2年ぶりの新作上演となる阿佐ヶ谷スパイダーズ。本作は山あいの小さな村を舞台に、“正義”をめぐる群像劇が展開されます。劇団としては珍しい小劇場での上演のため、阿佐ヶ谷スパイダーズならではの空気感を、より間近で体感することができます。一体どんな物語が待っているのでしょうか。
“正しくあること”とは何か 正義を問う作品『さらば黄昏』とは
新作である『さらば黄昏』は、山に囲まれた過疎化の進む村を舞台に、一人の駐在さんとその村に住む住民たちの心理にスポットをあてた濃密な会話劇です。ひとりひとりが胸に抱く“正義”、そんな普遍的なものをテーマに物語が描かれます。
〈あらすじ〉
ざわつく住民たち。
あの日以来、駐在としてこの村を守ってきた流れ者の竹井巡査。
還暦を過ぎ、いよいよ故郷に帰って余生を過ごそうと旅立つ直前、飛び込んできた報せ。
あいつが、帰ってくる。
小さな村の正義がぐらりと揺れる。
劇団の主宰であり、本作品の作・演出を務める長塚圭史さんは、「さて、『さらば黄昏』は正しさの話。つまりは間違っていることの話なのでしょうか。これはひとりの正義の話ではなく、ひとりひとり、個々の心に灯る正義のこと。
中村まこと演じる派出所の駐在員が町の平穏のために文字通り奔走するのですが、それでもやっぱりひとりの正義のことではない。
幼少期から見続けてきた私のヒーローたちの影が現在に何を映すのか。」とコメント。
正義は正義でも、善と悪とで簡単に割り切ることができない。それぞれの立場での“正しさ”について見つめる作品となりそうです。
個性と実力を兼ねそろえた劇団員が集結
今回、主演・竹井大巡査を演じるのは中村まことさん。劇団「猫のホテル」の創設メンバーでありながら、2017年に阿佐ヶ谷スパイダーズに加入し、劇団公演だけでなく外部公演でも精力的に活動されています。プロデュース・ユニット時代から作品に参加しており、劇団のことを熟知されている俳優さんです。
そして共演には李千鶴さん、大久保祥太郎さん、西山斗真さん、すやまあきらさん、中山祐一朗さん、志甫まゆ子さん、宮崎柊太さん、板崎泰帆さん、内藤ゆきさん、木村美月さん、長塚圭史さん、村岡希美さんと、旗揚げメンバーから昨年入団のニューフェイスまで、劇団の多彩な顔ぶれがそろいます。
また本編中のある場面では、今回出演者として名を連ねていないメンバーが登場したり、普段舞台に上がらない人も含めて劇団員はみんな舞台に上がるような場面を作ろうと企んでいるとのこと。そんなところも含めてどんな作品になるのか期待が膨らみます。
阿佐ヶ谷スパイダーズ『さらば黄昏』は、11月8日(土)~30日(日)まで東京・下北沢の小劇場楽園、12月6日(土)に長野・まつもと市民芸術館小ホールにて上演されます。東京公演では、観劇前のトークショーやバックステージツアー、視覚障害観劇サポートが実施されます。詳しくはホームページをご覧ください。
約100席ほどしかない小劇場楽園という劇場で、熱気ある劇団公演を見ることができるなんてとても贅沢だなぁと思いました。濃密な会話劇を間近で見届けることができたらと思っています。


















