かの有名な『オペラ座の怪人』の後日譚である、ミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』。日本でも2回にわたって上演された人気作品が、2025年1月に再び東京で開幕します。物語や音楽はもちろん、実力派揃いのキャストも見逃せないポイントです。

『オペラ座の怪人』の作者自らが紡ぐ後日譚

ミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』は、半世紀にわたって数々の名作を生み出してきた作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーによる作品。ロイド=ウェバー自身最大のヒット作である、ミュージカル『オペラ座の怪人』の続編となっています。

2010年にロンドンで初演され、何度か手直しされた後、2011年にはオーストラリアで上演。世界で高く評価された本作は、2014年に日本の日生劇場で初演を迎えました。日本ミュージカル界を代表するキャストとロイド=ウェバーの美しい音楽、豪華絢爛な舞台セットが話題を呼び、全日程で完売を記録。好評を博したことから、2019年に再演されました。

そして来たる2025年1月、6年ぶりに『ラブ・ネバー・ダイ』が帰ってきます。日本版は3回とも日生劇場で上演されているのですが、なんと1988年の『オペラ座の怪人』日本初演時も同じ劇場だったとのこと。ファントムにとって、日生劇場が日本の“オペラ座”なのかもしれませんね。

ちなみに、今回の公演では特別な座席が用意されています。物語に登場する見世物小屋の名前にちなんだ「ファンタズマシート」は、1公演につき27席のみ。特典として謎の興行主・Mister Yからの招待状や、舞台美術をモチーフとした非売品のハンカチーフがもらえるので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

舞台はパリ・オペラ座からニューヨークへ

ファントムがオペラ座から失踪して10年。

オペラ座のバレエ教師だったマダム・ジリーとその娘メグ・ジリーに助けられ、ファントムはニューヨークへと逃れていました。そして、コニー・アイランドという遊園地に身を隠しながらも、見世物小屋「ファンタズマ」の経営で成功を収めます。

一方、クリスティーヌはラウルと結婚して息子を授かり、“伝説のソプラニスト”としてオペラ座で活躍していました。公私ともに順調に見えるクリスティーヌでしたが、実はラウルはギャンブルで多額の借金を抱えていたのです。

この事実を知ったファントムは、クリスティーヌを「ファンタズマ」に主演させるよう、謎の興行主を装ってラウルに誘いかけます。出演料を借金返済に充てるべく、クリスティーヌはラウルと息子のグスタフと共にニューヨークへ。

ファントムとクリスティーヌ、2人の運命が再び交錯するとき、何が起こるのか。決して滅びぬ愛の行方は、劇場にて。

新キャストが加わった豪華カンパニーでよりパワーアップ!

2025年版では、前回から引き続き出演するキャストと新たに加わったキャストによる、豪華なカンパニーが見どころのひとつ。

ファントムとクリスティーヌは、どの組み合わせも気になるトリプルキャストでの公演です。

ファントムを演じるのは、市村正親さん、石丸幹二さん、橋本さとしさん。市村さんは、2014年の初演から3回連続で同役を務めます。『オペラ座の怪人』でも日本初演からファントムを演じてきた市村さんこそ、まさに日本の“ファントム”なのでは。また、2019年より続投する石丸さんは、劇団四季『オペラ座の怪人』のラウル役でデビューされていて、こちらも深い縁を感じます。さらに今回初参加の橋本さんは、『カムフロムアウェイ』『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』などの舞台から映像作品に至るまで、幅広く活動する実力派。きっと2人とは異なるファントムが現れることでしょう。

ヒロインのクリスティーヌ役は、平原綾香さん、笹本玲奈さん、真彩希帆さんです。実は平原さんにとって、2014年の本作初演が初めて出演したミュージカルでした。自身の原点といえる作品で、再びクリスティーヌを演じます。一方で、笹本さんは2014年版のメグ・ジリーから役替わりで出演。25年以上に及ぶキャリアを武器に、どんなクリスティーヌ像を表現するのか注目です。また、今回、元宝塚歌劇団雪組のトップ娘役である真彩さんが初参加。2021年の退団後、『モーツァルト!』をはじめとした話題作に出演されている活躍ぶりに、期待が高まります。

クリスティーヌの夫である ラウル・シャニュイ子爵は、田代万里生さんと加藤和樹さんのダブルキャスト。田代さんが3回目となるのに対し、加藤さんは1回目とあって、それぞれ違ったラウルを表現してくれるのではないでしょうか。

そして、星風まどかさんと小南満佑子さんが、クリスティーヌのかつての親友メグ・ジリー役をダブルキャストで務めます。ファントムとクリスティーヌ双方に関わるキャラクターであるだけに、初参加となる2人の演技が楽しみです。

また、メグ・ジリーの母であるマダム・ジリー役は、香寿たつきさんと春野寿美礼さん。初演から同役を演じ続けている香寿さんも、初めて参加する春野さんも、確かな歌唱力と演技力でファントムの物語を支えてくれるでしょう。

ミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』は、2025年1月17日(金)から2月24日(月・祝)まで東京の日生劇場にて上演されます。チケットの一般発売は9月25日(水)より開始。詳細については、公式サイトをご確認ください。

もこ

『オペラ座の怪人』を観た方は、「ファントムはどうなったんだろう?」と考えたことがあるのではないでしょうか。その答えをまさか原作者が出してくれているなんて!筆者も、物語の結末が気になって仕方ありません。