堺雅人さん、古田新太さん、松重豊さん、上川隆也さん、阿部サダヲさん…映画やドラマを彩る名プレイヤー達の共通点は、“小劇場出身”ということ。しかし、そもそも小劇場ってどういう意味でしょう。ジャンル?劇場のサイズ?小劇場の歴史を踏まえて簡単にご紹介します。

01 小劇場は“新しい演劇”の拠点だった

小劇場の歴史は、明治時代にまで遡ります。明治時代以前の日本の舞台は、歌舞伎が主流。異なる舞台表現を求めて明治時代以降に誕生した新たなジャンルが「新派(歌舞伎を「旧派」として対をなす意味)」や「新劇」です。『金色夜叉』など当時の流行小説を題材にした「新派」を経て、戦前戦後の時期に翻訳劇を行う「新劇」へ。新劇は大きな人気を集め、文学座や俳優座といった今も続く老舗劇団がその代表格です。

一方で、定型化した表現への反発や反体制・学生運動の流れを受けて、60年代にさまざまな小劇団が誕生。彼らが拠点としていたのが小さな劇場※で、現在の小劇場演劇はその流れをくんでいます。そのため結果的に「小劇場=特定のジャンル」という関係性が出来上がったのです。

※新劇も規模からすると大劇場ではありませんが、一般的に別ジャンルとして扱われます。

02 注目のきっかけはエンタメ性の獲得

歴史的には一つの流れでつながっている小劇場ですが、上演する内容はさまざまな変遷をたどっています。

60年代には寺山修司さんや唐十郎さんが中心となり、見世物小屋的要素を取り入れた「アングラ(アンダーグラウンド)演劇」が誕生。

その後、つかこうへいさんや野田秀樹さん、鴻上尚史さんなど、言葉遊びや時間・空間を自在に変化させるといった、それまでになかったエンタメ性を取り入れた演劇が流行。80年代ごろからメディアに取り上げられることが増えてきました。

それに合わせて俳優たちも映像の世界に進出。近年では宮藤官九郎さんのように映像作品を手がける作家も増え、作品に小劇場の俳優を積極的に起用したことで多くの人に知られるようになったのです。

Shinpei

大劇場やテレビといった誰もが楽しめる作品とはまた違う、個性輝く作品が小劇場にはそろっています。駆け足のご紹介で、まだまだ語りつくせないこともあるのですが、小劇場に足を運ぶきっかけになっていただければ幸いです!