10月9日(水)、現・帝国劇場で最後の『DREAM BOYS』が開幕しました。昨年に引き続き主演に渡辺翔太さん(Snow Man)、チャンプ役に森本慎太郎さん(SixTONES)を迎え、初演以来20周年を迎えます。本作のゲネプロと初日開幕記念会見の様子をお届けします。
終わらない夢を描こう−。フライングなど華やかなパフォーマンスで魅了
2004年以来、大切に演じ継がれてきた『DREAM BOYS』。フライングやボクシングシーン、ロープパフォーマンス、壁フライングなど観る者を魅了する多彩な演出と共に、ボクシングを通して絆を深めた少年たちを描いた作品です。
今年は主人公のショウタを渡辺翔太さん、ボクシングで頂点を極めたチャンプことシンタロウを森本慎太郎さんが務め、総勢21名の少年忍者のメンバー、そして紫吹淳さん、鳳蘭さんが出演します。(少年忍者のうち9名が初参加)
昨年まで7 MEN 侍の皆さんが務めていたチャンプチームの役柄が、少年忍者の皆さん(織山尚大さん、深田竜生さん、檜山光成さん、元木湧さん、安嶋秀生さん、川﨑星輝さん)に変わったことで、チャンプのシンタロウはよりジムの若い青年たちを率いるお兄さん的存在に。優しい眼差しで彼らを見守ると共に、チャンプとして第一線で輝くが故に、1人で秘密を抱える孤独なリーダーとしての姿が印象的です。
渡辺翔太さんは繊細な演技はそのままに、彼の弟分であるコウキ(川﨑皇輝さん)とは昨年より更に自然体で接しており、2人が長年兄弟のように過ごしてきた日々を想像させます。シンタロウと向き合う場面では、かつて途中で放棄したことに対するシンタロウの怒りを何も言わずにグッと受け止め、1人で全てを成し遂げようとするショウタの強さが見えました。
アドリブシーンでは昨年同様に「演出家の堂本光一くんになんとかなりませんかねと今年も言ったところ、ダメだとすぐ言われました」と苦手意識を明かしつつも、メディア向けに「集英社が全然拍手しないんだなこれが」と冗談めいて言ったり、「良いところ使ってください」とアピールしたりと余裕が生まれているようです。
物語の鍵を握るコウキ役を務める川﨑皇輝さんは、昨年のあどけない少年像より少し声のトーンを落とし、落ち着きのある人物像に変化。2024年3月にはシアタークリエ『町田くんの世界』にて主演を務め、ますます演技力が磨かれていく川﨑さんは、コウキの繊細な心の揺れ動きを表現していました。
また大きな変化を感じたのは、紫吹淳さんが演じるマリアさん。昨年は鳳蘭さん演じるエマさんへの復讐心に取り憑かれ、ショウタが追い込まれていくのを高笑いしながら見ていたマリアさんでしたが、今年は過去の苦しみがまだ消えず、もがきながらも復讐を成し遂げようとする人物に。これによって“大人の身勝手な行動に少年たちが犠牲になる”というよりも、本作の登場人物1人1人が悩みを抱え、葛藤しながらも生きていく姿が丁寧に描かれているように感じました。
さらに本作の魅力と言えば、フライングやロープパフォーマンス、壁フライングなど息を呑む演出の数々。渡辺さん・森本さんともにフライングは2年目ということで軸が安定して客席をゆったりと見回しながら優雅に飛び、渡辺さんのロープパフォーマンスでは更に激しさを増しています。
少年忍者の皆さんが本作に全員で加わったことで、ダンスパフォーマンスとしての一体感もUP。グルーヴ感が増して物語でのアクセントになることはもちろん、オープニングとエンディングでも真っ白に光り輝くステージ全体の美しさ・まばゆさを感じました。
「果てなく続くこの道の上に 足あと残していく」。現・帝国劇場で最後の『DREAM BOYS』は、帝国劇場の歴史の中でも唯一無二の1作品に、そしてこれからも続いていく彼らと私たち観客の人生にとってもかけがえのない1作品になっていくことでしょう。
「最後にふさわしいキャストだなと思わせられるように」
初日開幕記念会見では、現・帝国劇場で最後の『DREAM BOYS』ということで、渡辺さんは「自分たちで閉じられるということは、ジュニアの頃を思い出すと本当に感慨深い経験だなと思いますし、観に来るお客さんは『DREAM BOYS』を見ながらも帝劇の劇場内を目に焼き付けて頂くと、また思い出になるんじゃないかなと思っています」とコメント。
森本さんは「最後ということで変に力を入れすぎると、空回りしたり、よく分からない動きをしてみんなに迷惑をかけたりすると思うので、最後ということは認識しつつもあまり意識せず、自分が今できる最大限をぶつけて、怪我のないように千穐楽まで走り抜けたい」と意気込みます。
少年忍者を代表して川﨑さんが「節目となる今年の『DREAM BOYS』に、例年ではメンバーから数名で出演させて頂いていたところなのですが、今年は21人全員で出演させて頂けるということで嬉しく思っております。グループ全員の力を合わせて、翔太くんと慎太郎くんの『DREAM BOYS』を華やかに力強く盛り上げていきたいなと思っております」とコメントすると、「僕たちよりしっかりしたコメントを後輩が言うって…」と渡辺さんが苦笑い。これに鳳蘭さんが声をあげて笑うと、「ちょっと鳳さん笑いすぎです」と渡辺さんがつっこみ、抜群のチームワークが窺えました。
紫吹淳さんは「宝塚を辞めて役者としてのスタートは帝国劇場からだったので、その時の自分に思いを馳せながら、また沢山の諸先輩方の歴史を紡いできて今があるというそんな今に、立ち会えることに感謝をしつつ、皆さんと元気に駆け抜けたいなと思っております」と感慨深げに思いを語りました。
鳳蘭さんは渡辺さん、森本さん、少年忍者の皆さんの稽古場でのダンスと歌の進化に驚いたそう。「本当に稽古場で感動して、振付の先生に、ものすごくみんな上手になったねって言っていて。舞台で1ヶ月毎日やると凄く身につくということを、あなたたちを見てつくづく思いました。これからも舞台を頑張ってくださいね」と愛情のこもったメッセージを贈られ、渡辺さんも「ありがとうございます」としっかりと受け止めているご様子でした。
『DREAM BOYS』の製作発表会見では、渡辺さん森本さんが堂本光一さんに楽屋暖簾をリクエストし、堂本さんは「はよ言ってくれへん?(笑)もしかしたら間に合わないかもしれない」と仰っていましたが、先日無事に届いたとのこと。お二人のメンバーカラーである青と緑の暖簾がそれぞれ贈られたそうで、渡辺さんは「光一くんが僕らの世代のグループのメンバーカラーを把握していたのかなって。もし知っていてくれても嬉しいし、知らなくて調べてくれたのだとしたらそれも嬉しいし。気遣いにグッときました」と喜びを語ります。
森本さんは堂本光一さんの演出について「目線の位置や立ち方の細かいところまで、本番ギリギリまで教えてくださるので、去年と一味違った『DREAM BOYS』になっている感じが凄くしています」と語ります。渡辺さんは「去年はいかに光一くんに言って頂いた演出を踏襲できるかということにかなり重きを置いていたんですけれど、今年はそれを経ているので、プラス自分の個性、自分らしさをつけられたら」と2年目だからこその挑戦があることを語りました。
少年忍者の織山尚大さんはチャンプチームとして本作に新たに加わったことについて、「今年は織山・深田・檜山・安嶋・星輝の5人で…」と語り始めると元木湧さんが「ちょっと待てーい!忘れてる忘れてる!」と大声でツッコミ。
間髪を入れない流れは打ち合わせなしだったようですが、森本さんは「パッケージあるんだと思って。さすが」と感心し、渡辺さんは「こういう時にでも爪痕を残してやろうというジュニア特有のギラギラした感じは、ちょっと自分忘れていたなと一瞬思ってしまって。自分も年齢を重ねているんだなとしみじみ思ってしまったのと、こういうのを忘れちゃいけないなと反省しました」と真面目に語り、元木さんは「恥ずかしくなってくる!」と顔を赤らめていました。
最後に森本さんから「SixTONESでは今、髙地と京本も舞台に立っているので、メンバーに負けないように森本慎太郎らしく『DREAM BOYS』で輝いてパフォーマンスして、少年忍者のエネルギッシュさ、パワフルさにも負けないように、最後の帝国劇場というステージを楽しみながら駆け抜けていきます」と意気込みを。
そして渡辺さんから「帝国劇場が一旦クローズするタイミングに自分たちを選んで頂けたことを光栄に思いながら、キャスティングしてくださったスタッフの方やファンの皆さんに、最後にふさわしいキャストだなと思わせられるような、エネルギーをぶつけて、千穐楽まで駆け抜けて、楽しんでやっていけたらいいなというふうに思っています」と語られ、会見が締め括られました。
『DREAM BOYS』は10月9日(水)から29日(火)まで帝国劇場にて上演されます。公式HPはこちら
渡辺さんが稽古に参加できない時は森本さんが「光一くんのバックショットの写真をつけて」変更点などを連絡していたのだとか。帝国劇場の機構を目一杯使った『DREAM BOYS』、観劇される方はぜひ余すことなく楽しんでください。