「若き日のシェイクスピアが、ロミオとジュリエットのような禁断の恋を実際にしていたら…」というもしもの話から生まれた物語『恋に落ちたシェイクスピア』。1998年に公開された映画は、第71回アカデミー賞で作品賞、脚本賞、主演女優賞を含む7冠に輝いた名作です。
01 許されざる恋に落ちたシェイクスピア
舞台は16世紀末・エリザベス朝のロンドン。資金難の劇場「ローズ座」の支配人ヘンズローは、ウィル(シェイクスピア)の新作を資金の充てにしていました。ところが当のウィルはスランプに陥り脚本が書けておらず、台本もないまま出演者オーディションが始まってしまいます。そこに「トマス・ケント」と名乗る青年が現れ、才能に惚れ込んだウィルは主役に抜擢。しかし青年の正体は資産家の娘で芝居を愛するヴァイオラでした。
当時女性が舞台に立つことは公序良俗違反で禁止されていたため、男装しオーディションに潜り込んでいたのです。ウィルはひょんなことからケントの正体を知ってしまいますが、ヴァイオラの美貌に一目惚れしこの件を黙認、2人は一目を忍んで愛を育んでいきます。関係が進むにつれて新作『ロミオとジュリエット』の執筆にも力が入るウィル。しかし、ヴァイオラはウェセックス卿との望まぬ結婚を前にしていました。
02 フィクションとは思えない、虚構と真実が混ざり合った名作
この物語はフィクション。ですが、シェイクスピアをはじめ実在する人物も多く登場し、当時の時代背景などが色濃く反映されたストーリーはまるで虚構とは思えない描写です。特にウィルがスランプで悩む中、ヴァイオラとの運命的な出会いがきっかけとなって再び創作意欲を取り戻し、2人の恋模様と『ロミオとジュリエット』の内容が重なっていく展開は「本当にこのように書かれたのでは」と思ってしまいます。
他にも、シェイクスピア作品の台詞が散りばめられていたり、「ヴァイオラ」はあの作品の登場人物の名前と同一で物語に深く関連していたり…など各所に仕掛けがあるため、演劇好きにもオススメです。また、2014年にイギリスで舞台化され、その後日本でも劇団四季などで幾度か上演されています。
関西ジャニーズJr.の道枝駿佑さんがロミオ役で出演されるなど、公演ラッシュとなっている『ロミオとジュリエット』。2月より開幕した宝塚歌劇団星組による公演はトレンドに入るほど話題となっています。この機会にぜひセットで観賞してみてはいかがでしょうか?