アニメも話題となった漫画『チ。ー地球の運動についてー』が舞台化され、2025年10月の東京公演を皮切りに全国ツアーを実施。この記事では、作品の見どころについて詳しくご紹介します。

人気漫画『チ。-地球の運動について-』が今度は舞台化

魚豊(うおと)さんによる漫画『チ。-地球の運動について-』は、地球の真理を知ることに魅せられ、命を懸ける人々を描いた作品です。2020年から2022年にかけてビッグコミックスピリッツで連載され、単行本は全8巻で完結。「マンガ大賞2021」では第2位にランクインし、2022年には「第26回手塚治虫文化賞」のマンガ大賞を史上最年少で受賞するなど高く評価されました。また、2024年10月からはNHK総合にてアニメが放送されたことで改めて話題を集めました。

物語の舞台は、「地球が他の惑星とともに太陽の周りを回っている」という地動説が常識ではなく、異端思想とみなされる架空の国。そのなかで自らの信念を曲げることなく、ひたすら“知”を追い求めるキャラクターの生き様が、読み手の心を強く揺さぶります。

今回、アニメ化に続いて本作の舞台化が決定。芝居に身体表現、さらに歌や演奏を融合させた新しい演劇作品として2025年10月に開幕します。

 <あらすじ>
15世紀ヨーロッパ「P国」では、「C教」と呼ばれる宗教が生活の中心となっていて、「C教」の教えに反するものは“異端思想”として拷問や処刑で激しく弾圧されていた。
神学を志す12歳の神童ラファウは、ある日、禁じられた思想、地動説を提唱する男と出会い、宇宙の法則に魅せられる。彼は知的探求の末、地動説の研究にのめりこむが、やがて異端審問官ノヴァクに目をつけられる。
時が流れ、ラファウの信念は多くの人々の手を渡りながら受け継がれていく。一方、ノヴァクは、以前にも増して執拗に異端者を取り締まるようになっていた。
知的探求心に突き動かされ、命を懸けてまで真理を追い求める人々。歴史の流れの中で、信念が人々を繋いでいくー。

実力派のキャスト・スタッフによる新しい『チ。』

舞台版のキャストには、個性の強いキャラクターを演じるに足る俳優陣が集結しています。

優れた視力を持ちながら恐怖心により夜空を見ることができない代闘士・オクジー役は、窪田正孝さん。数々の映画やテレビドラマで印象に残る演技を見せ、2022年の映画『ある男』で第46回日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞や第32回日本映画批評家大賞の助演男優賞を受賞しました。地動説を知って変化していくオクジーの内面をどのように表現するのか、気になるところです。

三浦透子さんは天文研究助手をしている少女・ヨレンタを演じます。舞台『星の降る時』やミュージカル『VIOLET』 など演劇作品のほか、第74回カンヌ国際映画祭で4冠を達成した映画『ドライブ・マイ・カー』にヒロイン役で出演。透明感のある歌声を活かし、歌手としてライブの開催やCDリリースもしています。

大貫勇輔さんは、オクジーと同じく代闘士であるグラス役を含め、複数のキャラクターに配役。これまでさまざまな舞台やドラマに出演し、2025年7月には舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハリ・ポッター役として1年ぶりにカムバックする予定です。

成河さんもまた、オクジーやヨレンタとともに地動説を証明しようとする修道士・バデーニ役など、複数の役を担当します。高い演技力で存在感を発揮し、舞台『ピローマン』とミュージカル『ライオン』の主演により第32回読売演劇大賞の優秀男優賞を獲得しました。

オクジーたちより後の時代を生きる移動民族の少女・ドゥラカ役などを務めるのは、吉柳咲良さん。直近ではオフ・ブロードウェイの話題作『リンス・リピート』に出演したり、実写映画『白雪姫』のプレミアム吹替版で白雪姫役声優を担当したりと、今注目の若手俳優です。

さらに司教の息子で異端審問官のノヴァクを敵視するアントニ役などで、吹越満さんが登場。舞台や映画、テレビドラマなど幅広い作品で活躍する名バイプレーヤーが物語にどんなエッセンスを加えるのか、期待が高まります。

そして、俳優だけでなくダンサーや監督としても精力的に活動する森山未來さんが、異端審問官のノヴァク役に。“知”への探求心を弾圧するノヴァクの存在は物語の大きなカギとなるだけに、その一挙一動から目が離せません。

なお、全ての始まりともいえるラファウ役兼シンガー役は、子役の小野桜介さんと駒井末宙さんがWキャストで務めます。

このほか、ダンサーとして皆川まゆむさん、川合ロンさん、加賀谷一肇さん、笹本龍史さん、Rion Watleyさん、半山ゆきのさんが出演。さらにバリトンサックスの竹内理恵さんとチューバのギデオン・ジュークスさんによるデュオ「MUSIC for ISOLATION」が演奏で舞台を支えます。

本作の演出を担当するのは、日本ではミュージカル『100万回生きたねこ』や百鬼オペラ『羅生門』を手がけてきたイスラエルの演出家、アブシャロム・ポラックさん。過去には『100万回生きたねこ』でキャストの森山未來さんや成河さん、大貫勇輔さん、そして音楽担当の阿部海太郎さんとタッグを組んだ経験があります。

また、自身も俳優として活動する劇作家・演出家の長塚圭史さんが脚本を、世界で活躍するダンサーのエラ・ホチルドさんが振付を手掛けます。

舞台『チ。ー地球の運動についてー』は2025年10月8日(水)から26日(日)まで新国立劇場 中劇場にて上演。その後、11月8日(土)・9日(日)に愛知・御園座、15日(土)・16日(日)に広島・呉信用金庫ホール、21日(金)から23日(日・祝)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホール、29日(土)・30日(日)に福岡・J:COM北九州芸術劇場 大ホールに巡演予定です。東京公演のチケットは、7月16日(水)11時より一般発売が始まります。詳細は公式HPをご確認ください。

もこ

筆者はアニメを見て、「知りたい」という思いがこれほどまでに人を突き動かす原動力になるのかと深く感動しました。舞台化も本当に楽しみで、“チ”ケット獲得に向けて今から張り切っています。