フランス・パリにある「国立オデオン劇場」制作の舞台『ガラスの動物園』が9月28日(水)より5日間、新国立劇場 中劇場で行われます。今回は、フランスを代表する俳優陣や演出家などのスタッフが来日して上演される貴重な本公演を取り上げます。

ブロードウェイから火がついたアメリカ文学における名作戯曲

『ガラスの動物園』は、アメリカの劇作家テネシー・ウィリアムズによって執筆され、1945年ブロードウェイでの初演以来ロングランヒットを記録。ハリウッドでは2度も映画化され、現在も世界各地で上演されている戯曲です。

舞台は世界恐慌が起き、不況の時代に入ったアメリカ・セントルイスの裏町にあるアパートの1室。貧しい生活に疲れ果てながらも昔の夢を追い求め、自身を箱入りの南部婦人だと思い込んでいる母・アマンダ。脚が不自由なためコンプレックスを抱える娘・ローラは、内向的な性格のため引きこもりがちになり、毎日ガラス細工で作られた動物たちを磨き続けています。彼女の弟であるトムは、靴工場で働きながら家族を養いながら詩人になることを志し、時間を見つけては映画館に通っていました。

ある日、ローラの未来を危惧したアマンダはトムに靴工場の同僚を夕食に招くよう頼みます。トムは、友人のジム・オコナーを招待し、家族と対面させますが、思わぬ方向へと事態は進んでいきます。

世界的に活躍する俳優・スタッフ陣で行われる貴重な来日公演

『ガラスの動物園』は、日本では昨年から今年にかけて東京・福岡・愛知・大阪で上演。岡田将生さんや倉科カナさん、竪山隼太さん、麻実れいさんらが出演しました。演出は、第22回読売演劇大賞最優秀演出家賞を受賞し、直近では『4000 マイルズ~旅立ちの時~』の上演も控えている、上村聡史さんが手がけたことで話題になりました。

今回の来日公演では、アマンダ役に、映画『Elle』でゴールデン・グローブ賞女優賞に輝くなど、フランスを代表する女優イザベル・ユペールさんが出演。また、トニー賞の他、ローレンス・オリヴィエ賞など数々の賞を受賞し、ヨーロッパのみならず世界的な人気を誇るイヴォ・ヴァン・ホーヴェさんが演出を担当します。加えて、9月29日(木)、30日(金)の13時公演の後にはアフタートークが行われます!29日回は、出演者全員での集合トーク、30日回は演出のイヴォ・ヴァン・ホーヴェさん、美術・照明のヤン・ヴェーゼイヴェルトが登壇されます。

舞台『ガラスの動物園』は9月28日(水)から新国立劇場 中劇場で上演予定。チケットの購入や詳細は公式HPからご確認ください。

おむ

コロナ禍により海外での鑑賞が難しくなってしまったなかで、世界基準の演技や演出を生で観ることができるのは、本当に貴重な機会になると思います。またフランス語上演ではありますが、全公演に日本語、または英語でのバリアフリー字幕が表示されるため、言葉の壁に不安のある方も安心して鑑賞することができます。舞台ならではの緊張感も含め体感してみてはいかがでしょうか。