2022年に初演し、岸田國士戯曲賞を受賞した『ドードーが落下する』。今回は大胆に改訂し、劇団た組としては初となる再演が決定しました。初演からどのように変化して上演されるのでしょうか。
心のバランスを崩した友人に寄り添う若者たちの「青春失踪劇」
2022年に初演された『ドードーが落下する』は、統合失調症という病を抱えたお笑い芸人と、その周囲を囲む仲間たちを描いた物語で、脚本が評価され第67回岸田國士戯曲賞を受賞しました。今回の再演では、この受賞作を大幅に改訂し上演することとなりました。
前回から引き続き出演するのが、平原テツさん、金子岳憲さん、秋元龍太朗さん、今井隆文さん、中山求一郎さん、秋乃ゆにさん、安川まりさんの7人です。初演の時から脚本が大幅に書き換えられているそうで、金子さんは「僕の役は初演とは違う新たに書き加えられた賢という役だ。初演の時に演じていた山ちゃんと呼ばれる役は今回は出てこない。」と、今井さんは「届いた脚本を読んだ感想は、「再演じゃないっ!」でした。こんなに改訂してくるとは!」、秋乃さんは「改訂版ってなんなんだと思ってたら、全然違う本がきた!一緒なんだけど!」とコメントされるくらいの改訂度合いだそう。初演で出てきた人物が出てこなかったり、新たな人物が出てきたりと大きな変化があるそうなので、初演と比べてどこがどういうふうに書き換えられているのかがとても気になります。
そして今回、新キャストとして鈴木勝大さんと諫早幸作さんが加わります。お二人とも初演の舞台を観劇されていたそうで、鈴木さんは「客席で公演を楽しみつつも、普段からよく知る俳優のみんなが生き生きと楽しげにこの物語を演じている姿を見ているうちに、一緒に舞台上で同じ時間を過ごしたいなと思っていたことを覚えています。今回は、初演時から大幅に書き換わった今作で出演者の1人として自分も参加できることがとても嬉しく、これから稽古に入ることがすでに楽しみです」と、諫早さんは「初演を観ていた時、わからないのと、それに立ち向かう役者かっこいいなというのと、何で俺はあそこに立ってないんだろうっていう悔しさがありました。改訂版を読んで、やっぱりわかんなくて、面白くて、頑張ろうって思いました」とコメントされており、客席から観劇していた舞台に再演で出演できることの喜びを感じました。新キャストの2人が、新たなエッセンスとして加わることでどのような作品になるのか楽しみです。
<あらすじ>
芸人として活動する夏目は妻の家族からは相手にされていないが、相方の賢や友人達からは面白いと評価されている。ある日、夏目は自分だけに聞こえる声に気が付く。しばらくの間、声に従った夏目は病院で一人になってしまう。
新進気鋭の劇作家・演出家 加藤拓也 率いる“劇団た組”とは
劇団た組は2013年に結成された劇団で、主宰である加藤拓也さんが全作品の脚本・演出を務めています。劇団として毎年新作を上演するなど精力的に活動し続けています。また、2023年は台湾で『綿子はもつれる』を上演、今年はロンドンで上演された日英プロジェクト『One Small Step』を手掛けるなど、海外での上演にも取り組まれており、いま勢いのある劇団の一つではないでしょうか。近年は主宰である加藤さんが、外部のプロデュース作品で演出や脚本に携わり、第30回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞、ドラマや映画といった映像作品を手掛けられるなど、ジャンルを問わず活躍されています。
ますます注目を浴び、パワーアップし続ける加藤さん率いる“劇団た組”。その初めての再演となる『ドードーは落下する』はどのような作品になるのでしょうか。
『ドードーが落下する』は、2025年1月10日(金)〜19日(日)まで横浜・KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ、1月25日(土)、26日(日)に大阪・近鉄アート館、2月8日(土)、9日(日)に三重・三重県総合文化センター小ホール、2月15日(土)、16日(日)に茨城・水戸ACM劇場にて上演されます。詳しくはホームページをご覧ください。
待望の再演!なのにキャストの方々が再演じゃない!違う本が来た!と言っていて、そんな再演があるんだって思ったのが一番の感想です。初演を観た人も観てない人も、新鮮な気持ちで観劇できるんじゃないかなぁと思ってます。もし、初演が気になる方は本が販売されていますので、見比べてみるのも楽しいかもしれませんね!