今年もミュージカル『ピーター・パン』がやって来る!第11代目ピーター・パンの山﨑玲奈さんがラストイヤーを迎える2026年、新たにフック船長役に内海啓貴さんを迎えます。初共演となるお二人に本作の魅力を伺いました。

いつかフック船長を…「驚きと身が引き締まる思い」

−まずは本作への出演が決まった今の心境をお聞かせください。
山﨑「ずっと目標だった作品に4年も出演させていただける喜びは大きいですし、同じ役を4年間追及できるというのも『ピーター・パン』以外にはなかなかない機会だと思うので、それを噛み締めながら、演出の長谷川寧さんと一緒にまた新たな世界観を作れるよう、今年も稽古を頑張りたいです」

内海「僕は昨年、出演が決まる前に『ピーター・パン』を観劇していました。子どもたちが目を輝かせて観ているのも可愛かったですし、大人が観ても楽しめる作品であることにすごく感動して、いつかフック船長をやれたら良いなと思ったんです。そうしたらオーディションのお話をいただいて、まさか1年後に出ることになるとは夢にも思っていなかったので、驚きと身が引き締まる思いでいっぱいです」

−現段階ではどのようなピーター・パン、フック船長を作っていこうと思われていますか。
山﨑「3年間積み上げてきた自分のピーター像は大事にしていきたいと思うんですけれども、内海さんがフック船長になられることで新しい化学反応も起きると思うので楽しみです。ラストイヤーということで、今まで思ってきたピーター像とは真逆のチャレンジをしながら、最後のピーター・パンを作り上げていけると良いのかなと思っています。今までは元気でアクティブなピーター・パンを演じてきましたが、冷静な姿にもチャレンジしてみたいです」

内海「長谷川寧さんと何度かワークショップを重ねさせていただいて、フック船長としては年齢が若いということで、よりアグレッシブに作っていければとお話ししています。自分がこれまで舞台で培ってきたものを織り交ぜながら、僕なりのフック船長を作っていけたら良いなと思っています」

−初共演のお二人、お互いの印象を教えてください。
山﨑「ビジュアル撮影の時から王子様のようなオーラがあって、周りのスタッフさんからは私が悪役なんじゃないかと言われました(笑)。今までのフック船長とは違う雰囲気があって新鮮だったんですけれども、お話しさせていただくとノリの良い方で、私もピーター・パンと明るい部分が一緒だねとよく言われるので、そのノリに付いてきていただけそうでお稽古が楽しみになりました」

内海「嬉しいです。僕は去年舞台でピーター・パンの姿を拝見していましたので、役柄の印象が強かったのですが、ビジュアル撮影の時にも気さくにお話ししてくださってピーター・パンの要素をご本人からも感じ取ることができ、すごく楽しみな気持ちになりました。10代らしい可愛らしい部分もお持ちの女優さんだなと思っています」

演出・長谷川寧の中にある“ネバーランド”

−長谷川寧さんが作る『ピーター・パン』の世界観はいかがですか。
山﨑「1年目の時、寧さんの頭の中にネバーランドがあるんだなと感じました。2年目3年目には毎回違うテーマを持ってきてくださって、去年は神話がテーマでした。想像力の深い方なので、毎年新鮮に稽古に臨んでいます。今年はどんなテーマを持ってきてくださるのかワクワクしています」

内海「僕はSASUKEが好きなので、“そりたつ壁がある!”と興奮しました。舞台セットが出てきた時に、“何が起こるんだろう”というワクワク感がありますし、想像力を掻き立てられる作品にもなっていると感じます。長谷川寧さんとワークショップでお話ししていると、いかに想像させるかという部分を大事にされているので、だから舞台セットの奥が見えてくるような感覚になったのだなと思いました。セットだけでなく、演者の方々がアグレッシブに動くからこそ、そこで生きているピーターたちの生活を覗き見る感覚があると思います」

−フライングやアクションシーンに向けて体力作りはされていますか?
山﨑「フライングも体幹や腹筋、背筋が必要ですが、寧さんの演出は地面にいる時も大変です。不思議な動きがいっぱい出てくるのでそれを習得するまでにも時間がかかりますし、ピーター・パンは元気がある役なのでお芝居中にもかなり動いています。フライングは稽古場では装置がないので、毎年体力作りも兼ねて走りながら歌う稽古をしているんです。それがかなりきついので、そのおかげなのかフライングは逆に楽に感じます」

内海「体力作りも始めていますし、フック船長としての貫禄を見せたいと思い、オーディション時から体重を増やしています。台詞だけではない部分、見た目の印象としてもフック船長の役作りをしていきたいと思います。寧さんの振付も楽しみですね。舞台上でこういうこともできるんだという発見を新鮮に楽しみながら、作っていけると良いなと思います」

ピーターが抱える底知れない孤独感

−『ピーター・パン』の子どもが楽しめるポイント、大人が楽しめるポイントをそれぞれ教えてください。
山﨑「長谷川寧さんの演出になってから余計に思うんですけれど、とてもアクティブな作品で、もちろんフライングもそうですし、フック船長とピーター・パンの一騎打ちの殺陣やアクションなど、目で楽しめる要素がたくさん詰まっている作品です。お子さんが観にいらっしゃることで舞台全体の活気も上がるなといつも感じます。まだ赤ちゃんでも楽しんでいただけているので、言葉が分からなくても楽しい作品なのだと思います。最後に雄叫びダンスで客席に降りて行ってみんなとダンスをする時には、一緒にものすごく楽しそうにダンスをしてくれるので私も元気をもらえます。
この作品はファミリーミュージカルという印象が強いので、お子さんを連れて初めて観に来たという大人の方も多いのですが、“こんなに泣くとは思わなかった”と言っていただけることがすごく多いです。大人になればなるほど感動するシーンが多くあるので、物語の素晴らしさに惹き込まれると思います。幅広い年代の方に楽しんでいただける作品だと改めて感じています」

内海「やっぱりフライングシーンはワクワクしますよね。小学校の頃にトランポリンのクラブが月に1回来てくれたのですが、僕は絶対に参加していたんです。ただ飛ぶだけなのに楽しくて大好きで。ピーター・パンは登場から印象的でかっこいいですし、お子さんから見たら本当にネバーランドに来たという感覚を味わえると思います。僕が観劇した時もちょうど隣がお子さんで、とってもキラキラした瞳で舞台を観ていて、こんなにも夢を与える作品なんだと感動しました。
大人もかつては子どもだったわけですから、子どもの頃にタイムスリップしたような感覚でワクワクできると思います。また、生で役者が演じるからこそ想像できる部分もありますし、ピーター・パンやフック船長のルーツも見えてくるので、そういった演劇的な部分でも楽しんでいただきたいです」

−大人になって観劇すると、子どものままではいられない切なさや、時間に追われるフック船長という示唆的な部分など、本作の奥深さも感じます。
山﨑「最初はピーター・パンというと明るいヒーローの印象が強かったのですが、稽古を重ねていくにつれて、なんて辛い、可哀想な少年なんだと思うようになりました。ピーター自身はそれを自覚してないけれど、底知れない孤独感、寂しさが伝わってきます。ピーターは家族というものを知らないですし、人の温もりを知らないまま育っています。でもピーターは子どもらしい鈍感力があるので、自分では気づいていない分、さらに切ないです。それを私が知ってしまったが故に、ピーターの切なさ、悲しさを出そうとしてしまうのが役者としては課題になっています。ピーターとしては明るく生きながらも、観ているお客様にはこの作品の陰と陽、両方を感じていただけるようなピーターにしていきたいです」

内海「子どもの頃は時間を忘れて無邪気に遊べていたと思いますが、大人になるとそうはいかないことも多いです。責任ものしかかってきて、ミスをしてはいけないというプレッシャーを感じることも多くなっていくと思います。でも本作を観劇した時、心から楽しむことが何よりも重要で、間違えても、失敗しても良いのだと思えました。昔遊んでいたおもちゃ箱を開けるような、子どもの頃の真っ直ぐさを思い出させてくれる作品ですし、明日も自分らしく頑張ろうと思わせてくれる作品です。自分が感じたことを皆さんにも感じていただけるよう、フック船長を作っていきたいと思います」

−最後にメッセージをお願いします。
内海「原作をあまり知らなくても、どんな方にも楽しんでいただける作品だと思います。フック船長は悪役ですが、どこか愛情深い一面があると思います。彼の中の正義をしっかりと貫いて、僕が役を愛していくことで、愛されるキャラクターにしていきたいです。意地悪な部分と愛すべき部分、色気のある部分を出していきながら、子どもには夢を与えて、お母様方をメロメロにしたいと思います(笑)」

山﨑「ピーター・パンやフック船長というキャラクターは皆さんよくご存知だと思いますが、物語を実はよく知らないという方も多いと思います。お子さんにはもちろん楽しんでいただきたいんですけれども、私と同世代の方や、大人の方、幅広い世代の方に楽しんでいただきたいです。この作品の魅力をもっとお伝えできるように頑張りたいと思います。そして私もお子さんとお母様方をフックの2倍、メロメロにしたいと思います!(笑)メロさ爆上げで、頑張ります!」

撮影:晴知花

青山メインランドファンタジースペシャル ブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』は2026年7月27日(月)から8月7日(金)まで東京国際フォーラム ホールC、8月16日(日)に大阪・梅田芸術劇場メインホール、8月22日(土)から23日(日)に愛知・御園座、8月29日(土)から30日(日)に山梨・YCC県民文化ホール(山梨県立県民文化ホール)にて上演が行われます。公式HPはこちら

Yurika

今年は2月に『ピーターとアリス』、6月に『ウェンディ&ピーターパン』、27年には『ファインディング・ネバーランド』とピーター・パン関連作品も盛りだくさん。多角的な視点でピーター・パンを知ることができそうです。