2011年の開館以降、さまざまなアーティストの新作創作、そして良質な海外作品の招聘など多くの試みを実践してきたKAATキッズ・プログラム。2025年夏には、「宝探し」をテーマにしたふたつの作品が神奈川芸術劇場で連続上演されます。KAATが制作する『わたしたちをつなぐたび』、そしてSPAC(静岡舞台芸術センター)の制作する『鏡の中の鏡-迷宮-』 。今回上演されるふたつの作品の上演情報や、お得なチケットについてお届けします。
『わたしたちをつなぐたび』KAATが描く「自分のルーツ」を探す“旅”
今年KAATが上演するのは、イリーナ・ブリヌル作の絵本『わたしたちをつなぐたび』の舞台化作品です。
本作品は、「なぜ父親がいないのか」を疑問に思った女の子が、自身のルーツを探すという一見重いテーマのようにも感じられます。しかし、自分のルーツを知りたい、という思いは、きっと多くの人が抱いたことのある普遍的なテーマではないでしょうか。
今回の舞台化では、今を生きる私たちの“さまざまな家族の形”を描きつつ、“旅”という要素にスポットを当てて作品を立ち上げていくそうです。自分のルーツを知る、という“旅”の形は、子どもたちだけではなく、大人たちの心にも迫るメッセージが込められているかもしれません。
本作の上演台本と演出を担当するのは、劇団「うさぎストライプ」主宰の劇作家・演出家の大池容子さん。音楽を担当するのは、NHK Eテレ「みいつけた!」のオフロスキー役としても知られる小林顕作さんです。
おふたりが紡ぐファンタジックで優しい世界は、はじめて演劇にふれるお子さんにふさわしい作品となるでしょう。観劇の主な対象年齢は、小学校低学年からです。
『鏡の中の鏡-迷宮-』SPACがミヒャエル・エンデの連作短編集を演劇に
一方、SPACが上演するのは『モモ』や『はてしない物語』の作者として知られるドイツの児童文学作家、ミヒャエル・エンデの作品を原作とした『鏡の中の鏡-迷宮-』です。
原作は、30の短い話からなる連作短編集です。
ひとつずつ順番に、前の話を鏡のように映し出し、最後の話が最初の話へとつながるという、まさに「迷宮」のような物語。この不思議なお話を、今回の上演ではどのように表現するのでしょうか。
構成と演出を担当するのは、SPAC所属の俳優として多くの舞台に立った経験を持つ寺内亜矢子さんです。こどもたちの「わからないことをわかるようになりたい!」という知への欲望と、「わからないまま遊びながらルールを発見する」高い能力に着目しているという寺内さん。
この一見正反対な性質を取り入れた作品作りは、本作の注目ポイントです。
観劇の主な対象年齢は、4歳からです。
演劇デビューを応援。お得なチケット情報も
KAATキッズ・プログラムでは、通常の演劇公演よりも比較的お得にチケットを購入できます。
なかでも特筆すべきは、親子でお得に観劇できる「ペアチケット」の存在です。
通常チケットはこども(4歳~高校生)1,000円、おとな3,500円ですが、「こども+おとなペア」のチケットを買うと、1,000円お得な3,500円で観劇が可能です。
また、『わたしたちをつなぐたび』『鏡の中の鏡-迷宮-』の両作品を観たいという方には、「こども+おとなペア2作品セット」をおすすめします。こちらの料金は6,400円で、ペアチケットからさらに600円もお得な価格です。
週末には2作品が同日上演されるので、作品を「ハシゴ観劇」するのもいいですね。
さらに、神奈川県在住・在勤のおとなには「神奈川県民割引」として、3,000円で観劇できるチケットもあります。
普段演劇を観る機会があまりない、という方も、この機会に親子で楽しんでみてはいかがでしょうか。
KAATキッズ・プログラム2025『わたしたちをつなぐたび』は7月21日(月・祝)から27日(日)まで、『鏡の中の鏡-迷宮-』は7月26日(土)から27(日)まで。いずれも神奈川芸術劇場大スタジオにて上演です。公式ホームページはこちら。

筆者も今夏、息子の観劇デビューとしてKAATキッズ・プログラムを鑑賞予定です!「演劇に興味があるけど、ハードルが高いな」と思われている方も、親子で劇場デビューしてみませんか?