何度も稽古を重ねて本番を迎える演劇やミュージカル。稽古といってもさまざまな種類があります。今回は似ているようで違う、粗通し・通し稽古・ゲネプロの違いについて解説します。
全編をざっと通して行う「粗通し」
粗通しとは、初めて全編をざっと通して行う立ち稽古のこと。段取りやセリフが完璧ではない状態で全体の流れを確認するために行うもので、問題点や改善点を見つける意図があります。
テーブル稽古と呼ばれる本読みやシーンごとの稽古を経て行われ、より良い作品に仕上げるためには重要な工程です。この粗通しの段階では音響・照明・衣裳・セットも揃っていないのが通し稽古やゲネプロとの違い。文字の表記は他にも「荒通し」「あら通し」と諸説ありますが、一般的に「粗通し」が多く使われる傾向にあります。
演目を通して行うことが目的の「通し稽古」
通し稽古とは、上演作品を最初から最後まで通して行う稽古のこと。通し稽古には、粗通しのようにざっと全体を通して行うものから、音響や照明も参加して行う本番に近い形のもの、1幕のみや2幕のみなど幕ごとに通して行うものなどさまざまなパターンがあります。本番と全く同条件で行うことよりも、とりあえず演目を通して行うことを重要視しているところが、ゲネプロとの違いです。
本番と同条件で行う「ゲネプロ」
ゲネプロとは、公演初日前に本番と同条件で行われる最終的な通し稽古のこと。音響・照明・衣裳・セットなどはもちろん、開演時刻の設定も本番同様に行われることがあります。関係者・マスコミの招待や抽選で一般公開されることもあり、客席に観客がいることもゲネプロの特徴です。ゲネプロでマスコミが撮影した写真や映像は後日テレビやインターネット、パンフレットなどで公開されるため、宣伝効果も兼ねた重要な役割だと言えます。
ゲネプロについてはこちらの記事も参考にしてみてください。

演劇やミュージカルの本番までには、さまざまな稽古を経て作品が完成します。役者さんたちの苦労を知ると、観劇する私たちも感慨深い気持ちになりますね。