小さな頃に読み聞かされた、グリム童話の主人公たち。危険と隣り合わせの森を舞台に、ハッピーエンドを追い求める彼らの人生が交錯する、大人向けのミュージカル『イントゥ・ザ・ウッズ』をご紹介します!
『イントゥ・ザ・ウッズ』ってどんな作品?-複雑に重なり合った童話、物語は思いもよらない展開へ-
『イントゥ・ザ・ウッズ』は1987年にブロードウェイで初演されて以来、名作舞台として世界各地で愛されるミュージカルです。日本初演は宮本亜門さんが演出・振付を手掛け、2004年に新国立劇場で上演。ディズニー製作の実写映画(2015年)の公開もあり、日本でも認知度がある作品と言えるでしょう。
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かなり残忍なエピソードを含むことでも知られるグリム童話。本作では、『ジャックと豆の木』『赤ずきん』『ラプンツェル』『シンデレラ』4つの物語を「子どものいない夫婦」というオリジナルの登場人物が結びつけていきます。
小さな村でパン屋を営む、子どものいない夫婦はある日、隣人の魔女が彼らの先代に「子宝に恵まれない呪い」をかけていたことを知ります。呪いを解くためには、危険な森に足を踏み入れて「まっしろな乳牛」「赤い頭巾」「黄色い髪」「純金の靴」を探し出し、3日後の真夜中までに魔女に差し出さねばなりません。森を彷徨い歩く夫婦は、それぞれに事情を抱えて森へやってきた、『ジャックと豆の木』のジャック、赤ずきん、ラプンツェル、シンデレラと出会います。
魔女が求めるアイテムを持つ彼らですが、そう簡単には譲ってはくれません。夫婦はどのようにしてアイテムを手に入れるのか。そしてお馴染みの物語を生きる登場人物たちが迎える、ハッピーエンドの代償とは・・・ 自分の願いを叶えるため、ときに騙し、ときに盗む。そんな人間の狡猾さを織り交ぜ、グリム童話本来の辛辣さや教訓を感じられるストーリーは、まさに大人のための物語です。
豪華俳優陣のココに注目!ディズニーが映像化した『イントゥ・ザ・ウッズ』のみどころ
名作ミュージカルを知る機会として、ぜひ一度鑑賞をおすすめしたいのが、前述した映画版。『シカゴ』(2002年)や『メリー・ポピンズ リターンズ』(2018年)のロブ・マーシャル監督がメガホンを取り、メリル・ストリープやジョニー・デップら豪華俳優陣が、魔法とエゴが渦巻く危うい森の世界に翻弄されるキャラクターたちを好演。見応えのあるミュージカル映画になりました。
物語の核心となるパン屋役には、マルチな才能でコメディからミュージカルまでこなすジェームズ・コーデン。その妻役を二代目メリー・ポピンズのエミリー・ブラントが演じています。人間味がある親しみやすい夫婦像は、救いようのない状況に陥っていくキャラクターたちの希望の光のよう。
そして、シンデレラ役のアナ・ケンドリックは『ピッチ・パーフェクト』でも発揮した高い歌唱力で、ミュージカルナンバーを牽引。複雑なメロディも力強く歌い上げる歌声は一聴の価値ありです!
『イントゥ・ザ・ウッズ』は待望の日本公演が決定!2022年1月に東京・日生劇場、2月に大阪・梅田芸術劇場にて、上演予定です。最新の公演情報はこちら
筆者も映画版でしか観たことがない作品なので、来たる再演は是非観たい!と画策中。新たに演出を担う熊林弘高さんは、これまでにシェイクスピアの『お気に召すまま』、野田秀樹さんの『パンドラの鐘』などストレートプレイの演出で高い評価を得てきました。今回がミュージカル演出に初挑戦とのことで、その演出にも期待が高まります。