10月24日から世田谷パブリックシアターで、世界中で注目されているサーカス界のパイオニア、ラファエル・ボワテルさんが率いるカンパニー・ルーブリエによる公演が上演されます。今回のテーマは“家族”。どんな作品になるのでしょうか。

新たな“総合芸術”の世界へと誘う 『Ombres Portées/キャストシャドウ』

今作で描かれるのは、秘密と不穏な影をまとった家族の物語です。クラウド・スウィング(柔らかいロープを使った空中ブランコ)、コントーション(柔軟性を生かした身体表現)、アクロバット、エアリアル(空中で行う身体表現)といったサーカス特有の表現に加えて、今回初めて“言葉”が重要な役割を持って作品内に登場します。

今作品には、ラファエル・ボワテルさんを中心に設立したカンパニー・ルーブリエのメンバーが出演。2019年の来日公演『When Angles Fall/地上の天使たち』以来、6年ぶりに世田谷パブリックシアターのステージに戻ってきます。特にエアリアルに関しては、ほかでは見ることができない画期的な装置を使ったスタイルが注目されており、今回の来日公演でどのような形で使われるのか期待が高まります。

フランス現代サーカス界を牽引 ラファエル・ボワテルとは

今回、演出と振り付けを務めるラファエル・ボワテルさん。10代の頃から現代サーカスの先駆者的存在であるジェームズ・ティエレさんの作品に参加し、技術や表現を磨いてきました。身体表現・演劇・映像・照明などを融合させた独自の演出スタイルが特徴で、現在は自身のカンパニー「カンパニー・ルーブリエ」を率い、世界各地で作品を発表しています。

今回上演する作品『Ombres Portées/キャストシャドウ』について、「これは家族の物語、家族の秘密、そしてその秘密がそれぞれの家族に与える影響を描いています。家族とは、心地よく安心できる場所、繭のような存在です。でも私は、時に家族の中で眠っているものが、目を覚ます必要もあると思ったのです。そのすべてが、詩的な美しさと光に満ちた瞬間、そして同時に本当の緊張感とドラマを伴って描かれます。それぞれの内面へと深く潜り込んでいくような瞬間、光が身体を彫刻のように浮かび上がらせ、音楽が観客の心をつかむ瞬間があります。この作品を観るのに、特別な説明書は必要ありません。ただ受け取って、感じてもらえればいいのです。誰もがきっと、自分自身をこの作品の中に見出せると思います。なぜなら、それは「人生」について語っているからです」とコメント。

家族という私たちにとって最も身近な存在。その光と影の部分を、あらゆる表現方法を駆使して私たち観客に見せてくれることでしょう。

カンパニー・ルーブリエ/ラファエル・ボワテル『Ombres Portées/キャストシャドウ』は、2025年10月24日(金)~26日(日)まで、東京・世田谷パブリックシアターにて上演されます。3回のみの貴重な公演となりますので、お見逃しなく!

また、10月28日(火)、29日(水)には、ラファエル・ボワテルさんを講師にサーカスワークショップも開催されます。パフォーマーとして活動されている方はもちろん、一般向けにもワークショップが開催されますので、ラファエル・ボワテルさんが作る世界観を少しでも体感したい方は、参加されてみてはいかがでしょうか。詳しくは公式ホームページをご覧ください。

nan

今回は作品を見るだけでなく、演出を務めたラファエル・ボワテルさん本人によるワークショップが開催されることがとても素敵な機会だなと思いました。演出をした本人から話や表現方法を学ぶことができる特別なチャンスを存分に活かして、自分自身の表現力や舞台への理解を深められる貴重な機会になるのではないでしょうか。