スペインの同名映画をミュージカル化した『神経衰弱ぎりぎりの女たち』が、2026年6月に日本初演を迎えます。確かな実力を有する俳優陣と演出家によって創り上げられる日本版に注目です。
スペイン傑作映画のミュージカル版が待望の日本初演
『神経衰弱ぎりぎりの女たち』は、スペインのペドロ・アルモドバル監督による同名映画を原作に、次々と押し寄せる悩みでぎりぎりの状況に陥る女性たちのドタバタ劇を描いた“ラテンミュージカルコメディ”です。
1988年に公開された映画は同年の第45回ヴェネツィア国際映画祭で脚本賞を受賞し、高い評価を得ました。ミュージカル化にあたってはジェフリー・レーンさんが脚本、デイヴィッド・ヤズベクさんが音楽・訳詞を手掛け、2010年にブロードウェイで上演されると楽曲賞を含むトニー賞3部門にノミネート。さらに、2014年に上演されたウエストエンドではローレンス・オリヴィエ賞2部門にノミネートされ、大いに話題を集めました。その後も2019年にオランダ、2025年にオーストラリアと世界各地を巡った人気作が、ついに2026年に日本へとやって来ます。
<あらすじ>
女優のペパ(望海風斗)が電話のベルで目を覚ますと、恋人・イバン(髙嶋政宏)が唐突に別れを告げる。
「僕は君にふさわしくない」
ペパは風変わりなタクシー運転手(遠山裕介)の助けを借り、彼のアパートへと向かうが、何週間も不在にしていることが判明。イバンを探す女性がもう一人。元妻ルシア(秋山菜津子)。彼女は19年前に自分を捨てたイバンを訴えようと弁護士のパウリーナ(長井短)に相談をしている。しかし、実はイバンの新しい恋人がパウリーナ…!
意気消沈のペパは家に戻り、親友のカンデラ(和希そら)とお互いの悩みを分かち合う。
そんな中、カンデラの恋人がテロリストとして指名手配され、イバンの息子・カルロス(溝口琢矢)とその婚約者マリサ(黒川桃花)が訪ねてきて、ペパは自分が妊娠していることを知り、更に思い詰めたカンデラがペントハウスのテラスから飛び降りてしまう…!
事態が混乱を極める中、それぞれの女性たちの行動が大きな事件を巻き起こす―。
数々の話題作を手掛ける上田一豪による演出
本作では、演出家の上田一豪さんが翻訳・訳詞・演出を担います。上田さんは早稲田大学在学中の2006年に劇団「TipTap」を旗揚げして以来、劇団の全作品で作・演出を担当。「観る人、演る人が隔てなく一つの感動を共有する」オリジナルの作品づくりに打ち込んできました。2026年は劇団20周年にあたり、記念公演の第一弾として、認知症と夫婦の愛を描くミュージカル『星の数ほど夜を数えて』が3月5日(木)から15日(日)まで上演されています。
また、劇団外部においても演出はもちろん訳詞や翻訳にまで携わる多才ぶりを見せており、2023年と2024年に上演されたミュージカル『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』では演出スーパーバイザーを務めました。2024年にはミュージカル『この世界の片隅に』と『HERO THE MUSICAL』での演出の成果により、第50回菊田一夫演劇賞を受賞。このほか近年はミュージカル『next to normal』や『9 to 5』の演出、『Catch Me If You Can』の訳詞・翻訳・演出、『四月は君の嘘』の訳詞・演出など、数多くの作品で観客を引き込む世界観を立ち上げています。今回、スペイン映画をもとにしたブロードウェイミュージカルを日本の観客に向けてどのように演出するのか、気になるところです。
“ぎりぎり”のストーリーを繰り広げる実力派揃いのキャスト
ペパ役で主演するのは、高い歌唱力と繊細かつ豊かな表現力で観る者を惹きつける望海風斗さんです。宝塚歌劇団の雪組トップスターとして活躍し、2021年の退団後も俳優活動に注力。2025年には舞台『マスタークラス』のマリア・カラスやミュージカル『エリザベート』のエリザベートといった芯の強い人物を熱演し、第33回読売演劇大賞の最優秀女優賞と大賞を受賞しました。また、2026年3月2日に発表された令和7年度(第76回)文化庁芸術選奨にて文部科学大臣新人賞を獲得し、今後ますますの飛躍が期待されます。
演出の上田さんとは、望海さん主演のミュージカル『next to normal』で共演した間柄。その上田さんが「望海風斗主演に最もふさわしい作品」と強く推薦したことで本作の上演が実現したといいます。望海さん演じるペパが恋人や友人、そして自分自身に振り回されながらも真剣に生きる姿からは、可笑しさ以上に共感や人生への励ましを感じられるのではないでしょうか。
ペパの恋人の元妻・ルシア役は、舞台・テレビ・映画と幅広く活躍する秋山菜津子さん。これまで蜷川幸雄さんや野田秀樹さん、栗山民也さんといった名だたる演出家の作品に参加し、第36回紀伊國屋演劇賞の個人賞、第22回読売演劇大賞の最優秀女優賞と数々の栄誉に輝きました。2026年1月に松尾スズキさん作・演出のミュージカル『クワイエットルームにようこそ The Musical』で個性的なキャラクターを演じたのも、記憶に新しいところです。
また、ペパの親友であるカンデラ役には和希そらさんがキャスティング。宝塚歌劇団出身であり、歌・ダンス・芝居の三拍子揃った男役として人気を博しました。退団後は2024年のミュージカル『9 to 5』や2025年のミュージカル『梨泰院クラス』などに出演し、実力を発揮。イギリス発ミュージカル『SIX』の日本キャスト版ではWキャストのキャサリン・パー役で力強い歌声と演技を披露し、その後実現した日本キャストによるロンドン公演でも同役を務めました。3月からは、ミュージカル『ジキル&ハイド』のルーシー・ハリス役に挑みます。同じく元宝塚歌劇団の望海さんとは本作で初めて共演するとあって、楽しみにしているファンも多いのでは。
弁護士のパウリーナを演じるのは、俳優だけでなくモデルにエッセイスト、小説家としての顔も持つ長井短さんです。2025年だけでもドラマ『終幕のロンドーもう二度と、会えないあなたにー』や映画『かくかくしかじか』、舞台『十二夜』など多彩な作品に出演していますが、実は本作がミュージカル初挑戦。てっきり第三者的な立場かと思いきや、実は“ぎりぎり”な女性たちの1人という役柄であり、濃密な人間模様にどう関わってくるのか見逃せません。
そして、大混乱の元凶ともいえる存在のイバン役で、髙嶋政宏さんが約14年ぶりにミュージカルに登場。直近では2025年12月公開の映画『ズートピア2』の日本語吹き替え版で声優を務めており、2026年春にはNHK連続テレビ小説『風、薫る』への出演が控えています。映像作品から舞台まで、ジャンルを問わず唯一無二の存在感を放つ髙嶋さん。本作では物語のキーパーソンとして、ペパたちだけでなく観客をも盛大に振り回してくれそうです。
このほか、イバンの息子・カルロス役に2007年の俳優デビュー以来、さまざまな分野で出演経験を重ねる溝口琢矢さん。その婚約者のマリサを演じる黒川桃花さんは、2015年のミュージカル『アニー』でアニー役を射止め、以降も歌唱力を活かして俳優・シンガーとして活動しています。タクシー運転手役の遠山裕介さんはミュージカルを中心に活躍しており、2027年1月に再演が決定したミュージカル『ファインディング・ネバーランド』にも出演予定です。
ミュージカル『神経衰弱ぎりぎりの女たち』は、2026年6月7日(日)から21日(日)まで東京・日本青年館ホールにて上演。その後、6月26日(金)から28日(日)まで福岡・博多座、7月2日(木)から6日(月)まで大阪・SkyシアターMBS、7月10日(金)から12日(日)まで愛知・御園座で公演を行います。詳細は公式HPをご確認ください。
望海風斗さんをはじめ魅力と実力を兼ね揃えたキャストが演じる、ぎりぎりに追い詰められていく女性4人。その一挙一動にハラハラドキドキしながら、彼女たちが辿り着く先を見届けたくなります!


















