2026年5〜7月に上演される音楽座ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』。福山庸治さん同名コミックを原作に、モーツァルトが女性だったという大胆な設定で描く作品です。1991年初演では小室哲哉さんが音楽制作に参加したことで大きな話題を呼び、2021年に明日海りおさん主演で東宝製作によるライセンス上演が行われるなど、長く愛されてきた本作が18年ぶりに音楽座で上演されます。本作で新たにモーツァルト役を務める岡崎かのんさんにお話を伺いました。

これまでの“岡崎かのん”から脱却するチャンス

−音楽座での18年ぶりの上演となる『マドモアゼル・モーツァルト』。岡崎さんは本作のどのような部分に今魅力を感じていますか?
「やはり小室哲哉さんが作曲してくださった楽曲が印象的です。この作品の音楽は、私たち音楽座ミュージカルが初演当時から今まで変わらずに大切にしてきたメッセージと重なる部分が多いなと感じます。そこが最初にこの作品に惹かれた部分でした。モーツァルトの楽曲も使用されていて、壮大でミュージカル的ながら、小室さんのサウンドが私にとっては新しく、現代的にも感じます。そしてモーツァルトの一生がものすごいスピードで描かれていくので、観ているとあっという間です。劇中では様々な感情になりますが、最後にはすごく救われた気持ちになりました」

−モーツァルト役は、男性として歌う場面と、女性として歌う場面があります。音域も広いのではないでしょうか。
「本作でのモーツァルトは女性なので、あまり男性を意識せずに歌ってほしいと言われているのですが、とは言え楽曲のキーは低いです。それを今回は全て地声で歌いたいなと思って挑戦しています。地声で歌うことで、女性として歌う時のソプラノとの幅の広さを感じていただけると思います」

−岡崎さんはこれまで可愛らしいイメージの役柄が多かったように思います。ソプラノの歌声が素敵なのはもちろん、意外にお声自体はハスキーさもあって、岡崎さんの新たな魅力が感じられる役柄になりそうですよね。
「実は地声は結構低くて、今まで音楽座ミュージカルでやってきた役では明るさを出すためにソプラノや裏声とのミックスで喋ったり歌ったりしてきたんです。役柄としても女性らしい役が多かったので、今回は新たな挑戦ができていると思います。これまでの岡崎かのんに対するイメージから脱却する、すごく良いチャンスをいただいたと思っています」

−モーツァルトはどんなキャラクターだと捉えていますか。
「これでもかというくらい、自由人です。我が道を行くし、自分の感情を思うままに出すことができる。嬉しいことも、悲しいことも。そこが私自身とは真逆なので、とても憧れています。音楽が好きで、夢中になったことに対して疑わずに真っ直ぐに向かう姿は私との共通点ですし、共感します。私もモーツァルトと同じ気持ちなのに、それを上手く表現できないことが多いので、モーツァルトのように生きられたらもっと世界が広がるのかなと思うことが多いです。今回、モーツァルトとの出会いが私自身も大きく変えてくれると思います」

−オーディション中はコンスタンツェ役の候補でもあった岡崎さん。コンスタンツェから見てモーツァルトはどんな人でしたか?
「本当に自分勝手な人です(笑)。オーディションではコンスタンツェ役として本読みをする機会が多くて、コンスタンツェの心情をずっと追いかけていたので、当時はモーツァルトの気持ちが全く理解できませんでした。なんてわがままで身勝手な人なんだろうと、コンスタンツェに同情していましたね」

−それこそ、岡崎さんのイメージで言うとコンスタンツェの方が近いですよね。
「きっと代表(相川タローさん)も最初はそう思って、コンスタンツェ役を割り振られることが多かったのだと思います。私自身もコンスタンツェ役をやる自分が想像できたので、きっとコンスタンツェ役をやるんだろうなと思っていました。でもモーツァルト役をやらせていただけることになったので、今までの作品とは違う挑戦をしたい、想像を超えたいという思いが強いです」

感情を斬新に表現できるKAORIaliveの新振付

−本作では『リトルプリンス』で初めてタッグを組んだ振付家・KAORIaliveさんを迎えた新演出版となります。KAORIaliveさんの振付はいかがですか。
「KAORIさんの世界観と今の音楽座ミュージカルが見事にマッチしていると思っています。踊っていて新鮮ですし、楽しいですし、すごいものが生まれるんじゃないかという期待に包まれています。KAORIさんの振付は、ダンスを踊っているというよりも感情や音楽、物語そのものを表現されているんです。さらに、“次はこういう動きが来るんだ”という驚きもあります。代表のこういう作品にしたいという思いとKAORIさんの斬新な振付が合わさっていく瞬間を稽古場で見ていると、いつもワクワクします」

−音楽座は歌うために振付を減らすことはなるべくしないのがこだわりだと伺いました。
「そうですね。歌いながらリフトすることもあるので大変ですが、ミュージカルとしての表現を追求したいというのが私たちのこだわりです。踊りを役柄の表現として自然に繋げていくことが重要になっていきますが、そういう意味でもKAORIさんの振付は音楽座ミュージカルに合っていると感じます」

−本作には印象的な楽曲がたくさん登場します。岡崎さんがお好きな楽曲は何でしょうか。
「最初に歌われる「テーマ」という楽曲が好きです。最後の楽曲にも同じメロディーラインが使用されるのですが、最初とはまた違った印象になりますし、物語を経て聞くと魂が震えるような感覚になります。小室さんのサウンドをリアルタイムで馴染みのある世代ではないのですが、今聞いていても凄く不思議で新しいジャンルだと思いますし、『マドモアゼル・モーツァルト』の世界観を表現している楽曲だと思います」

−モーツァルトの楽曲には今まで親しみはありましたか?
「はい、幼少期からピアノをやっていてクラシック音楽が好きなので、モーツァルトの音楽には親しみがありました。他の作曲家と比べると明るさがあって、音数が多い。ピアノで弾いていると指が追いつかないくらいです。モーツァルトの“音楽が好き、楽しい”という気持ちが楽曲からも感じられますし、特に若い時に作曲した楽曲は軽快です。当時、クラシック音楽の印象を覆すような新しい音楽だったんじゃないかなと思います。そういった革命児としての姿も表現できればと思います」

1人の人間として人生を選択していく姿を見てほしい

−本作の初演は1991年で、この35年間で女性の社会でのあり方も大きく変わったと思います。それによって本作の受け取られ方も変化しているのではないでしょうか。
「この作品はモーツァルトが女性であるというのが一番大きな特徴であり、強みだと思います。18世紀、女性が作曲家になれなかった時代に彼女がどう人生を選び、生きていくのか。そこには女性としての葛藤が描かれているので、きっと多くの女性に共感していただけると思います。一方で、性別を超えて、モーツァルトという1人の人間がどのように人生を選択していくかという部分に音楽座ミュージカルは重点を置いています。どんな時代、どんな人であってもこの作品の力強いメッセージを受け取っていただけるのではないかと思います」

−最後にメッセージをお願いします。
「今年は音楽座ミュージカルにとって“覚悟の年”という思いで挑んでいます。秋には新作も控えています。『マドモアゼル・モーツァルト』も新しい音楽座ミュージカル、新しい私たちに出会っていただける作品になると思います。小室さんの素晴らしい音楽と、KAORIさんの振付も加わって、皆さんの心に必ず何か残る作品になると確信しています。ぜひ劇場でお会いしましょう」

撮影:晴知花

音楽座ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』は5月24日(日)に町田市民ホールにてホームタウンプレビュー公演を実施。7月9日(木)から7月11日(土)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、7月16日(木)に名古屋・Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール、7月19日(日)に広島・JMSアステールプラザ 大ホールで上演。7月24日(金)から7月26日(日)まで東京・IMM THEATERにて上演が行われます。公式HPはこちら

Yurika

YouTube配信でも話題の音楽座ミュージカル!『マドモアゼル・モーツァルト』はなんといっても音楽が印象的で、岡崎かのんさんの素敵な声で数々の楽曲が聴けるのが楽しみです…!