日本で劇場公演が盛んなエリアと言えば東京や大阪かもしれません。ですが、ツアーで興行を行う団体も多く、全国各地には大小様々な劇場・ホールがありますよね。市民ホール、文化会館で学校行事や習い事の発表会を行った、そんな思い出がある方もいらっしゃるかもしれません。
地域によっては、そこを拠点に活動する団体が定期公演を打っているなど、その土地ならではの公演を楽しむことができます。今回ご紹介するダンス公演『鬼』も、新潟を拠点に活動する団体同士の力強いコラボレーションです。
Noism×鼓童『鬼』 -躍動する肉体、空気を動かす太鼓のセッションを味わう-
りゅーとぴあの呼称で有名な新潟市民芸術文化会館。そこを拠点に活動する専属舞踊団Noismは、振付師・ダンサーの金森穣さんの作品を中心に、レベルの高いモダンバレエやコンテンポラリーダンスの公演を行う舞踊団です。
オリジナルメソッドで鍛錬されたダンサーの鋭い動きを武器に、新潟から世界へと舞踊作品を発信。国内外から評価を得てきたその活動は、日本における地方都市発の新たな劇場文化構想としても注目されています。
まもなく始まる2022年の新作公演では、Noismが和太鼓演奏とコラボレーション。同じく新潟県の佐渡を拠点に、世界的に活動する太鼓芸能集団・鼓童との饗宴です。和太鼓の音色がNoismダンサーの鋭い動きを増幅させ、劇場空間を震わせる公演になりそうです。
公開されたトレーラー動画では、稽古の様子を垣間見ることができます。公演のために新曲を書き下ろした作曲家・原田敬子さんが「演奏する身体」と表現する、生身の人間から放たれる音・動きのエネルギーが映像からもひしひしと伝わります。
各地の劇場との共同開催!
共に新潟を拠点に活動する団体のコラボレーション公演となる『鬼』。全国4つの公共劇場の共同製作として、新潟での初演後、埼玉、京都、愛知、山形と本州を巡ります。いずれも、芸術の発信に力を入れる劇場での公演となり、この企画への期待値の高さを感じさせます。
Noism×鼓童『鬼』のスケジュールは以下のとおり。同時上演として、第一部では金森穣さん振付のストラヴィンスキー『結婚』が、第二部にてご紹介した『鬼』が披露されます。(新潟公演については、前売り販売分が完売しているとのこと。当日券などの最新情報はNoism公式ホームページをご確認ください。)
新潟公演 2022年7月1日(金)~3日(日)りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館〈劇場〉
埼玉公演 2022年7月8日(金)~10日(日)彩の国さいたま芸術劇場〈大ホール〉
京都公演 2022年7月17日(日)ロームシアター京都〈メインホール〉
愛知公演 2022年7月23日(土)愛知県芸術劇場〈大ホール〉
山形公演 2022年7月30日(土)荘銀タクト鶴岡〈大ホール〉
Noismメンバーによるダンスワークショップの開催も!
Noismでは、公演の傍ら、年間を通してダンスワークショップを行なっています。その内容は若い舞踊家を対象としたものから、学習指導要領で必須となった「ダンス」の指導方法に悩む教員を対象としたものまで、実にさまざま。芸術レベルから日常レベルまで、対象者が親しみやすい切り口でダンスを楽しむことができるのがNoismのワークショップです。
今回は『鬼』公演に関連して、その振付の一部に挑戦する舞踊経験者向けの「Noismレパートリー体験ワークショップ」や、親子で動くことを楽しむ「大人と子どものためのからだワークショップ」を予定しています。(公演地によって内容が異なります。)
いずれも数千円で参加可能。公演チケットを購入するとお得に参加することができるので、ワークショップと併せて鑑賞に訪れてみるのも良いかもしれません。
以前、Noismの舞台を鑑賞した際には、鍛錬されたダンサー井関佐和子さんの、鋭く柔らかい動きに魅了されたことを覚えています。張り詰めた劇場の空気に響く和太鼓の音色を耳で味わい、その音の迫力を増幅させるダンサーの動きを目で楽しめる、とても贅沢な舞台。お近くの方はもちろん、ダンスに興味がある方には是非オススメしたい公演です。