2015年公開の長編アニメーション映画『バケモノの子』が、劇団四季によって2022年にミュージカル化されることが決まりました。『バケモノの子』は、数々のヒットアニメ映画を生み出してきたスタジオ地図と細田守監督の作品の中でも老若男女を問わず人気が高く、2016年に日本アカデミー賞の最優秀アニメーション賞を受賞しています。
劇団四季が国産ミュージカルとしては”史上最大規模”のロングラン公演として挑む『バケモノの子』。公演に先駆け、原作映画の魅力を探ってみました。
人間の子どもとバケモノの奇妙な師弟関係
作品の舞台は、人間界の渋谷とバケモノが棲む異世界の街・渋天街。とある夜、渋谷では家庭の事情で行き場を失った9歳の少年・蓮があてもなく雑踏をさまよっていました。
一方、渋天街ではバケモノたちの統率者である「宗師」を新しく選ぶため、候補者2名の次期宗師争いが始まろうとしています。候補者のうち、1人は強さと品格を併せ持つリーダー格のバケモノ・猪王山。そしてもう1人は、圧倒的な強さを持っているが粗暴な性格のバケモノ・熊徹。天涯孤独で厄介者の熊徹は、現宗師の勧めで弟子を取るために渋谷へ出向き、蓮と出会います。
1人で生きていける強さを求めていた蓮は、熊徹についていき渋天街で彼の弟子になることに。熊徹から「九太」という新しい名前を授けられ、荒っぽい師匠との奇妙な共同生活が始まりました。
『バケモノの子』劇団四季ミュージカル化における注目ポイント!
劇団四季が上演する作品には「人生は素晴らしい、生きるに値する」というメッセージが込められているのですが、映画『バケモノの子』にも通ずるものがあります。家族の愛情を失った九太と、独りよがりに武術を極めてきた孤高の熊徹。血のつながりもなく生きる世界が違う2人は、やがて本当の親子のような強い絆を結び、九太はたくましい青年に成長します。
武術と生きるための強さを得た九太でしたが、ある日偶然にも8年ぶりに渋谷へ戻り、高校生の少女・楓と出会ったことでこれまで触れてこなかった進学という将来に惹かれていきます。人間界とバケモノ界を行き来しながら、自分が何者になるのかを模索する九太。
自分の中の弱さと対峙し、蓮だったころに抱いていた心の中の闇に足を引っ張られそうになることも。他者と心を通わせて絆を育む喜び。自分の進むべき道がわからず、葛藤しながらもがく苦しみ。
それらの経験を得て熊徹たちと一緒に心身ともに成長していく九太の姿は、まさに人生の素晴らしさを物語っています。九太の選んだ道は、ぜひ映画や劇団四季の上演で確かめてください。
映画『バケモノの子』では、迫力のある戦闘シーンや人間界とバケモノ界のリアルな映像美にも注目が集まりました。そんなアニメーションならではの魅力があふれる世界に、劇団四季はパペットやマジック、特殊メイクなどを駆使して挑みます。 脚本・歌詞を『アナと雪の女王』の高橋知伽江さん、演出を『恋におちたシェイクスピア』の青木豪さんがそれぞれ担当。上演前からファンを沸かせる豪華なクリエイティブチームです。 劇団四季の新作オリジナルミュージカル『バケモノの子』は、2022年4月30日から東京のJR東日本四季劇場[秋]で開幕します。