大ヒット映画『Pretty Woman』を原作にしたミュージカルの日本版初演が2026年1月に東急シアターオーブで開幕します。ヴィヴィアン・ウォードをWキャストで演じる星風まどかさん、田村芽実さんに本作の魅力を伺いました。
「自分に負けたくない」強さを開花させて

−出演が決まる前、本作にはどのような印象を持っていましたか。
星風「海外公演のPR動画を拝見したのですが、ヴィヴィアンの存在感と、とにかくハッピーなミュージカルということが凄く伝わってきて、短い動画でもワクワクしました」
田村「原作映画は私も大好きな作品ですし、父と母が1番好きな映画なんです。自分たちの青春だと言っていました。昨年の来日公演も観ていて、映画とはまた異なる印象がありました。とにかく楽しい気持ちになった作品でした」
−出演が決まっていかがでしたか。
星風「凄く嬉しかったです。私はこの作品が、宝塚を卒業してから初めてのオーディションだったんです。他の作品で、オーディションを受けて役を勝ち取った方々を目の当たりにしていたので、本当に緊張しました。ヴィヴィアンという役は今まで私が演じたことのない挑戦的な役だったので、オーディションをする度にドキドキしましたし、回数を重ねるごとに“絶対に掴み取りたい”という思いが増していきました」
田村「私は受からなかったらこの仕事を辞めようと思うくらい、この役に懸けていました。経歴を重ねてきて、これからどうしようと思い悩んでいたタイミングで受けたオーディションでしたし、ヴィヴィアンという女性も常にここ以外のどこかに行きたいと強く思っている女性だったので、今の自分にしか演じられないものがあるのではないかという運命めいた気持ちになり、どうしても演じたいと思いました。出演が決まった時は今までで一番嬉しかったかもしれないです」
−ダブルキャストとして星風さん、田村さんが演じると知った時はいかがでしたか。
星風「たまたま『キンキーブーツ』を拝見していて、可愛すぎて!パワフル、キュートという言葉が合う、ヴィヴィアンにぴったりな方だなと思いました。ヴィジュアル撮影で一瞬お会いしただけでも、エネルギーに溢れた方だったので、これからお稽古を重ねて同じ役として深め合えるのが楽しみです」
田村「全然違うヴィヴィアンになるんだろうなと感じました。歳も同世代なのでお稽古も楽しみですし、ダブルキャストの醍醐味は良い意味で解釈が違って、良い意味で違う役になることだと思うし、それが私は大好きなんです。だから今からとても楽しみにしています」
−ヴィヴィアンという役への印象はいかがですか。
星風「私自身も自分に負けたくないという強さはありまして、そこが長所だなと思えるようになってきたので、ヴィヴィアンの女性として自分の価値を自分で決めていく!という強さに共感しました。私はかっこいい女性に憧れるので、彼女の自分で掴み取っていく姿に憧れもあります。ヴィヴィアンのエッセンスが少しでも自分にあるのなら、それをもっともっと開花させて、役にフィックスして演じられたらなと希望を抱いています」
田村「ヴィヴィアンは人の心をバンっと開けられる魅力がある女性だと思います。それはヴィヴィアンが意図しているわけではなく、元々持っているもの。人の瞳の奥に入り込む勇気や、度胸がある女性だと思っていて、意外と私も怖いもの知らずなところがあるので、そういうところは似ているのかなと思います。彼女には強い意志がありますし、それだけでなく、複雑なないまぜの感情もしっかりと表現しながら演じられたら良いなと思っています」
「人を信じる力が強い」ヴィヴィアンの美しさ

−ヴィヴィアンはなぜ周囲の人を惹きつけると思いますか?
星風「まっすぐなところだと思います。何にも嘘がなくて、誰に対しても、自分に対しても、区別をしない。そういうところが周囲を惹きつけるのだと思います」
田村「人を信じる力が強いのかなと思います。だからこそ傷ついたり、悲しい気持ちになったりすることもあるのですが、何かを信じようとする気持ちはとても美しいものだと思います。そういう美しさがエドワードの心を動かしたのかなと思います」
−本作の音楽についても魅力を教えてください。
星風「オーディションで歌った楽曲はとても難しかったです。お芝居をした流れで歌うとなると、息の流れや感情も変わってくるので、どうなっちゃうんだろうとドキドキしているのですが、キャラクターの心情や、作品のハッピーさが浮き出てくるような立体的な楽曲ばかりなので、しっかり役として歌えるようになりたいです」
田村「ハッピーな音楽ばかりなので、ずっとサントラを聴いています。ハッピーな楽曲だけでなく、耳心地の良い、浸れるような楽曲もあるので、凄く好きです」

−エドワード役の城田優さんの印象はいかがですか。
星風「ヴィジュアル撮影の時にお会いしたのですが、私は本当に人見知りなのでカチコチになってしまって…多分私カタコトだったと思います(笑)。皆さんとお話しされている様子を見ていて、凄く気さくな方なんだなという印象でした。何でもやって良いよと言ってくださる、その器の大きさのようなものを今でも覚えています。」
田村「私は最近音楽番組でもご一緒しました。ヴィジュアル撮影でも本当に優しくて気さくで面白い方だなという印象です。その中で垣間見える繊細さみたいなものも私は感じていて、そこが素敵だしエドワードっぽいなと思っています。ヴィヴィアンが入り込む隙があるような感じがします」
「共に成長していく2人が魅力」「通じ合う存在がいる素敵さ」

−お互いの印象についても教えてください。
星風「芸歴が長くていらっしゃって、小さい頃から社会で働いていて本当に凄いなと思います。私も宝塚歌劇団にいましたが、音楽学校時代は自分の中では下積みのような感覚なんです。初めのうちは芸事が好きという想いだけで、もちろんやっていくうちにプロ意識が芽生えていきましたが、プロとしてずっと活躍されていらっしゃるのが本当に凄いなと思います。お会いしてみて、私がイメージしていた“田村芽実”そのものというような、笑顔が華やかでエクボがキュートな感じがそのままだったので、凄く嬉しかったです。太陽のようなふわふわとした可愛さが眩しくて、憧れます」
田村「私は元宝塚の方とご一緒した経験は何度もあるんですけれども、こんなに同世代の方とご一緒するのが初めてなんですよ。宝塚を目指していた時期があったので、高校生の頃、同世代の子が、毎日音楽学校で朝から夜まで練習しているんだということに凄く焦った時期がありました。自分の中では見えないライバルというか、憧れの存在だったので、こうやってご一緒するのが嬉しい気持ちと、感慨深い気持ちがあります」
−ヴィヴィアンとエドワードは、互いが当たり前だと思っているものが違うからこそ、そしてその違いを面白いと感じたからこそ、惹かれあったのだと感じます。作品の舞台は1990年代ですが、違いを超えて惹かれ合う2人の関係性は現代にも通じるものがありますよね。
星風「年齢も環境も違う2人が惹かれあって、共に成長していく物語というのは魅力的ですし、とても平等な関係性でもあると思います。そして強い芯を持って自分の道を自分で切り拓いていく女性というのに憧れがある人も多いと思います。色々な魅力が重なってくる関係性だなと思います」
田村「現代では、女性がもっと社会進出をしよう、強く生きねばというメッセージが多いと思うのですが、強く生きる方向性は仕事だけでなく、どこでも良いものだと思うんです。芯を持って頑張ることは、恋愛であったり、家庭であったりしても良い。この作品はエドワードに対して芯を持って向き合っていて、何もかも1人でやってのけるのではなく、通じ合う存在がいるというところがすごく素敵なところだと思います。作品が現代に合わせてアップデートされているからこそ、象徴的にそれを受け取れるようになっていると思います」

−最後にメッセージをお願いします。
星風「私のように、自分の道を自分で切り拓く女性に憧れ、勇気をもらう人は多いと思います。今自信がなかったり、一歩が踏み出せなかったりする人も、背中を押してもらえるような作品になればと思います。ハッピーミュージカルなので、最後はみんなで笑ってお家に帰っていただけたら、こんなに幸せなことはありません」
田村「日本版初演なのでそれを本当に楽しみにしていただきたいと思いますし、父と母から映画『Pretty Woman』は青春だったと聞いているので、それが思い出せる作品になりつつも、またそこから現代的な感覚にアップデートされ、今を生きている方達に刺さるところもたくさんあると思います。今は不況続きで、悲しいニュースも多い時代だと思うので、皆さんとハッピーな気持ちを分かち合えたら良いなと思います」
『PRETTY WOMAN The Musical』は2026年1月22日(木)から2月8日(日)まで東急シアターオーブ、3月1日(日)から3月8日(日)までオリックス劇場にて上演されます。公式HPはこちら
いつもキュートに力強く役を演じられているお二人。『PRETTY WOMAN The Musical』ではその魅力が存分に堪能できそうです!


















