ミュージカル『刀剣乱舞』『SPY×FAMILY』などで活躍し、『ロミオ&ジュリエット』『進撃の巨人 -the Musical-』では主演を務めるなど、ミュージカル界で輝き続ける岡宮来夢さん。2025年は4月8日から『1789 -バスティーユの恋人たち-』、8月23日から『四月は君の嘘』に出演されます。岡宮さんに2作品への想いを伺いました。
ロナンの怒りやエネルギーを「骨身に染みて」演じたい

−『1789 -バスティーユの恋人たち-』はいよいよ4月8日(火)に開幕します。稽古真っ只中かと思いますが、本作の魅力をどのように感じられていますか。
「初めて作品を観た時に楽曲を持つ熱量が凄いなと感じましたが、実際に歌うことで改めて、楽曲の素晴らしさに感動しています。僕は今回初めてフランス革命を題材とする作品に参加したのですが、当時を想像しながらその世界を自分たちで体現できるのも凄く楽しいし、フランス革命がなぜ起こったのか、市民たちがどんな気持ちだったのか、作品を通してリアルにお客様に伝えることでこの作品の魅力を伝えたいと思っています」
−革命に向かって駆け抜けていくロナンというキャラクターをどう捉えていますか。
「当時の第三身分の農民出身であるロナンが、どれだけ苦しい生活をしていたのかというのは、2025年の日本では想像しても、し足りないくらいだと思います。貧しい上に、干ばつで飢饉が起こって本当に食べるものがなくて、さらに重税が課せられて、“もう無理だ”と思うほどの怒りや、理不尽さがあったはずです。そこに立ち向かっていくロナンの姿を、骨身に染みて演じられたら良いなと思っています。また、当時、最先端技術だった活版印刷に対しては、僕らが今、例えば宇宙船に感じるようなワクワク感があっただろうなと思います。見たことのないものに触れる彼の高揚感も、1つ1つ丁寧に演じていきたいです。凄く演じ甲斐があるし、考え甲斐もあるキャラクターだと思います」

−ロナンのエネルギーの源は何だったと思われますか。
「ロナンが歌う楽曲に「肌に刻み込まれたもの」という楽曲があるのですが、“肌に刻み込まれたもの”って凄いフレーズですよね。生まれながらにしてお前は身分が下だぞと言われ続けた青年が、世界を変えようと革命に参加する熱量やバイタリティは並大抵ではないと思います。父親の仇を討つという想いで使命を燃やす中、自分とは全く身分の異なるオランプに出会い、貴族側にも素敵な人がいるのだと気づけたこと、また身分が違っても自分を助けてくれる人に出会えたことは、希望に見えただろうと思います。台本を読んでいるとオランプは本当に清らかな人だなと感じますし、台本には書かれていない2人の時間にも、きっとロマンチックなことがあったはずです。環境は違えど、似た感覚を持った人に出会えたことは希望だし、救いのように見えただろうなと捉えています」
−役作りをする上で大事にされていることはありますか。
「この前、一度飢えてみようと思ったのですが、稽古中に体調は崩せないなと思ってやめたんです。でもロナンは食べたくても食べられなかったわけですよね。僕は幼少期、とても食が細くて、母に“ちゃんと食べなさい、食べたくても食べられない人もいるんだよ”と言われていました。食べたくても食べられないって本当に苦しいと思うし、ロナンは今回23〜25歳くらいという設定なので、そんな辛い時期をずっと過ごしてきた人であることを忘れないようにしたいと思います」

−本作を通して、どのようなメッセージを届けたいですか。
「フランス革命は様々なジャンルで度々描かれていますが、その理由を僕は今回初めてきちんと理解することができました。それは、僕らが今持っている基本的な人権を、権力と戦って、血を流して戦って勝ち取った出来事だということです。この歴史は、教科書だけでなく、ミュージカルを通しても伝えていくべきことだと思います。僕自身が本作を通して初めて知ったように、作品を観たお客様も、自分たちが今持っている権利は当たり前ではなかったんだということを改めて考え、先人に感謝するような作品になると思いますし、そういったメッセージが届くと良いなと思います」
人生で一番泣いた作品『四月は君の嘘』に自身の「挫折」を重ねて挑む
−そして8月からはミュージカル『四月は君の嘘』にご出演されます。出演が決まった時の心境はいかがでしたか。
「初演を拝見して人生で一番泣いた作品だったので、自分が出演できるというのは本当に嬉しかったです。フランク・ワイルドホーンさんの楽曲が非常に素敵で、昨年韓国でも観劇したのですが、日本での初演以来2年ぶりに観たのに、イントロからもう涙が止まりませんでした。ワイルドホーンさんの楽曲って本当に凄いなと改めて思ったし、あの楽曲を歌わせて頂けるなんて、光栄ですし、幸せですし、嬉しく思います」

−ワイルドホーンさんの楽曲は耳に残る名曲が多い一方、歌うご本人は大変だとも聞きますが、いかがでしょう。
「本当にそうだと思います。(演じる)有馬公生が1曲目に歌う「僕にピアノが聞こえないなら」からハイカロリーですが、だからこそ彼の苦しさが現れていて、楽曲が作品の世界に惹き込んでくれます。この作品はお客様と一緒に苦しみも喜びも分かち合える作品だと思うので、それを感じてもらえるように歌いたいです」
−彼の苦しみには共感できる人が多いですよね。
「公生も、宮園かをりも、他のみんなも挫折を経験しています。僕は野球を挫折して辞めたのですが、好きなはずの野球が辛いだけになってしまったこともあって、そういった気持ちも公生に凄く重なります。今のミュージカルという仕事も、元々はカラオケで歌うのが楽しかったところから、プロになって責任を感じるようになりますし、楽しいだけじゃない瞬間もあります。それは多くの人がぶち当たる壁だと思うので、自分も挫折を知っている身としてしっかり体現していきたいし、そういう人の背中をそっと押せるような作品になると良いなと思います」
−公生は内に秘めた葛藤が多く、エネルギッシュなロナンとはまた違った役柄ですね。
「そうですね。切り替えは大変だと思いますが、ガラッと違う役柄を演じられるのは役者の楽しさでもあります。また、『四月は君の嘘』はとても若いカンパニーであることも楽しみです。今までは頼れる先輩方に囲まれた現場が多かったのですが、『四月は君の嘘』ではフレッシュな皆さんと一緒に楽しみながらも、背中を見せられる座長になれるよう頑張りたいです」

−本作はロンドン、韓国と世界でも人気を博しています。プレッシャーを感じられていますか。
「いえ、楽しみしかないです。ただ、プレッシャーと言えば、初演の公演で観た小関裕太くんの公生があまりに素敵で、いつか共演したいと思っていた方だったんですが、その後、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』でWキャストとしてご一緒出来て、『SPY×FAMILY』では唯月ふうかさんとも共演して、『四月は君の嘘』初演キャストの皆さんが“絶対に観に行くね”と言ってくださっているので、嬉しいけれどそれは少しプレッシャーですね(笑)」
−演出の上田一豪さんの印象はいかがでしょうか。
「一豪さんの演出が大好きなので、凄く楽しい稽古場になるんだろうなと思っています。ミュージカル『The Fantasticks』でご一緒した時は、作品もじんわりと温かい作品でしたし、一豪さんもキャストの皆さんも本当に温かい空気が流れていました。ずっと楽しい稽古だったので、またご一緒できるのを楽しみにしています」
−東京公演は昭和女子大学人見記念講堂での上演ということで、公生たちと一緒に学生の気分を味わえそうですね。
「キャンパスの中にホールがあるって凄いですよね。世界観が重なってドキドキしそうです。自分自身も、お客様も、学生の気持ちになって楽しんでいただけるように頑張りたいと思います」

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−昨年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『進撃の巨人 -the Musical-』に主演され、これから『1789 -バスティーユの恋人たち-』『四月は君の嘘』にも主演とご活躍ですが、さまざまな役柄を演じる中で大事にされていることはありますか。
「自分が演じる意味を見つけたいと常に思っていて、作品が持っているメッセージを自分なりに見つけ、“これが届くと良いな”と思いながら千穐楽まで頑張ることを心がけています。また僕が演じるからこそにじみ出るものはあると思っていて、それは誰しもが持っているものだと思うし、Wキャストであれば面白さに繋がると思うんです。『1789』であれば手島章斗くんが演じるロナンと、僕が演じるロナンは、やはり違うものがあるだろうし、それを楽しみにもしています。舞台は自分の生き方が出てしまうものだから、自分自身の生き方や、自分自身を大事にしなければいけないと思っています」
『1789 -バスティーユの恋人たち-』は4月8日(火)から29日(火・祝)まで明治座、5月8日(木)から16日(金)まで大阪・新歌舞伎座で上演されます。公式HPはこちら
『四月は君の嘘』は2025年8月23日(土)から9月5日(金)まで昭和女子大学人見記念講堂で上演。その後、9月に愛知・大阪、10月に富山・神奈川にて公演が行われます。公式HPはこちら

稽古中のお忙しい期間でしたが、2作品への想いを熱く語ってくださいました!『1789 -バスティーユの恋人たち-』はいよいよ4月8日から開幕です!