東山義久さんと聞くと、ダンサーというイメージがある方も多いかもしれません。しかし、過去には『レ・ミゼラブル』のアンジョルラス、近年では『The View Upstairs-君が見たあの日-』のデールなどを好演し、ミュージカル俳優としても活躍しています。今回はそんな東山義久さんの魅力をご紹介します。
「ダンサー」東山義久から「ダンサー・ミュージカル俳優」東山義久へ
東山さんは、1998年にミュージカル『Shocking Shopping』でデビュー。その後『エリザベート』のトートダンサーなどを経て、2003年に東山さんらダンサーとボーカリストで構成されたユニット「DIAMOND☆DOGS」(以下D☆D)を立ち上げます。東山さんが得意とするのは、コンテンポラリーとモダンジャズなど。比較的小柄な方なのですが、手足が長く、「髪の先までパフォーマンスの一部」といわれるほどの徹底したパフォーマンスで観客を魅了しています。
一方で、2011年には「VELVET CRAZY NIGHT」というユニットを旗揚げ。「歌」を披露する場を設けたいという思いの元、D☆Dメンバーの咲山類さんらと「ボーカリスト」として舞台に立つことになります。その後、D☆Dの公演でも歌唱シーンを担当することが増え、2019年にはミュージカル『イヴ・サンローラン』で主演を務めています。
『イヴ・サンローラン』では、ダンスで培った表現力が存分に発揮されており、歌唱からも繊細な感情が手に取るように分かりました。東山さんは、見る人をひきつける圧倒的なオーラをお持ちなのですが、同作では役柄上そのオーラを隠しつつも、やはり目をひかれてしまう存在でした。
見る人を困惑させるほどの「両性的な魅力」
2014年9月、東山さん主演でオスカー・ワイルドの名作『サロメ』を元にした、Dramatic super dance theater『サロメ』が上演されました。東山さんが演じたのは、預言者ヨカナーンに恋をし、彼の「首」を欲した少女サロメ。サロメをセリフのないダンスアクトで演じ、しなやかなダンスと、まとう空気感で「男性的」な雰囲気を排除。ベールを1枚ずつ脱いでいく「7つのベールの踊り」のシーンでは、徐々にあらわになっていく上体に一瞬ドキッとしてしまうほどの没入感がありました。
それと真逆な印象を持つのが、2019年10月に『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.3-で演じた天谷奴零。同名の音楽プロジェクトを原作とした2.5次元舞台です。天谷奴零は、大きく胸元を開いたシャツとサングラス、派手なアクセサリーに飄々とした佇まいで、いかにも怪しい雰囲気と男臭さを持つキャラクター。舞台版では、そこに東山さんの持つ「色気」がプラスされ、情報解禁時から話題沸騰。原作ファンを含めた多くの観客を魅了しました。
2022年、満を持してミュージカルの大作に出演
「ミュージカル俳優」としても着実に活躍の場を広げている東山さんが2022年、満を持して大作『ミス・サイゴン』でエンジニアを演じます。同作は2020年に上演予定でしたが、新型コロナウイルスの蔓延により上演中止となっていました。コンサートなどで「アメリカン・ドリーム」を歌唱しているところは拝見したことがあるのですが、狂言回しの印象が強い役柄をどう演じるのか楽しみにしています。
40代になっても挑戦をやめることなく、キャリアを広げていく東山さん。この先「ダンサー」として、「ミュージカル俳優」として、まだまだ観客の知らない顔を今後も見せ続けてくれるのではないかと期待しています。