2025年1月〜2月に日生劇場にて上演されるミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』。アンドリュー・ロイド=ウェバーが音楽を手がけた『オペラ座の怪人』の後日譚です。本作の製作発表に市村正親さん、石丸幹二さん、橋本さとしさん、平原綾香さん、笹本玲奈さん、真彩希帆さんらが登場し、歌唱披露と製作発表会見を行いました。

「君の歌をもう一度」「愛は死なず」など4曲を披露

製作発表には市村正親さん、石丸幹二さん、橋本さとしさん、平原綾香さん、笹本玲奈さん、真彩希帆さん、加藤和樹さん、星風まどかさん、小南満佑子さん、春野寿美礼さんが登壇しました。(田代万里生さん、香寿たつきさんはスケジュールの都合で欠席)

製作発表では本作を代表する4曲が披露されました。まずファントム役:市村正親さん、石丸幹二さんによる「君の歌をもう一度」。ファントムがオペラ座から失踪して10年、膨らみ続けるクリスティーヌへの想いを歌う大ナンバーです。

クリスティーヌを失った喪失感を市村さんは繊細に、石丸さんは力強く歌い上げ、一気に本作の世界観へと惹きこみます。

2曲目は「懐かしい友よ」。クリスティーヌ役:真彩希帆さん、ラウル・シャニュイ子爵役:加藤和樹さん、メグ・ジリー役:星風まどかさん・小南満佑子さん、マダム・ジリー役:春野寿美礼さんにて披露されました。

ファンタズマ(見世物小屋)の舞台裏で10年ぶりに再会したクリスティーヌ、ラウル、メグ・ジリー、マダム・ジリーが再会を懐かしみつつも、ファントムの影を感じ始めます。美しいメロディーから徐々に暗雲が立ちこめるナンバーです。真彩希帆さん演じるクリスティーヌには可憐さが感じられ、新たなクリスティーヌ像に期待が高まります。

3曲目は「負ければ地獄」。ファントム役:橋本さとしさん、ラウル・シャニュイ子爵役:加藤和樹さんにて披露されました。クリスティーヌを巡って2人の男が対立する姿が描かれ、お2人のピリッとした緊張感、静かなる闘志が感じられる歌唱となりました。

4曲目は「愛は死なず」。ラストシーンでクリスティーヌが歌い上げる大ナンバーで、平原綾香さん、笹本玲奈さんによって歌唱されました。

透明感があり、突き抜けるような歌声を響かせる笹本さんと、包み込むような声でオペラ調に歌い上げる平原さん。異なるアプローチながらそれぞれに美しく楽曲を魅せました。作中ではさらに感動的なナンバーとなることでしょう。

出演者たちの運命を引き寄せるミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』

製作発表会見では、「パリのオペラ座からニューヨークのコニー・アイランドに引っ越してきました」とお茶目に挨拶した市村正親さん。1988年に『オペラ座の怪人』日本初演でファントムを演じた市村さんは、『オペラ座の怪人』の10年後を描いた『ラブ・ネバー・ダイ』について「運命的な何かを感じていたところ、日本でも上演をやると聞いてファントム俳優としてはやらざるを得ないと(笑)。プレッシャーが凄かったです」と振り返ります。

歌唱披露の「愛は死なず」を後ろで聞かれていたそうで、「このミュージカルはファントムの想いが全体に漂っているのだなとしみじみと感じて、気が引き締められた思いです」と語りました。

石丸幹二さんは先週コニー・アイランドに訪れたそうで、「以前、寂れた雰囲気のコニー・アイランドにも行ったことがあったのですが、今回はとても綺麗になっていまして、ファントムがいた頃も賑やかだっただろうなと思い浮かべながら拝見して参りました。観覧車に乗ったんですけれども、スイングする観覧車で、上に行ってからぐわーっと揺れるんです。この恐怖をファントムに生かしたいと思います(笑)」とエピソードを明かしました。

また石丸さんは『オペラ座の怪人』にてラウル役を演じ、『ラブ・ネバー・ダイ』で2019年からファントムを演じており、「私も運命かなと感じていて、この運命というチャンスを活かして、ファントムに磨きをかけて皆様にお届けしたい」と意気込みました。

今回が『ラブ・ネバー・ダイ』初参加となる橋本さとしさんは「新人の橋本です。今まで取ったことがない新人賞を総なめにしたいと思います!」と気合十分で会場を沸かせます。

『ラブ・ネバー・ダイ』の初演を客席から観ていたという橋本さんは「ファントムの背中から始まって、背中から始まる作品ってなかなかないなと。その背中からもう既にかっこいいなと世界に巻き込まれました。このファントムという役は俳優誰もが憧れる役だなと思っていて、まさか自分がファントムを演じるとは思っていなかったので、その時に見た自分に“お前やってるぜ!ここまで来たかお前!”と言いたいですね。その時見た市村さんの背中を稽古場でも追いかけて、また石丸さんは同世代ながらなかなか共演がなく、本当に共演したかった方ですが(同役なので)絡みは一切なく…(笑)、よろしくお願いします!」とご挨拶。

そして「仮面の視界はどんな感じですか?汗は溜まりますか?」と先輩ファントムに質問する一幕も。「顔面に汗をかく方なので…顔だけ痩せ細っていくかもしれません」と心配されていましたが、市村さん、石丸さんとはまた違った魅力を持つファントムが見られそうです。

平原綾香さんは『ラブ・ネバー・ダイ』初演がミュージカル初出演作品であり、2010年には本作の日本盤におけるカバー歌唱を担当し、ロンドンでのワールドプレミアに出席。ワールドプレミアでは「オペラ歌手じゃないけれど良いですか?」と確認し「ポップスの歌唱で良いです」と言われたものの、いざ出席すると他の方々がオペラ歌手の方々ばかりだったそう。ただ本作の音楽の素晴らしさに感動し、日本初演を楽しみにしていたところ、ご自身がクリスティーヌを演じることに。「うまくいかなかったらホリプロさんのせいにしようと思って踏み出した(笑)」そうですが、「クリスティーヌやファントムの痛みに触れて、なんて素晴らしい作品に出させて頂いたんだろうと感謝の気持ちが溢れてきました」と振り返ります。

市村さんとのタッグも3度目となりますが、「3年前に父が亡くなったのですが、市村さんが気遣ってくださって、“俺がお父さんになるからな”って言ってくださって。クリスティーヌもファントムに父親のような憧れを持つ役なので、リアルに演じられるんじゃないかなと期待しちゃいました」とお2人のとても深い絆が語られました。

笹本玲奈さんは、初演でメグ・ジリーを演じ、今回はクリスティーヌ役に。「本当に幸せ」と喜びを表しながら、「私にとっては挑戦の役」と意気込みます。

初演ではメグ・ジリーの役作りのために平原さんが歌う「愛は死なず」を袖で毎回観ていたそうで、「クリスティーヌに嫉妬する気持ちを作っていかなければならないのに、あまりにも感動してしまった」と振り返ります。平原さんに「どうやったらそんな風に歌えるのか」と質問したところ、「YouTubeで独学で勉強したって仰ってびっくりして。元々の声帯の強さがあるでしょうけれども、その時に私には到底そこには到達できないなと思っていました」と語ります。平原さんは当時オペラのレッスンを受ける時間がなかったため、独学で勉強をされたのだそう。

また笹本さんが「初演当時、クリスティーヌの気持ちというのが理解できなくて。自分がやりたいというよりも女優としてそれぞれの役の気持ちを想像したり、自分ならどう演じるかを考えたりした時に、全く共感できなかったんです。これまで芯が強く、自分で何か発信したり、自分の意思で行動を起こしたりする強い女性を演じることが多かったので、そこが課題だなと思っていて」と語ると、平原さんも「私も最初はクリスティーヌの迷いがどうしてなのか分からなかったけれど、ふとクリスティーヌってこんな気持ちだったんだって気づいて涙が止まらなくなった時があって。玲奈ちゃんがこれからどうやってクリスティーヌ像を掴むのかが楽しみです」とコメントされました。

真彩希帆さんは「隣で胸熱な話を伺った後に何を話すべきか…」と平原さん笹本さんのお話に感動されながらも、「日本初演より前からずっと楽曲を何度も聞いていて、宝塚歌劇団でモーリー・イェストンの『ファントム』でクリスティーヌを演じていたので、いつか『オペラ座の怪人』のクリスティーヌにも触れてみたいと思っていた」とクリスティーヌ役への想いを語り、「この音とこの音が重なるとこんなハーモニーになるのか、と驚く楽曲で溢れていて、(トリプルキャストで)それぞれの声帯も出てくる雰囲気も違うので、どんなものになるのかワクワクすると共に緊張しています」と本作の音楽の美しさと難しさについても語りました。

加藤和樹さんは「素晴らしいファントム、クリスティーヌ、他のキャストの皆さんと作品を作り上げることができて嬉しく思います。足を引っ張らないように、田代万里生さんと共に、素敵なラウルを演じたいと思います」と意気込みを。

星風まどかさんは「たくさんのことを学ばせて頂ける日々がとても楽しみ」と笑顔で語り、小南満佑子さんは「初演からずっと拝見していて、幼い頃から大好きなアンドリュー・ロイド=ウェバーさんの作品に携われて感謝の気持ちでいっぱい」とコメントしました。

春野寿美礼さんは「先輩たちの背中を追いかけつつ、カンパニーの皆さんと共に感動をお伝えできる作品を目指し、尽力して参りたいと思います」と意気込みました。

ミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』は2025年1月17日(金)~2月24日(月・休)まで日生劇場にて上演されます。公式HPはこちら

撮影:蓮見徹

Yurika

本作に強い想いを持つ豪華キャストが集結し、新たな『ラブ・ネバー・ダイ』の世界が描かれるのが楽しみです。