2025年9月22日(月)から東京芸術劇場プレイハウスにて、パルコ・プロデュース 2025『ヴォイツェック』の上演が決定しました。ドイツの劇作家ゲオルク・ビューヒナーが遺した未完の戯曲『ヴォイツェック』を、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』で知られる劇作家ジャック・ソーンが現代にアップデート。演出に小川絵梨子さん、主演に森田剛さんを迎え日本初演が行われます。
過去のトラウマと自身の心の闇と闘いながら生きる男の悲劇
ドイツの劇作家ゲオルク・ビューヒナー(1813~1837)が遺した未完の戯曲『Woyzeck』。1821年に実際に起こった事件での加害者ヴォイツェックの精神鑑定の記録を元に描かれた物語です。
ビューヒナーの生誕100年を記念し1913年に初演されて以降、今日まで時代を超えて様々な形で解釈され、演劇やオペラとして上演。映画化もされるなど、観客に新たな驚きと感動を与え続けてきました。
今回の脚本は、2017 年にロンドンのオールド・ヴィック劇場で上演され、高い評価を集めた、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』で知られる劇作家ジャック・ソーンが翻案を手掛けたバージョン。ビューヒナーの原作を現代的に解釈し、冷戦下の 1981年ベルリンを舞台に、政治的緊張感と心理的・感情的な深みを強調したドラマでロンドンの観客を圧倒しました。
この重厚感ある新バージョンが、読売演劇大賞優秀演出家賞ほか、多くの受賞歴を持ち、2018年より新国立劇場の芸術監督を務める小川絵梨子さん演出によって日本初演を迎えます。
小川さんは現段階での演出構想について、「善良な登場人物たちが一つずつボタンのかけ違いで悲劇に至る、その様を丁寧に描きたい」「ヴォイツェックが抱えている恐怖や不安感は、彼が独特に持っているものではなく、私たちのお腹の奥に絶対にあるもの」と語っています。
主演ヴォイツェック役は、舞台『台風23号』や映画『雨の中の慾情』、『劇場版 アナウンサーたちの戦争』などに出演し、様々なフィールドで存在感を放つ森田剛さん。パルコ・ プロデュース公演でも、宮本亞門さん演出『金閣寺』、いのうえひでのりさん演出『鉈切り丸』、行定勲さん演出『ブエノスアイレス午前零時』、鄭義信さん演出『すべての四月のために』、ショーン・ホームズさん演出『FORTUNE』で主演を務め、難役を演じてきた森田さんが、初の小川絵梨子さん演出作品で暗い過去に苦しみながらも愛を求めるヴォイツェック役に挑みます。
ヒロインのマリー役を演じるのは、ミュージカル『ダブリンの鐘つきカビ人間』(PARCO&CUBE produce)や舞台『台風23号』、 映画『少年と犬』に出演し、7月からは主演ドラマ『恋愛禁止』の放送も控える伊原六花さん。
さらに、ヴォイツェックの母親とマギーの二役には、舞台『Bug Parade』や『て』、映画『じょっぱり-看護の人 花田ミキ』、ドラマ『未 恋~かくれぼっちたち~』や連続テレビ小説『虎に翼』に出演の伊勢佳世さん。
ヴォイツェックの同僚アンドリュー役には、前川知大主宰の劇団イキウメに所属し、近年は、『ずれる』、『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話』、『Le Fils 息子』などに出演、舞台を中心に活躍する浜田信也さん。
大尉役に舞台『ストレンジラブ』やドラマ『コンシェルジュの水戸倉さん』、日本アカデミー賞受賞作『侍タイムスリッパー』にも出演の冨家ノリマサさん。
医者役にミュージカル『イリュージョニスト』や舞台『破門フェデリコ~くたばれ!十字軍~』(パルコ・プ ロデュース)などに出演し、来年はミュージカル『ジキル&ハイド』が控える栗原英雄さんが出演します。
キャストコメントが到着
森田剛
19世紀前半の戯曲ですが根底には純粋な愛をテーマにしていて、現代に置き換えてもリンクする部分があると思います。痛みや苦しみを抱き、自分と向き合うヴォイツェックという人物に対して理解できる部分がたくさんあるので、舞台で表現することが今から楽しみです。演出される小川絵梨子さんと初めてご一緒するのも楽しみです。
ぜひ劇場へ生のお芝居を観にきてください。この作品を通じて何か感じること、救われることがあると思うので、きっと多くの方たちに共感していただけると思います。
伊原六花
小川絵梨子さん演出の舞台は何度も拝見し、いつかご一緒できたらと願っていました。なので今回、参加出来ると聞いた時はとても嬉しかったです。
まだ翻訳台本を読んだだけですが、このヴォイツェックを森田さんが、この登場人物達を素敵なキャストの皆さんが……と想像するとワクワクが止まりませんでした。
小川さんの演出をうけて、自分の中で未知なる発見をするかもしれません。沢山の期待を胸に、稽古に挑みたいと思っております。
伊勢佳世
出演のお話をいただいた時、自分の役を責任をもって表現できるのか、すごく悩みました。ですが信頼する小川絵梨子さんが演出し、この素敵な出演者の皆様との作品作りは、きっと面白い舞台になるんだろうな、とも思いました。
お金さえあれば…という現代にも通じる問題。
どんな作品を立ち上げられるか、私自身も熟慮しながら、稽古に挑みたいと思っております!
浜田信也
社会によって個人の尊厳が奪われ、人への共感が欠如していく様子が、ヒリヒリと息苦しさをもって描かれた作品です。楽しく笑って観られる作品ではないかもしれませんが、この作品が問いかけてくる問題を観に来てくださった皆さんと共有出来たら、一つの希望になると思います。
いつも客席から見ていたステキな方々とご一緒出来る事が、緊張しつつもとても嬉しく光栄です。答えの出ない問題を、最後まで皆さんと一緒に考え続けたいです。
冨家ノリマサ
この名作と言われる『ヴォイツェック』に出演が決まり、嬉しさと共に沸々とする気持ちが入り混じっております。頂いた役も、小手先では到底敵わないことを原作台本を読んで理解出来るので、僕にとっては挑戦です。
演出の小川絵梨子さんをはじめ、主演の森田剛さん他全キャスト”はじめまして”のカンパニーで、この作品がこの先どうなって行くのか?今から楽しみでしょうがない。
観て下さるお客様とこの作品を同じ空間で共有する日を楽しみにしています。
栗原英雄
今は正直言って、とても大変な戯曲を引き受けてしまったなぁと。
しかし、それを上回る程の小川絵梨子さんが演出する事への期待と喜びの中に居ます。
主演の森田さんや初めての方々との共演にワクワクしております。
作品の持つ力強さ、メッセージをお伝え出来るよう精進します。皆様劇場でお会いしましょう。
パルコ・プロデュース 2025『ヴォイツェック』は2025年9月22日(月)から9月28日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスにて上演。10月に岡山・広島・福岡・兵庫・愛知公演が行われたのち、11月7日(金)から11月16日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスでリターン公演が行われます。公式HPはこちら