『エリザベート』『モーツァルト!』などの名作を生んだミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイのゴールデンコンビが、英国女王エリザベス1世の半生を大胆な解釈で描き出すミュージカル『レイディ・ベス』。8年ぶりの日本公演に向け、製作発表会見が行われました。

「COOL HEAD」「悪魔と踊らないで」「俺は流れ者」「秘めた思い」を披露

製作発表に登壇したのは、奥田いろはさん(乃木坂46)、小南満佑子さん、有澤樟太郎さん、手島章斗さん、丸山 礼さん、有沙 瞳さん、内海啓貴さん、松島勇之介さん、小池修一郎さん(宝塚歌劇団)。

まず本作から各キャラクターを象徴する楽曲が披露され、内海さん、松島さん演じるフェリペの思惑が見え隠れする「COOL HEAD」、

丸山さん、有沙さん演じるメアリー・チューダーが「悪魔と踊らないで」を披露。

シリアスな雰囲気から一転して吟遊詩人のロビン・ブレイクを演じる有澤さん、手島さんが軽やかに「俺は流れ者」を歌唱。

最後にレイディ・ベス役の奥田さん、小南さんがベスの確固たる意志を感じさせる「秘めた思い」を歌唱しました。

エリザベスの物語を現代の視点、若いキャストの感性で

小池修一郎さんが演出・訳詞・修辞を手がけ、2014年に帝国劇場で世界初演を迎えた本作。2017年に再演後、2022年にスイスで上演され、日本では8年ぶりの上演を迎えます。

小池さんは本作のタイトルが『レディ・ベス』から『レイディ・ベス』に変わったことについて、「日本では『マイ・フェア・レディ』の認知度が高かったので、レディの方が親しみがあったと思うのですが、舞台上で登場人物たちはベスのことをレイディとだけ呼ぶシーンもたくさんあるし、レディだと軽く聞こえてしまうこともあるので、題名から変えた方が良いであろうと思いました。またベスはプリンセスを剥奪されて、レイディと呼ばれているということ。そこからクイーンになる様が描かれている物語だからこそ、あえて『レイディ・ベス』というタイトルが作品に付けられていると思うので、そのように改めました」と語ります。

さらに8年ぶりの上演ということで、ミヒャエル・クンツェさん、シルヴェスター・リーヴァイさんの直しが入ったことが明かされ、「同じ曲で歌詞が全く違うものがいくつか」「要素は変わらないが、並び替えることでベスの生き方が強く押し出されている」そう。「この物語が改めて2026年に観ている観客の方に何らかの共感を得るものになるっていうことはすごく感じました。ちょうど日本も女性首相が誕生いたしましたけれども、若い女性がいかにして国を引っ張っていくかではなくて、引っ張っていく立場にどうなっていくかという物語としてみていただけたら良いのではないかなと思っております」と語りました。

本作が初座長、初のタイトルロールとなる奥田いろはさんは驚きと不安を明かしつつも、「私が見えないところで私を信じて選んでくださった方がいらっしゃるはずだから、その方々にまず誠実に頑張りたいなと思いました。小池先生とご一緒できるのは三度目で、もう本当に小池先生の演出はとても美しいので、先生についていくぞという気持ちです」とコメント。

小南満佑子さんもグランドミュージカルの初主演ということで、製作発表前は「ど根性ガエルぐらい結構心臓がドキドキしていた」とユーモラスな表現で緊張を明かします。オーディションに臨むにあたり、エリザベス女王について様々な書籍や映画から学び、「波乱万丈な人生を送られていて、私に務まるだろうかという不安がありながらも、この人の人生を生きたいと強く願いました」と役柄に惹かれたことを語りました。

有澤樟太郎さんは本作出演にあたり、「自分が挑戦した事のないジャンル、世界観だったので、すごく新鮮だなと思いました。自分の周りの知っている役者たちが小池さんと一緒にやられているのを見ていたので、“ついに自分も来たか”と(笑)、思いました」と心境を明かし、「みなさんの期待を上回る、衝撃を与える作品を作らないといけないというプレッシャーを感じています。僕たちならできると思っています」と意気込みました。

手島章斗さんは「色々な曲調があって、僕が思っていた“ザ・ミュージカル”な掛け合いも多かったので、僕自身はそこがすごく楽しみです。色々な挑戦を繰り返しながら、学びながら、稽古を頑張っていきたい」と意気込みを。

丸山 礼さんは本作がミュージカル初出演。丸山さんが主演したドラマ『ワタシってサバサバしてるから』や、YouTubeで公開されている文化祭で歌唱している姿、フジテレビ番組『千鳥の鬼レンチャン』でのカラオケ挑戦の様子を見て、小池さんがオーディション参加を打診したそう。

ユーモアたっぷりに場を和ませながら、「お話をいただいた時はびっくりして、大丈夫なのかなと不安があったのですが、芸歴10周年を超えて何かに挑戦してみたいという思いもありましたし、ドラマや映画に挑戦させていただいて、ミュージカルという新しい挑戦もやり切りたいなと思っております」と意気込みます。

有沙 瞳さんは「小池先生と2年半ぶりの作品をご一緒できるということで、本当に嬉しいです。宝塚を卒業してからも先生の作品に出たかったので、その夢が一つ叶ったのと、リーヴァイさんの代表作に出させていただける、そして、ほとんど初めましての皆さんと一つになって作品を作れることを本当に嬉しく思います」と喜びを語ります。

内海啓貴さんは「まさか神奈川の田舎出身の男がスペイン王になるとは思いませんでした(笑)。3度目の小池さんとの作品なんですけれども、毎回新しい色を見つけてくださるので、今回もフェリペを通して新しい内海啓貴を舞台上で見せられたら」とコメント。

松島勇之介さんは初のグランドミュージカル出演。「オーディションを受けるだけで良い思い出になりそうだと思ってしまったのですが、もちろん全身全霊でオーディションを受けさせていただきました。フェリペはおそらく僕と正反対の男なので、演じるのが楽しみでワクワクしています」と心境を語りました。

撮影:蓮見徹

フレッシュなキャストでおくる、ミュージカル『レイディ・ベス』。2026年2月9日(月)から3月27日(金)まで日生劇場、4月4日(土)から13日(月)まで博多座、5月3日(日)から10日(日)まで御園座で上演されます。公式HPはこちら

Yurika

ミュージカル初出演や初主演など、とてもフレッシュなカンパニーなのだなと改めて実感しました。レイディ・ベスの視点を強く押し出した新しい『レイディ・ベス』の物語が楽しみです。