8月10日(日)からシアタークリエで開幕したミュージカル『ジャージー・ボーイズ』。藤田俊太郎さんが演出を手掛け、Team BLACK、YELLOW、GREEN、さらにNew Generation Teamで上演が行われます。今回は中川晃教さん、藤岡正明さん、東 啓介さん、大山真志さんが出演するTeam BLACKのゲネプロの様子をお届けします。
「Sherry」「君の瞳に恋してる」名曲で綴る、実話に基づいた感動の物語
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』は1960年代に活躍したフォー・シーズンズの物語を、フォー・シーズンズの名曲「Sherry」「Walk Like a Man」やフランキー・ヴァリの「君の瞳に恋してる(Can’t Take My Eyes Off You)」などと共に描くジュークボックス・ミュージカルとなっています。

トニー賞最優秀ミュージカル賞やグラミー賞を受賞し、2014年には名匠クリント・イーストウッド監督によって映画化。日本人キャストによる日本公演は2016年に全公演満員御礼の熱狂に包まれ、第24回読売演劇大賞にて、ミュージカルとして初めて最優秀作品賞に輝きました。また中川晃教さんが最優秀男優賞、藤田俊太郎さんが優秀演出家賞を受賞しました。
2018年の再演、2020年帝国劇場でのコンサート版上演、2022年の日生劇場公演を経て、2025年はシアタークリエに凱旋。新キャストを迎えてTeam BLACK、YELLOW、GREEN、さらにNew Generation Teamで上演が行われます。
Team BLACKはフランキー・ヴァリ役を中川晃教さん、トミー・デヴィート役を藤岡正明さん、ボブ・ゴーディオ役を東 啓介さん、ニック・マッシ役を大山真志さんが演じます。

2025年、現代の日本でも誰もが聴いたことのある楽曲が並ぶフォー・シーズンズ。しかし彼らの始まりはニュージャージー州の貧しい片田舎で、品行方正とはいえない生活でした。

“天使の歌声”を持つフランキーが、トミーとニックのバンドグループに加入。成功を夢見て音楽活動を始め、作曲の才能を持つボブがチームに加わります。厳しい下積み生活の果てに、「Sherry」が大ヒット。次々とヒット曲を生み出すフォー・シーズンズでしたが、全国ツアーに出かけたフランキーと妻との間の溝は深まり、トミーはギャンブルにのめり込み、借金を膨らませていくのでした。

本作はメンバー4人がそれぞれの視点で「春夏秋冬」の物語を語り継ぎながら、フォー・シーズンズの名曲が歌われます。印象的なのは、どんなに営業してもラジオで楽曲をかけてもらえなかった彼らが、「Sherry」をきっかけに爆発的にヒットし、「大衆」に支持されていく姿。
田舎町出身、コネなしの彼らが才能だけを武器にのし上がっていく姿はまさにアメリカン・ドリームであり、一方で栄光の瞬間は一瞬であるのもまたリアルです。舞台横に置かれた数々のテレビのビジョンが、彼らの人気ぶりを示しながらも、画面越しに見る家族との距離を切なく描きます。

まさに“天使の歌声”のフランキーを好演する中川晃教さん。数々の高音が続く楽曲を神秘的に歌えるその歌唱力の高さはやはり圧巻で、歌声に酔いしれる約3時間。様々な苦難に直面しながらも、10代の頃の面影が残り続けるピュアさが印象的です。

藤岡正明さん演じるトミーは、田舎町から出て成功したいという野心や、グループを引っ張っていく力強さがありながらも、鬱屈とした感情が常に垣間見え、チームクラッシャーながら憎めないキャラクター。天才の隣に居続ける苦しさに、我々も共感することが多いのかもしれません。

作曲の才能があり、グループの転機となる存在ボブ・ゴーディオ役を演じる東 啓介さんは、未来を切り拓くことを感じさせる、ダイナミックな歌声が耳に残ります。スマートながら、滲み出る天才としての自信。少しずつグループのリーダー的存在になっていく姿を嫌味なく演じていきます。

大山真志さん演じるニックは、耳が良く、フランキーに歌い方を教えるなど、グループを下支えするキャラクター。グループでの歌唱もハーモニーで支え続け、だからこそ限界に達した時の叫びが胸に突き刺さります。

フランキーは初めて4人で音楽を奏でた時のことをこう振り返ります。「あらゆるものが消えて、そこにあるのは音楽だけだった」。音楽への愛、その一瞬に生まれる奇跡が綴られた物語だからこそ、私たちを強く魅了するのでしょう。

ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』は9月30日(火)までシアタークリエにて上演。公式HPはこちら

名曲続きで幸せな気持ちに包まれるミュージカル!改めて、今でも愛され続ける楽曲たちの素晴らしさを実感しました。