英国人劇作家ジョージ・バーナード・ショーが1912年に執筆した不朽の傑作喜劇『ピグマリオン-PYGMALION-』。イライザ役に沢尻エリカさん、演出にイギリス演劇界の重鎮ニコラス・バーターさんを迎え、1月20日から東京建物 Brillia HALLにて上演が行われます。開幕を前に取材会と公開ゲネプロが行われました。

散りばめられた「翻訳劇ならではの魅力」

公開ゲネプロ前に行われた取材会には、沢尻エリカさん、六角精児さん、橋本良亮さん、清水葉月さん、玉置孝匡さん、市川しんぺーさん、池谷のぶえさん、小島聖さん、春風ひとみさん、平田満さんが登壇しました。

数々の名優が演じてきたイライザ役に挑む沢尻エリカさんは「お話もらった時から楽しみで、今日を迎えて緊張とワクワク、色々な思いがあります。35公演、楽しみながら、失敗もあるかもしれないですけれど、それも楽しんで出来たら良いなと思います」と意気込みます。

本作の魅力については「女性に勇気を与える作品になっています。普遍的なテーマですし、勇気づけられる作品なので、みんなに共感してもらいたい」とアピール。

ヒギンス教授役を務める六角精児さんは「12月に入る前から色々と話したり、たくさん稽古を積んでまいりました。沢尻さんがおっしゃる通り、失敗もあると思いますけれど、気負わずに落ち込まずに、とにかく稽古したことをしっかりと出したい」とコメント。

また「イライザが女性としてどう変わっていくかというのがとても大切なところだと思います。それに加えて、やはり翻訳劇ですから、日本語に展開させるにあたって、イギリスと日本の解釈の違いがありながら、僕らなりに飲み込んで日本に持ち込んでいます。翻訳劇ならではの魅力というのが散りばめられている気がします。それをお客様に見つけていただけることが何よりも幸いだと思います」と本作の魅力を語りました。

上流階級の家庭で育ったフレディ・エインスフォードヒル役を演じるのは、橋本良亮さん。稽古期間について「風邪を2回引いてしまって、結構な期間、稽古に出られなかったので、その時はちょっと皆さんにご迷惑をおかけしたなと。エリカさんは稽古でも120%でやられるので素晴らしいなと思いましたし、六角さんは舞台の大黒柱と言っても過言ではない存在です。1人1人素敵な方々に囲まれて嬉しいなと思いました」と振り返り、「みんなでワルツを踊るシーンがあるのですが、ワルツを踊ったことがない人が大半で、最初は結構みんなボロボロだったんです。大丈夫かな?と僕も正直心配だったのですが、今となっては凄く良いチームワークでできています。その中でもエリカさんは飲み込みが早くて、最初から完璧で。男性陣が女性陣をリードする場面のはずなのに、エリカさんが男性陣をリードしてくださるような稽古でした」と明かしました。

ピカリング大佐役を演じる平田満さんは「お客様あってのお芝居ですので、お客様が楽しんでくださることを何よりの楽しみに」と観客に想いを寄せます。

ヒギンス家の家政婦ミセス・ピアースを演じる池谷のぶえさんは「特にコメディだとお客様が一緒に創ってくださる感覚があるので、やっとお客様に観ていただけるのがとても楽しみです」とコメントを。

ヒギンス教授の母ミセス・ヒギンス役の春風ひとみさんは「サワサワと、ワクワクと、ドキドキで今ここに立っています。何があってもお客様と一緒に、そしてカンパニーのチームワークで進んでいきたいと思います」と意気込みます。

フレディの母親ミセス・エインスフォードヒル役の小島聖さんは「皆さんがもう色々と言ってくださったので、楽しめたらと思います」とシンプルに。

ヒギンス教授の教え子ネポマック役の市川しんぺーさんは「稽古は皆さんで重ねてきたので、あとは演出のニック(ニコラス・バーター)さんが言っていた通り、その場にあることを信じて、演じれば大丈夫だと思って気楽にやろうと思います」とコメント。

イライザの父親アルフレッド・ドゥーリトル役の玉置孝匡さんは「とてもハードな稽古を重ねてまいりましたので、とにかくお客様に楽しんでいただけると思います」と自信をのぞかせます。

フレディの姉クララ・エインスフォードヒル役の清水葉月さんは「皆さんがおっしゃる通り、たくさん稽古を重ねてまいりましたので今日は今日のステージ上で起こることに集中して楽しんでやっていけたらなと思っております」と意気込みました。

取材会撮影:晴知花

最後に沢尻さんから「私始め、みんなも本当に頑張ってきた稽古の成果をお届けできるのが凄く楽しみです。お客さんと一緒に創るのが舞台だと思うので、その日その日、毎日色々な化学変化があると思います。ぜひ劇場で楽しんで観ていただけたら嬉しいです」とメッセージがおくられ、会見が締め括られました。

夢を見てもいい、そんな人生を生きる

日本でも人気の高いミュージカル『マイ・フェア・レディ』の原作である傑作喜劇『ピグマリオン』。1913年にウィーンのホーフブルク座で初演されて以来、“英語劇の中で最も知的で皮肉な喜劇の一つ(The New York Times)”などと称され、世界中で愛される作品です。

コヴェント・ガーデンで貧しい花売り娘のイライザの訛りを聞き、音声学の専門家ヒギンス教授が「自分なら彼女の訛りを直し、公爵夫人に仕立てることも可能だ」と豪語したのはよく知られている通り。しかし本作では『マイ・フェア・レディ』のロマンティックな結末とは異なる展開が。

沢尻エリカさんはイライザの無垢な女性像を見せながらも、シンデレラストーリーではなく、自身が「花屋のレイディのようになりたい」と目標を掲げ、学び、変わっていく姿をたくましく演じていきます。

レイディらしい言葉遣いをたどたどしく話す姿は喜劇的でチャーミングながら、言葉の奥底からイライザの真の魅力的な人間性が光ります。彼女の中には最初から自分は「ちゃんとした女の子だ」という誇りがあります。学ぶ機会を自ら掴み取り、得た知識や教養といったものは誰にも奪えないものだと気がついていく。その姿に共感する人は、現代にも多いのではないでしょうか。

六角精児さん演じるヒギンス教授は豊富な知識と身分を持ちながらも傍若無人で、イライザにも非紳士的な一面が。時にはイライザに負けず劣らずな言葉遣いで言い争う姿には思わず笑みが溢れます。

ヒギンス教授とは対照的に終始紳士的にイライザと接するピカリング大佐役を演じるのは、平田満さん。その柔らかなオーラでイライザを、そしてイライザと言い合うヒギンス教授を、優しく包んでいきます。

さらに池谷のぶえさん演じる家政婦ミセス・ピアースや春風ひとみさん演じるミセス・ヒギンスもイライザとヒギンスを心配し、その聡明さで支えていきます。

言葉遣いによって身分が大きく変わる、というのは一見すると現代では非現実的に感じるかもしれません。しかし本作にはイライザの「イマドキなおしゃべり」にフレディ(橋本良亮さん)やクララ(清水葉月さん)が目を輝かせる一方で、2人の母ミセス・エインスフォードヒル(小島 聖さん)が「若者にはついていけない」と嘆く、現代にもよく似た光景が。いつの世も言語は変化していき、「正しさ」も変わっていくのかもしれません。

橋本良亮さんは、上流階級の長男ながら母と姉に振り回される愛らしさを見せつつ、イライザの真の魅力にいち早く気づくフレディを若々しく、ピュアに演じていきます。

変化してしまったら、元いた場所には戻れない。その事実に気づき、未来への不安を抱えるイライザを優しく包むフレディ。果たしてイライザは、どんな人生を選び取るのでしょうか。

©舞台『ピグマリオン』2026/撮影:岩田えり

舞台『ピグマリオン-PYGMALION-』は2026年1月20日(火)から2月8日(日)まで東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)にて上演。2月に名古屋・北九州、3月に大阪公演が行われます。公式HPはこちら

Yurika

ヒギンス教授の教え子ネポマックが、イライザの英語は完璧すぎる!完璧な英語を話せるイギリス人はいない、英語を学んだ外国人だ!と語る姿に、イギリス喜劇らしいシニカルな魅力を感じました。