教師だった女性・松子が学校を追われ、家出・同棲相手の暴力・殺人など壮絶すぎる一生を描いた映画『嫌われ松子の一生』。さぞ暗い映画かと思いきや、ミュージカル調でポップなテイストが混ざり合い、独特の空気感をまとった映画に。中谷美紀さんが主人公・松子を演じ、瑛太さん、香川照之さん、市川実日子さん、柄本明さん、柴咲コウさん、荒川良々さんなど実力派俳優が勢揃いした作品です。
不器用に愛を求めた松子
山田宗樹さん原作の同名小説を映画化した『嫌われ松子の一生』。昭和22年に福岡で生まれた松子は、体の弱い妹ばかり気に掛ける父の気を引き笑わせるため、変顔をする癖がついてしまいます。父の望む大人になろうと教師になりますが、万引き事件をきっかけにクビに。家出し東京に出たのち、同棲した男性に暴力を振るわれたり、ソープ嬢として働いたり、ついにはヒモ男を殺害して刑務所に行くことになったりと散々な目に遭います。
男性を見る目が全くないだけでなく、“誰かに愛されたい”という気持ちが強いあまり重くなってしまう松子。ハマったアイドルに自分の人生を綴った何十枚もの手紙を送りつけてしまう姿には、怖さすら感じます。幸せを夢見て人生の一瞬一瞬を全力で生きているが故に、器用に生きられない姿は見ていて辛くなってきてしまいます。
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壮絶な松子の物語をポップに描いたのが、『下妻物語』や『パコと魔法の絵本』で知られる中島哲也監督。松子の夢見るファンタジックな世界観をカラフルに、ミュージカル調に表現。暗くなりがちな物語の随所に、BONNIE PINKさん、AIさん、木村カエラさんらが歌うポップな楽曲たちが作品を彩ります。彼女が幸せに感じている時、ミュージカルの世界観により気持ちの高揚が色濃く出るからこそ、夢と現実のギャップを大きく浮かび上がらせる効果を感じます。
中谷美紀さんは夢みがちな松子を可愛らしく演じ、側から見ると壮絶な人生でも、本人は幸せに感じる瞬間も多かったのではないか…と考えさせられます。どんなに辛い経験をして“人生終わった”と思っても、何度も立ち上がる彼女の強さに勇気をもらえます。映画を観た後は劇中で使われた楽曲たちが頭から離れなくなり、数日間映画について考え込む羽目になりました。
映画『嫌われ松子の一生』は、U-NEXTやAmazon Primeで視聴が可能です。人生どん底でもまだ這い上がれる。そう感じたい時に、何度も観たくなる映画です。