『焼肉ドラゴン』や舞台『パラサイト』をはじめ数々の話題作を手掛けている劇作家・演出家の鄭 義信さんが2020年に書き下ろした本作が、2025年版として5年ぶりに再演決定!タイトルロールであるロミオとジュリエットを演じるのは、初演から続投となる桐山照史さんと、柄本時生さん。出演者が全員男性(オールメール)、かつセリフが全編関西弁で繰り広げられる異色のロミジュリ。『泣くロミオと怒(いか)るジュリエット』をご紹介します。
オールメール&全編関西弁の異色のロミジュリが再演
物語は、戦争が終わって5年経った工場を擁する港町ヴェローナ。工場から出る黒い煙と煤に覆われた鉛色の町。その空気をさらに不穏にしているのは、顔を合わせる度に揉め事を起こす二つの愚連隊“モンタギュー”と“キャピレット”でした。
“モンタギュー”の元メンバーで、今は更正してカストリ屋台で働いている奥手でまじめな青年ロミオ。そんなロミオの二人の親友。聡明で理知的なべンヴォーリオと、正反対に喧嘩っ早くいつも問題を起こす張本人のマキューシオ。三人はそれぞれに、今の時代や自分の境遇に悩みや閉塞感を感じていました。そんな日々の憂さ晴らしに三人が出かけたダンスホールで、田舎から出てきたばかりのジュリエットに出会い、ロミオは人生で初めての恋に落ちてしまいます。
しかしジュリエットはなんと、敵対する“キャピレット”のリーダー・ティボルトの妹だったのです……!
そんなことはお構いなしに二人の恋は燃え上がりロミオは白頭山東洋治療所の店主で父親のような存在のローレンスに相談しますが……。二人を取り巻く様々な人物と共に、町は大乱闘に巻き込まれていきます。吃音症に悩む奥手で泣き虫のロミオと、ダメ男に貢ぐ癖があり気が強いジュリエット。二人の運命はいかに……?
主演は初演に引き続きWEST.桐山照史&柄本時生!個性と実力を兼ね備えた共演陣とともに繰り広げる純愛群像劇
作・演出は、1994年に『ザ・寺山』で第38回岸田國士戯曲賞を受賞して以来、数々の演劇賞を総なめにし、2018 年に『焼肉ドラゴン』の映画化で初監督を務め、2014 年春には紫綬褒章を受章するなど、話題に絶えない鄭 義信さん。
シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』を、物語の舞台を鄭さん自身のルーツである関西の戦後の港町を舞台に大胆にアレンジした本作。かなり異彩な設定でありながら、二人の若者の恋物語と時代を生きるならず者たちの抗争劇に、人種間や国と国との差別・格差などの普遍的なテーマを巧みに織りこまれており、笑いと涙で観客の心を鷲掴みにしました。

そして、ロミオとジュリエットには初演から続投する、WEST.桐山照史さんと、柄本時生さん。
共演陣も続投されている方も含め超豪華。ロミオの父親代わりであり町で診療所を営むローレンスには、渡辺いっけいさん。ジュリエットの兄で敵対する“キャピレット”のリーダー・ティボルトとその内縁の妻ソフィアには、初演に引き続き高橋 努さんと八嶋智人さん。
ロミオの親友、ベンヴォーリオに浅香航大さん、モンタギューの筆頭メンバー・マキューシオに泉澤祐希さん。キャピレットの若頭ロベルトに和田正人さん、愚連隊に圧力をかける警部補には市川しんぺーさん。巡査に中山祐一朗さん、傷痍軍人でアコーディオン奏者にはこちらも初演から続投の朴 勝哲さん。
共演陣の布陣をみても、実力に加え、個性もマシマシで絶対に面白いだろうなと感じております…!ちなみに公式HPには各出演者のコメントが掲載されているので、読んでみてください。本作への熱い想いを感じることができます!
東京公演は、THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6階)にて、2025年7月6日(日)~7月28日(月)まで。大阪公演は、森ノ宮ピロティホールで、2025年8月2日(土)~11日(月・祝)にて上演されます。公式HPはこちら

数々の作家たちに命を吹き込まれてきた名作『ロミオとジュリエット』。そんな名作がオールメール、全編関西弁で上演されるという情報だけで気になりまくりです。また、初演時はまだコロナ禍だったこともあり、大阪公演は全公演中止と厳しい局面もあった2020年版でしたが……。今回は無事に完走できることを願うとともに、再演ということで面白さは折り紙付きなので、観に行ける方はぜひチケット確保を!