2021年1月、コロナ禍によりコンサートバージョンでの上演を余儀なくされたミュージカル『イリュージョニスト』。4年の歳月を経た2025年3月、キャスト・スタッフはそのままに待望のフルバージョンが上演されます。

日英共同制作のオリジナルミュージカル、コロナ禍を経て再始動

ミュージカル『イリュージョニスト』は、日英合作による新作オリジナルミュージカルです。原作は、ピューリッツァー賞作家であるスティーヴン・ミルハウザーの短編小説『Eisenheim the Illusionist(幻影師、アイゼンハイム)』。2006年には、エドワード・ノートン主演の映画『幻影師アイゼンハイム』が公開されています。

ミュージカル化にあたっては、日本の梅田芸術劇場がイギリスのウエストエンドで活躍する演劇プロデューサーのマイケル・ハリソンとタッグを組み、約5年をかけて企画・制作しました。

もともと2021年1月に日本で世界初演を迎える予定だった本作。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、稽古の一時中断を余儀なくされます。その結果、本来の演出プランを実現するのは難しいとの判断から、内容を変更してコンサートバージョンで上演することに。日程も短縮され、3日間5公演で幕を閉じました。

コロナ禍でさまざまな制約を受ける中、クリエイティブチームとキャストがリモートで繋がり、思いをひとつに作り上げたコンサートバージョン。

それから4年経った2025年、幾多の危機に直面しながらも決して上演を諦めなかったカンパニーの熱意がついに実ります。キャスト・スタッフが再集結して挑む、世界初のフルバージョン公演をお見逃しなく。

<ストーリー>
舞台は19世紀末、ウィーン。栄華を極めたハプスブルク帝国の斜陽。
イリュージョニスト・アイゼンハイム(海宝直人)は、興行主ジーガ(濱田めぐみ)と共に世界中を巡業していた。
ウィーンでの公演中、偶然にもアイゼンハイムは幼い頃恋心を寄せ合った公爵令嬢、ソフィ(愛希れいか)と再会する。
だが、ソフィはオーストリア皇太子レオポルド(成河)の婚約者となっていた。傾国の危機を救うために、過激な思想に傾倒する皇太子に対し、ソフィは心の内では疑念を抱く。ひそかに逢瀬を重ね、変わらぬ愛を確かめ合うアイゼンハイムとソフィ。
皇太子は二人の間柄を疑い、ウール警部(栗原英雄)に偵察させる。ついに密会を知った皇太子は、怒りのあまり剣を手にソフィの後を追い..
目の前に見えているものは果たして真実か?それとも虚偽なのか?

キャスト・スタッフ続投で挑むフルバージョン

今回のフルバージョン公演では、2021年のコンサートバージョンで叶わなかったイリュージョンやマジックが披露されます。物語の重要な要素となるであろうイリュージョンをどうやって舞台上に仕掛けるのか、演出への期待が高まります。

そんな難問に挑む演出家は、前回に続いてトム・サザーランドさん。また、脚本のピーター・ドゥシャンさんと作詞・作曲のマイケル・ブルースさんも続投します。

さらに、キャスト陣が再集結しているところも楽しみなポイント。引き続き主人公のアイゼンハイム役を海宝直人さん、皇太子レオポルド役を成河さん、公爵令嬢ソフィ役を愛希れいかさん、ウール警部役を栗原英雄さん、そして興行主ジーガ役を濱田めぐみさんが務めます。

数々の舞台やミュージカルで活躍している役者たちが、かつての苦難を原動力に変え、観客をイリュージョンのような別世界へ連れて行ってくれるでしょう。

ミュージカル『イリュージョニスト』は2025年3月11日(火)から29日(土)まで東京・日生劇場にて上演。その後、4月8日(火)から20日(日)まで大阪・梅田芸術劇場にて公演を行います。チケットの一般販売は、東京公演が2024年12月22日(日)、大阪公演が2025年1月11日(土)です。なお、上演時間は休憩を含めて約2時間20分前後とのこと。詳細については公式サイトをご確認ください。

もこ

4年越しに実現したフルバージョン公演を、今か今かと待ちわびていた方も多いはず。もちろん、キャストとスタッフにとっても念願の舞台でしょう。実は筆者も観劇予定でして、物語の結末やイリュージョンシーンがとても楽しみです!