年末年始は普段忙しい日常から離れ、心豊かな時間を過ごしたい季節ですね。この特別な時期にこそ観たいのが、感動的なミュージカル映画や演劇作品です。友情の絆を描いた『ウィキッド ふたりの魔女』から、シェイクスピアの恋物語『恋におちたシェイクスピア』、若者たちによる人生讃歌『RENT』のほか、新しい1年への希望を与えてくれる作品をセレクトしました。配信サービスで手軽に楽しめる作品ばかりなので、温かい部屋で大切な人と、あるいはじっくりひとりの時間に、心に響く物語との出会いをお楽しみください。
『ウィキッド ふたりの魔女』
ブロードウェイをはじめ、世界中で多くの人々を熱狂させたミュージカル『WICKED』。アメリカで最も親しまれている童話「オズの魔法使い」を原作に、ふたりの魔女の友情を描いた物語です。
魔法と幻想の国オズにある”シズ大学”で出会ったエルファバとグリンダは、反発し合いながらも次第に友情を育んでいきます。ある日、偉大なオズの魔法使いに力を見出されたエルファバは、グリンダとともに彼が司るエメラルドシティへ旅立ちます。そこで彼女らを待ち受けていたものとは……。
この大ヒットミュージカルを映画化したのが、2025年3月に日本でも公開された『ウィキッド ふたりの魔女』です。監督を担当するのは『クレイジー・リッチ!』や『イン・ザ・ハイツ』など、続々とヒット作品を生み出しているジョン・M・チュウさん。
そして、後に悪い魔女と呼ばれるエルファバ役を、トニー賞やエミー賞など数々の受賞歴を持つシンシア・エリヴォさんが演じています。また、後の善い魔女・グリンダ役を演じたのは、世界的シンガーのアリアナ・グランデさんです。
本作は第97回アカデミー賞の10部門にノミネートされ、そのうちの「衣装デザイン賞」「美術賞」の2部門で受賞を果たしました。
作中でエルファバが歌い上げる「Defying Gravity」には、権力に立ち向かい自分の意志を貫き通す強い想いが込められています。エルファバ役のシンシア・エリヴォさんによる「Defying Gravity」は圧巻です。
エルファバのまっすぐな正義感、グリンダのユーモラスだけど思わず共感してしまいそうな脆さ、正反対のキャラクターの生き様が、私たちの心に深く響く名作です。特に仲良しの友人と一緒に観ると、作品をより楽しめるかもしれません。
続編の『ウィキッド 永遠の約束』は、2026年3月6日(金)から日本公開となります。年末年始に配信で視聴することで、続編への予習になるかもしれませんね。
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また、シンシア・エリヴォさんとアリアナ・グランデさん(グリンダ役)をはじめとする出演者によるパフォーマンス『ウィキッド・スペシャル:忘れられない一夜』もAmazon Prime Videoで配信中です。視聴すると、ますます本編を楽しめるかもしれません。『ウィキッド・スペシャル:忘れられない一夜』の視聴はこちら
『恋におちたシェイクスピア』
演劇好きな方におすすめなのが、1998年度のアカデミー賞で7部門を受賞したラブロマンスの傑作『恋におちたシェイクスピア』です。(本作はミュージカル作品ではありません)
舞台は1593年のロンドン。
テムズ川を挟んで、カーテン座とローズ座というふたつの芝居小屋がありました。
ローズ座では、劇作家ウィリアム・シェイクスピアが新作を執筆していますが、なかなか筆が進みません。そんな中、カーテン座で令嬢・ヴァイオラと出逢ったシェイクスピアは、一目で彼女と恋に落ちてしまったのです。
本作はシェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」の誕生秘話を、ユーモラスに、そして繊細に描いています。注意して観てみると、作中にはシェイクスピア作品の小ネタがもりだくさんです。また、当時の演劇事情なども詳しく描かれているため、シェイクスピアがお好きな方も、よく知らないという方も楽しめる名作です。
なお、本作は東京・竹芝にある劇団四季の「自由劇場」で2026年2月8日(日)まで上演中です。映画を観た後に、舞台でも本作を楽しんでみてはいかがでしょうか。
『恋におちたシェイクスピア』はU-NEXTで配信中です。U-NEXTでの視聴はこちら
劇団四季の作品ホームページはこちら
『RENT』
90年代のNYが舞台のミュージカル映画。イースト・ヴィレッジで暮らす若者たちを中心に、貧困や恋愛、エイズなどさまざまな問題を抱えながら生きる姿が描かれています。
オペラ『ラ・ボエーム』を下敷きに、孤独やAIDSの危機に翻弄されつつも、情熱や友情を糧として懸命に生きる若者たちを描いた魅力的な作品です。
作詞・作曲・脚本のジョナサン・ラーソンが1996年の『RENT』開幕前夜に急逝したというエピソードや、胸を熱く焦がす名曲の数々が、多くの人々に勇気と希望を与えました。
本作を年末年始におすすめする理由は、メインソングである「Seasons Of Love」にあります。この曲には、1年間を52万5600分に換算して、それぞれの瞬間をどのように生きるかというメッセージが込められているからです。
“1年をどう数える?
彼女が知った真実の数 彼が泣いた回数 彼が命を懸けた回数 彼女の死に様
今こそ歌おう 物語は決して終わらない
お祝いしよう 友と過ごした1年を”
楽しいことばかりではないけれど、それでも私たちは一生懸命に生きてきました。
『RENT』を観ながら、この1年間のご自分の頑張りを労いませんか?また、この歌は新しい1年への希望も与えてくれることでしょう。
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『くるみ割り人形と秘密の王国』
年末年始の風物詩を楽しみたい方におすすめなのが、映画『くるみ割り人形と秘密の王国』です。原作はチャイコフスキーが作曲し、”三大バレエ”の1つにも数えられる「くるみ割り人形」というバレエ作品です。
本作『くるみ割り人形と秘密の王国』は、原作バレエを大胆にアレンジし、華やかさや美しさはそのままに、昨今のディズニー作品ならではの手に汗握る展開を楽しめます。
愛する母を亡くし心を閉ざした少女クララは、クリスマスイブの夜にくるみ割り人形に導かれ、誰も知らない秘密の王国に迷い込みます。
「花の国」「雪の国」「お菓子の国」「第4の国」という4つの王国からなるその世界でプリンセスと呼ばれ戸惑うクララでしたが、やがて「第4の国」の反乱によって起きた戦いに巻き込まれていって……。
キーラ・ナイトレイさんやモーガン・フリーマンさん、ヘレン・ミレンさんといった豪華キャストが脇を固めているのにも注目したい点です。この1本を観るだけで、名優たちの共演が楽しめるかもしれません。
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『ANNIE/アニー』
政界進出を目指す男が一緒に暮らすことになったのは、逆境にも負けず前向きに生きる子供でした。やがてふたりは、互いの運命を大きく変えていくことになって……。
原作は、世界大恐慌のニューヨークを舞台に、11歳の孤児・アニーが逆境にひるむことなく前向きに生きる姿を描いたミュージカルです。
日本でも1978年に初上演以来、総上演回数は2000回を超え、全国で195万人の動員数を誇る人気作品として知られています。
ミュージカル『アニー』の代表ナンバーとして知られる「Tomorrow」は、辛いことがあっても未来への希望を忘れない、アニーの魅力が目一杯に詰まった名曲です。
“明日になれば 太陽は昇る
だから明日まで頑張ろう 何があっても
明日がある 大好きな明日”
この純粋で力強いメッセージは、1年間を走り抜けた私たちの胸に強く響くはずです。
アニーの前向きな生き方に、ぜひ元気をもらってください。
『ANNIE/アニー』はNetflixで配信中です。Netflixでの視聴はこちら
『トゥモロー・モーニング』
ロンドンのテムズ川沿いのアパートに暮らすキャサリンとビル。画家と小説家になることを夢見て大恋愛の末に結婚してから10年が経ち、それぞれにキャリアの成功を収めました。
しかし、いつの間にか心はすれ違い、ふたりは離婚を決意したのです。
離婚前夜、出会った頃の結婚前夜の記憶を辿り始めたキャサリンとビルは……。
映画『レ・ミゼラブル』でエポニーヌ役に大抜擢されたサマンサ・バークスさんと、多くのミュージカル作品に主演し、日本でも人気の高いラミン・カリムルーさんがW主演を務める本作。
ふたりの圧倒的な歌唱力と、愛について深く考えさせられるストーリーが心を打ちます。
年末年始には、忙しい日々の中でゆっくりと自分自身と向き合う時間をとる方も多いのではないでしょうか。身近な人との関係性についてじっくり振り返ってみたい方におすすめです。
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『ウィズ』
『ウィキッド ふたりの魔女』と併せて、ミュージカル『ウィズ』の視聴もおすすめです。本作品は『ウィキッド』と同じく童話『オズの魔法使い』を原作としながら、全く異なるアプローチで描かれています。
特筆すべきは、登場人物がすべてアフロ・アメリカンキャストであること。
物語の主人公・ドロシーは、竜巻に巻き込まれて幻想的な「オズの国」にたどり着きます。 ブリキ男、かかし、ライオンとともに魔法使いを探す旅は、まさに現代版『オズの魔法使い』と言えるでしょう。
原作は1974年にブロードウェイで上演され、7つのトニー賞を獲得した同名ミュージカルです。
ドロシー役のダイアナ・ロスさんの歌声と、故マイケル・ジャクソンの若き日のパフォーマンスも圧巻です。マイケルが演じるかかし役での「Ease On Down The Road」は、後の彼の音楽キャリアを予感させる名シーンだと言えるでしょう。
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どの作品も、観ているだけで希望に満ちた新年を迎えられそうなラインナップです! 今年1年を振り返るとともに、美しい歌声や素晴らしいストーリーで、新しい1年に向けて心を潤してください。


















