P.L.トラバースの小説とウォルト・ディズニー・カンパニーによって 1964 年に製作された映画『メリー・ポピンズ』を原作に、キャメロン・マッキントッシュの手により2004年にミュージカル化した超大作ミュージカル『メリー・ポピンズ』。2018年、2022年に日本版キャストで上演され、2022年公演ではコロナ禍の日本に温かな希望を届けました。2026年3月、待望の再々演を迎える本作の、製作発表イベントの様子をお届けします。

「チム・チム・チェリー」「何もかもパーフェクト」「鳥に餌を」「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」4曲を披露

ミュージカル『メリー・ポピンズ』製作発表イベントには、
メリー・ポピンズ役の濱田めぐみさん、朝夏まなとさん、
バート役の大貫勇輔さん、小野田龍之介さん、上川一哉さん、
ジョージ・バンクス役の小西遼生さん、福士誠治さん、
ウィニフレッド・バンクス役の木村花代さん、
バードウーマン/ミス・アンドリュー役の島田歌穂さん、樹里咲穂さん、
ブーム提督/頭取役のコング桑田さん、安崎求さん、
ミセス・ブリル役の浦嶋りんこさん、久保田磨希さん、
ロバートソン・アイ役の石川新太さん、DIONさん、
さらにアンサンブルキャスト、子役キャストが登壇しました。(メリー・ポピンズ役:笹本玲奈さん、ウィニフレッド・バンクス役:知念里奈さんは欠席)

最初に披露されたのは本作を代表するナンバーの1つ、「チム・チム・チェリー」(Chim Chim Cher-ee)。2026年公演から新たにバート役を務める上川一哉さんが登場し、4000通ほどの応募の中から抽選で選ばれた一般オーディエンス200名のすぐそばで歌唱。

さらに濱田めぐみさん、朝夏まなとさん、大貫勇輔さん、小野田龍之介さんも舞台上に現れ、本作の舞台である1910年のロンドン、チェリー・ツリー・レーンの世界へと誘います。

続いて濱田めぐみさん、朝夏まなとさんが「何もかもパーフェクト」(Practically Perfect)を披露。初演からメリー役を演じ続ける濱田めぐみさんは、既にメリーとして楽曲を楽しんでいるご様子。朝夏さんは一音一音丁寧に紡いでいき、作品に向き合う真摯さが伝わります。

島田歌穂さん、樹里咲穂さんは「鳥に餌を」(Feed the Birds)を温かに歌唱。賑やかで華やかな楽曲が多い本作の中で、静かなメッセージ性を持ち、ウォルト・ディズニーも非常に愛した楽曲です。

最後に名曲「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」(Supercalifragilisticexpialidocious)が全キャスト、Wキャストもアンサンブルキャストも勢揃いしたパワフルな歌唱で披露され、自然と手拍子が湧き上がるマジカルな瞬間に。

エネルギッシュなパワーで会場が満たされていきました。

“どんなことでもできる”と感じてほしい

初演から本作に携わり、3度目のメリー・ポピンズ役となる濱田めぐみさんは、「メリーを演じていきながら自分の中を旅しているような気持ちもありまして、私自身がメリーに教わることも多いです。色々な状態・環境で観にきてくださったみなさんが、帰る時は笑顔で同じことを思われているなと感じます。魔法によって自分の中で見たくなかった部分、あえて蓋をしていた部分を見た時に、それは怖くなかったんだ、そんなにひどいことじゃなかったと安心感を感じていらっしゃる。その瞬間を舞台上で感じることがあります。
メリーの “どんなことでもできる”という台詞が一番大好きなのですが、毎回演じた後、会場に来てくださった全員が“自分はなんでもできる、どんなことだってできる”と思ってくださったら良いなと思います。今回も世界的な情勢を考えるとすごくタイムリーに『メリー・ポピンズ』が上演されるなと個人的に思っているんですけれども、色々なことを感じてもらって、色々な自分に出会っていただけたらなと思います」と想いを語ります。

今回が初参加となる朝夏まなとさんは「メリー役が決まった時、色々な方から“頑張ってね”“大変そうだね”“大変なんだよね”とたくさん言ってもらい、自分自身もそうだろうなと思っていたのですが、メリーの先輩である濱田さん、そして笹本玲奈ちゃんが“大丈夫だよ。大変だけれど、一緒に頑張ろう、一緒に作っていこう”と温かい言葉をかけていただいて、一気に“よし、私もどんなことだってできる”と思いました。1つ1つ丁寧に作っていって、私らしいメリーが見つかったら良いなという気持ちで今はおります」と心境を。

バート役の大貫勇輔さんは、「家族が成長していく物語でもあるんですけれども、バートとしては、「ステップ・イン・タイム」でタップをしながら壁を登って、逆さまで歌を歌うあの景色は、きっとこの作品でしか見られない景色の一つ。本当にエキサイティングで興奮します。忘れられない景色をまた見られると思うと本当に今からわくわくしています」とバート役ならではの醍醐味を語ります。

小野田龍之介さんは、「悲劇で涙されるお客様はたくさんいらっしゃると思うんですけれども、幸福感や喜び、迫力で涙が流れる作品というのはなかなかないんじゃないかなと感じています。日本ではまだ初演から8年、3度目の上演ですが、20年30年上演しているような、『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』くらい日本で愛されているような感覚があります。
きっとこの作品は日本人の感性にすごく合っているのだと思います。演じる上で、これはどの作品でもそうですが、日本人にしか描けない、繊細さというのが絶対あると思います。日本ならではの感動を届けることができるし、今まで届けてきたからこそ、喜んでいただいたんじゃないかと。自信を持って今回もしっかりと作っていきたいと思います」と意気込みを。

今回でバート役として初参加となる上川一哉さんは、日本初演で本作を観劇していたことを明かし、「いつか必ずこの役を挑戦したいと思っていたので今回チャレンジする機会をいただいて本当に嬉しく思います。大変なことがたくさんあると思うんですけれど、誰よりも楽しんでいけたらいいなと思います」と前向きにコメントしながらも、なんと「僕は高いところが本当に苦手なので…」と思わぬ告白が!これには先輩バートの小野田さんから「バートとして致命的…!」とツッコミが入りつつも、「克服できれば」と意気込む上川さんでした。

島田歌穂さんは、製作発表でも歌唱した「鳥に餌を」(Feed the Birds)について、今回初参加となる樹里咲穂さんへのアドバイスを問われると、「以前から大好きな曲で、よくコンサートとかでも歌わせていただいていたんです。それを実際に舞台上で歌える瞬間は毎回至福の時間で、歌えば歌うほど、曲の深さ、そこに込められた愛、色々なものをもらっています。メリーと目を合わせると、毎回感動して…素晴らしい楽曲の世界に自然と力をもらいながら、きっと素晴らしいシーンになられると思います。作品と楽曲の力を信じて」と熱い想いが伝わるメッセージが。

樹里咲穂さんは「最近子どもをいじめる役ばっかりやっておりますので(笑)、優しくて心がほどけるような楽曲を歌わせていただくというのは初めての機会で、製作発表で歌わせていただくだけでも、どうしたものかとガタガタ震えておりました。でも歌穂さんと最後に目を合わせて歌った時、“これで良いのかも”と思え、楽曲の持つ力、素晴らしさを感じました。身を委ねて、作品の素晴らしさと楽曲の素晴らしさ、共演者の皆さんの力を借りて、頑張っていきたいと思います」と意気込みます。

ジョージ・バンクス役の小西遼生さんは「今回半分以上初参加の方がいる中の1人です。とても明るいカンパニーだなと思っております。『メリー・ポピンズ』ファミリーに早くなれることを願って、稽古して本番まで迎えていきたいと思います」、

福士誠治さんは、「不思議な世界、魔法がかかっている世界の中で、一番物語の軸となる家族の愛を体現できるように。そしてお父さんの中にある子ども心、僕自身ももしかしたら忘れているような気持ちをこの作品で見つけることができたら良いなと思っております」とコメント。

ウィニフレッド・バンクス役の木村花代さんは、「初演に続きまして3番目の出演となりますが、今回なんと旦那さんの役が若返るということで(笑)、私もフレッシュな気持ちで心新たに頑張っていけたらなと思います。『メリー・ポピンズ』という作品が大好きで、毎回メリーの魔法にかけていただき、人生のバイブルともなっている作品です。皆様にも夢と愛を届けられるように精一杯演じたいと思います」と意気込みます。

ブーム提督/頭取役のコング桑田さんは「初演から出させていただいておりますけれど、今回は最後のカーテンコールのダンス、完璧に毎回踊れるように努力いたしますのでよろしくお願いしたいと思います!劇場に1回、いいや!2回3回とメリーの魔法にかかってください」と会場を沸かせ、

安崎求さんは、「ディズニーの吹き替えは何本か経験があるんですけれども、ディズニーの舞台は初めてです。大変興奮しております。『メリー・ポピンズ』の大先輩であるコングさんに色々と教わりながら、楽しんで、楽しんで、楽しんで!(笑)まいります」とチャーミングにご挨拶。

ミセス・ブリル役の浦嶋りんこさんは、「ロバートソン・アイもフレッシュな方がいらっしゃいますので、新しい叱り方を身につけて(笑)、バンクス家のために頑張って働きたいと思います」、

久保田磨希さんは、「普段、再演の作品に携わるときには、心新たにフレッシュにと心がけて稽古していくんですけれども、今回は初演再演で手に入れたミセス・ブリルに自信を持って、厚かましくもバンクス家のベテラン家政婦として役を構築していきたいと思います。そして厚かしくもミュージカル『メリー・ポピンズ』のベテランとして皆さんを支えていくことが私の今回の役割じゃないかなとも思っております」と頼もしいコメントが。

ロバートソン・アイ役の石川新太さんは、「またこの世界に帰ってくれて本当に嬉しいです。今回も精一杯頑張りたいと思います」、

DIONさんは「大好きな『メリー・ポピンズ』に携われることを本当に嬉しく思っております。誠心誠意頑張りますのでよろしくお願いします」とご挨拶されました。

会見後半には、会場に足を運んだ一般オーディエンスに向け、オリジナルファイルやTシャツ、キャストのサイン入りポスターが当たる抽選会を開催!キャスト1人1人からグッズが手渡されました。最後には「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」をオーディエンスと歌唱し、本作らしい、温かで賑やかなクリスマスプレゼントが贈られました。

ミュージカル『メリー・ポピンズ』は2026年3月28日(土)から5月9日(土)まで東急シアターオーブ、5月21日(木)から6月6日(土)まで梅田芸術劇場 メインホールにて上演。公式HPはこちら

撮影:晴知花
Yurika

先行きの見えない日々の中、全てに悲観的になっていた時にこの作品に出会いました。やっぱり演劇は不要不急じゃない、私が大事にしていたものがここにあったと生きる力をもらい、涙が止まらなかったことを覚えています。今の時代にもきっと、わたしたちの心に灯りをともしてくれると思います。