてものだなというのを見ると、僕もより頑張ろうと、いい意味で切磋琢磨しながら日々やれているので。モーツァルトみたいな天才ってなると、ジェシーがぱっと浮かびました」と語られます。
ご自身は「天才ではない」と謙遜された京本さんですが、古川さんは「彼は天才じゃないって言っているけど、天才なんです。謙虚なんです。ルドルフでも、俺があんなに苦労したナンバーを軽々やっちゃう。だから(本作での)アドバイスはありません。刺激をたくさん頂きたい」と言い、お二人のリスペクトし合う強い絆と、本作に臨む強い決意がひしひしと感じられる会見となりました。
ミュージカル『モーツァルト!』は8月19日(月)から9月29日(日)まで帝国劇場で上演後、10月8日(火)から27日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、11月4日(月)から30日(土)まで福岡・博多座にて公演が行われます。公式HPはこちら
ヴォルフガング・モーツァルト役を日本で務めるのは、京本大我さんで5人目。古川さんは「長く上演されている作品なのに、まだ5人目なんですよね。僕含め先輩方が席を譲らなかったからだと思うんですけれども(笑)、それだけ魅力のある役なんです」と俳優から見ても惹かれる作品・役柄であることが語られました。