2025年3月7日より東京建物Brillia HALLにて上演されるミュージカル『手紙』。東野圭吾さんの小説が原作となる今作は、日本初のオリジナルミュージカルとして2016年に初演され、2025年で4度目の上演となります。演出家の藤田俊太郎さんが独自の演出を考えたという2025年版ミュージカル『手紙』の魅力について解説します。
東野圭吾の人気小説が4度目のミュージカル化!強盗殺人犯の弟となった加害者家族の苦悩
ミュージカル『手紙』の原作となる東野圭吾さんの同名小説は、2003年に発行されて以来、現在も多くの方に愛されている名作です。これまでも幾度となくドラマや映画などで映像化されてきました。ミュージカルとしては、2016年に日本初のオリジナル作品として藤田俊太郎さんが演出を手がけ初演を迎えています。その後2017年、2022年と再演され、今回4度目の上演が決定しました。
<あらすじ>
母子家庭で育った兄・武島剛志と弟・直貴。母親を亡くしてからは剛志が働き、高校生の直貴と2人きりで生活していました。ある日剛志は直貴の大学進学のお金を手に入れるため空き巣に入り、強盗殺人を犯してしまいます。逮捕された剛志が刑務所に服役することになり、直貴は突然孤独に。さらに兄が殺人を犯したことで加害者家族となった直貴は、周囲からの偏見や差別に苦しみます。獄中の剛志から月に一度送られてくる手紙。強盗殺人犯の兄の存在によって夢、仕事、恋愛と大切なものを次々に失ってしまった直貴は大きな決断を下すのでした。
加害者家族の視点から描かれた今作。自分のために罪を犯してしまった唯一の家族である兄への想いと、その兄の存在によって自分や新しい家族までが苦しむ状況に葛藤する直貴の心情が深く刺さります。
2022年版に出演の村井良大・spiが兄弟役を続投
兄弟役を務めるのは、ミュージカル『この世界の片隅に』の周作役が記憶に新しい村井良大さんと、ミュージカル『RENT』『ジャージー・ボーイズ』などに出演したspiさん。お二人とも2022年のミュージカル『手紙』で兄弟役を演じ、今作でも続投となります。
弟の直貴に想いを寄せる由実子役には、2020年にミュージカル『VIOLET』に出演したシンガーソングライターの優河さん。
直貴のバンド仲間役に少年忍者の鈴木悠仁さん、青木滉平さん、稲葉通陽さん。その他にも青野紗穂さん、染谷洸太さん、遠藤瑠美子さん、五十嵐可絵さん、川口竜也さんとミュージカル界で活躍し、過去にミュージカル『手紙』に出演経験のあるキャストが揃いました。
2025年独自の演出も!初演から演出を手がける藤田俊太郎
2016年の初演から今作の演出を手がけているのは藤田俊太郎さん。読売演劇大賞や松尾芸能賞など多くの賞を受賞しており、2017年には『ジャージー・ボーイズ』と『手紙2017』の演出で第42回菊田一夫演劇賞を受賞しています。
藤田さんは今作の上演にあたり「オリジナルミュージカル『手紙』はいつも私の心の大切な場所に寄り添い続けている作品です。また、演出家としてこれからも時間をかけて創り続けていきたいと決意している演劇作品でもあります。この素晴らしい演目を再び演出するチャンスをいただけたことに大きな幸せを感じています。」とコメント。
今作ではオープニングとエンディングで2025年版独自の演出を考え、過去の上演にはなかった役も登場するとのこと。原作に込められたメッセージを大切にしつつ進化を続ける藤田さんの演出に注目です。
ミュージカル『手紙』は2025年3月7日(金)~23日(日)まで東京建物Brillia HALLにて上演。その後3月29日(土)~31日(月)まで大阪のSkyシアターMBS、4月5日(土)~6日(日)まで岡山芸術創造劇場ハレノワ大劇場にて上演されます。公演の詳細については公式サイトをご覧ください。
東野圭吾さんの小説の中でもファンが選ぶ好きな作品の上位に入る『手紙』。文章と読者の想像力から生まれる感動や衝撃が、歌と芝居で表現された時に私達観客にどう伝わってくるのか。藤田さんの演出と合わせて期待が膨らみます。