お芝居やミュージカルにおいて、限られた舞台空間をどのように活かすかは醍醐味の1つ。舞台装置の使い方次第では、表現できる演出の幅もぐっと広がるでしょう。宝塚歌劇団にも、名物といえる舞台装置があることをご存知でしょうか?今回は、宝塚歌劇団でしか見られない舞台装置の魅力を探っていきます。

大階段はタカラジェンヌ最大の魅せどころ!

宝塚歌劇団の舞台装置といえば、大階段(おおかいだん)を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?大階段は、1927年に上演された日本初のレビュー「モン・パリ」でお披露目されました。当時16段だった階段は、現在26段にまで増えているそう。階段の幅はなんと23cmしかなく、足がはみ出る状態で駆け降りたり、ダンスしたりしなければなりません。

そんな中でも、常に視線を客席に向けて歌い、踊るタカラジェンヌたち。特に、巨大な羽飾りを背負ったトップスターが優雅に大階段から現れるフィナーレでは、劇場のボルテージも最高潮に達します。まさに、公演の締めくくりに相応しい演出!

タカラヅカの舞台に欠かせない存在・銀橋

銀橋(ぎんきょう)とは、オーケストラの演奏空間であるボックスと客席の間に設けられた橋のような舞台を指します。一般にはエプロンステージとも呼ばれ、1931年の「ローズ・パリ」で初めて使用されました。この時の演出家だった白井鐡造氏は、銀橋だけでなく、ラインダンスなど宝塚歌劇団ならではの演出を数多く生み出した人物です。

銀橋は本舞台から独立し、芝居やショーの見せ場となっています。トップスターがメイン曲を歌い上げたり、フィナーレで組員たちが勢揃いしたりと、ファンにとって胸が熱くなる光景ばかり。

また銀橋を道に見立てることで、登場人物たちが実際に移動する場面を演出できます。その間に後方の舞台を暗転させ、セットチェンジすることも可能。物語の流れを止めることなく、自然にシーンを切り替えられます。

タカラジェンヌと観客の距離を近づけ、より舞台を盛り上げる銀橋。同時に、舞台進行をスムーズにする役割も果たしています。銀橋なくして宝塚歌劇団は語れない、といえるかもしれません。

宝塚歌劇団を縁の下で支える舞台装置

宝塚歌劇団の演出は、様々な舞台装置によって支えられています。セットの転換やショーの演出時には、舞台中央に設置された盆(ぼん)という回転装置が大活躍。また、6台ものせりを使い分けて演者の登場・退場をサポートしたり、せり自体をセットの一部に仕立てたりします。

華やかで美しいタカラジェンヌの姿はもちろん、舞台装置の存在に注目することで、観劇の奥深さを味わえますよ。宝塚大劇場・東京宝塚劇場では、ぜひ大階段と銀橋から目を離さないでくださいね。

もこ

大階段から組員とトップが舞い降りてくるフィナーレ、筆者なら階段落ちすること間違いなしです。銀橋でさえ、バランスを崩して落っこちるのではないかと思うほど。タカラジェンヌたちの凄さを改めて実感します。