2025年11月に東京建物 Brillia HALLにて上演される『デスノート THE MUSICAL』。初演から10年、韓国やロンドンでも愛された本作が再び日本で上演されます。上演に先駆け、製作発表会見が行われました。

「正義はこの手に委ねられた」劇中から3曲を披露

『デスノート THE MUSICAL』製作発表会見には夜神月役の加藤清史郎さん・渡邉 蒼さん、L役の三浦宏規さん、弥海砂役の鞘師里保さん、夜神粧裕役のリコさん(HUNNY BEE)、死神レム役の濱田めぐみさん、死神リューク役の浦井健治さん、夜神総一郎役の今井清隆さんが登壇しました。

まず加藤清史郎さん・渡邉 蒼さんが本作の幕開けを象徴する楽曲「デスノート」を披露。夜神月がデスノートを手にし、迷いながらも新世界の神になると誓うドラマチックなナンバーです。加藤さんはデスノートに対しての戸惑いや迷いが見える夜神月の繊細さを表現。

渡邉さんは正義を貫き通そうと決意し、“キラ”としての自信に満ちた姿が垣間見えます。声質も含めて既にお二人の「月(ライト)」にはそれぞれ個性が光り、開幕への期待を高めます。

続いて、三浦宏規さんが「ゲームの始まり」を披露。天才的な推理力を持つLが月の正体を暴こうとする、心理戦の幕開けとなる楽曲です。三浦さんは静かな闘志を沸々とたぎらせながらもLの冷静で独特な存在感を表現していきます。

最後に、濱田めぐみさん、浦井健治さんが「愚かな人間」を歌唱。死神レムとリュークの人間離れした佇まいを見せながら、人間の愚かさを皮肉めいた表情で歌っていきます。

人間は「喜劇」と笑うリュークと、「悲劇」と憐れむレム。対照的な2人が人間たちとどう関わっていくのか。濵田さん、浦井さんの圧巻の歌唱と演技力で、会見場を一気に『デスノート THE MUSICAL』の世界観へと惹き込みました。

愛の受け止め方や純粋さを大切に

「嬉しいというよりも驚きが先に来た」と出演が決まった時の印象を語った加藤清史郎さん。初演を日生劇場で観劇していた他、「日常会話でもデスノートに関する言葉が飛び交う中で育ってきた」ということで、出演へのプレッシャーを感じたと言います。しかし次第に作品に携われる喜びを感じるようになったそう。

夜神月という役柄については、「改めて原作やアニメを観ていると、どんどん共感できない人物になっていってしまうんです。ミュージカルでは描かれないですが、家族をも犠牲にしてキラとしての活動を続けていく彼の心に何が起きているのかというのをすごく考えさせられました。夜神月がこれまで愛をどう受け取ってきたのか、何に対してどういう愛を持っているのか。そこに彼特有の負けず嫌いさが絡み合ってキラになっていったと思うので、1つ1つに対する執着心がどこから来ているのかを意識し、色々なシーンで垣間見えたら」と語ります。

渡邉 蒼さんはなんとお父様に数年前から「お前は月をやるんだよ、やるべきだと思う」と言われていたのだとか。「地道に僕頑張るね」とお伝えしていたそうですが、出演が決まり大きな驚きがあったと明かします。「個人的には怖い気持ちや不安な気持ちもありますけれど、父に伝えたときに本当に喜んでいましたし、絶対大丈夫だって言ってくれたので、全力を尽くしたい」と意気込みます。

役柄については「一番根本的な部分は、抑圧された中で生きてきたということじゃないかと思うんです。優等生で、学年トップの成績を持ちながら、父は警視総監で、良い子であることが根底にある状態で過ごしていた。そこで純粋な心は育っていくんですけれども、デスノートに出会ってしまう。彼の純粋なところ、最初の綺麗な綺麗な部分をどう捉えて作っていくかが重要だと思っています」と語りました。

三浦宏規さんも本作を初演から観劇しており、「Lをいつかやってみたいなと本当に思っていたんです。10周年という記念すべき公演で出演できるのは本当に嬉しいことですし、夢が叶ったなと思いました」と喜びを語ります。

Lというと独特な猫背の姿勢も象徴的なキャラクター。この姿勢で歌うというのが非常に難しいそうで、歌稽古でも「失礼なやつに思われないかすごく不安だったんですけれどちゃんと練習としてこういう姿勢で歌っていました」ということで、会見でもLの姿勢を披露!

またLがキラについて「私と同じで幼稚で負けず嫌い」と語る台詞を挙げ、「正義の方向性は違う、絶対に分かり合えないけれど心の奥底で通じ合える何かを持っている2人であるというのを大事にしたい」と語りました。

鞘師里保さんは出演にあたり、「幼い頃から世間一般に広がっている作品が、自分の身近に来たことに驚きがあった」と明かします。「私自身、10年前までアイドルをやっていましたが、(海砂のような)ツインテールでステージに立ったことがないタイプのアイドルだったので、自分に務まるだろうかという気持ちもあったのですが…作品が大好きだったので、お話をいただいたからには挑戦しようという気持ちになりました」と意気込みを語り、「出演の発表をSNSでした時に、外国人のお友達からもたくさんのメッセージが来て、より作品の偉大さを感じました」と反響を語りました。

リコさん(HUNNY BEE)は粧裕役について、「出てくると自然と笑みが溢れるようなシーンが多いと思っていて、粧裕の純粋さ・ピュアさや明るさが、戦っていくお兄ちゃん・パパにとって大きな存在になっていくと感じています。お兄ちゃんたちの背景に、大きな存在として立っていられるように意識していますし、お兄ちゃんとパパは大きなヒーローのような存在なので、演じる時に私の心の中に、常に隣にお兄ちゃんとパパがいるように太陽な存在として捉えています」と語り、愛ある妹からのコメントに兄の月役のお二人も笑顔に。

濱田めぐみさんは本作の魅力について、「今までやってきた作品とは感覚が違うというか。グランドミュージカルでは普遍的なテーマがあると思うのですが、この作品は今の時代、この時代に刺さる何かというのがある。舞台上でここまでしっかり尖ったままメッセージを届けられる舞台は他にあるのかなと。ワイルドホーンの音楽によって見始めたら目が離せない、取り込まれてしまう。10年前にもそう思いましたが、今この時代にこの作品をやるということに意味があるんだろうなという気がします」と語ります。

また死神役ということで「死神という存在をどう演じるのかがずっとテーマ」と語り、「人間の五感ではないところで物を感じていく。目や耳を使うのではなく、全身を使って波動をキャッチしていく。死神という存在が舞台上でどうやったらリアリティを持っていけるか」と語り、「だからこそ、口から出す言葉の重さ言霊というものにはすごくビビッドに反応して、ちゃんとキャッチしていきたい」と語りました。

「吉田鋼太郎さんに“いつかデュークやれよ”と言っていただいた夢が叶いました」と語った浦井健治さん。本作の魅力については「月とライトの心理戦や、それぞれの正義を掲げる群像劇、そして家族愛について描いているのが衝撃的だった」と語ります。

役柄については濱田めぐみさんと会見前日にも話し合われたそうで、「言葉の大切さ。人間ではない言葉選び、時代を超えたり、いつの時代も続いている輪廻を感じられるような言葉選びになっているので、それを感じられるような歌唱を目指したいね、と言ってくれたのがもの凄く嬉しくて。ハードルは高いと思うんですけれども、人間界に対して、人間とは違う位置で(言葉を)発することができるかが1つのテーマ」と語りました。

今井清隆さんは「音の力というのを改めて感じます。稽古場で楽曲を聴いていると一気に世界に惹き込まれる。そこがこのミュージカルの素晴らしさ」と語ります。本作に夜神総一郎役として携わり続けてきた今井さんは、前回の公演がコロナ禍によって一部中止になった事に触れ、「やり残した感が私の中で非常にあったので、また新たに挑戦できるということでより総一郎らしくなったと言っていただけるように」と意気込みます。

稽古中に若いキャストから父親の年齢が45歳と聞かされてショックを受けたというエピソードを明かし、「前回は警視総監としての厳しさをどう表せるだろうかと考えたんですけれど、今回はおじいちゃんに見えないように若々しく…」とお茶目に語り、場を和ませました。

撮影:蓮見徹

『デスノート THE MUSICAL』は11月24日(月休)から12月14日(日)まで東京建物 Brillia HALLにて上演。12月20日(土)から23日(火)に大阪・SkyシアターMBS、2026年1月10日(土)から12日(月祝)に愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、1月17日(土)から18日(日)に福岡・福岡市民ホール 大ホール、1月24日(土)から25日(日)に岡山・岡山芸術創造劇場 ハレノワ 大劇場にて上演が行われます。公式HPはこちら

Yurika

世界中で愛され続ける作品が再び!新キャストから生まれる新たな表現はもちろん、今の時代だからこそ見えてくるものがありそうでとても楽しみです。