2001年の日本初演から上演を重ねてきたミュージカル『ジキルとハイド』。2023年3月に東京国際フォーラム・ホールCにて待望の再演が決定しています。今回は、長年愛されてきた名作『ジキルとハイド』へ出演してきた、歴代の錚々たるキャストを辿っていきましょう。作品のあらすじや主演キャストについてはこちらの記事でご紹介しています。

ジキルを巡って現れる2人の女性。育ちも性格も正反対、令嬢エマと娼婦ルーシー

まずご紹介するのは、ジキルをめぐって登場する2人の女性。上流階級の令嬢でジキルの婚約者・エマと、娼館「どん底」で身を売る娼婦・ルーシー。育ちもキャラクターも正反対の人物です。

ジキルの婚約者で彼を一途に信じ、支え続けるエマ。元うたのおねえさんの茂森あゆみさんを始め、『ミス・サイゴン』でキム役を4度、『レ・ミゼラブル』ではコゼット・エポニーヌ・ファンテーヌを演じてきた知念里奈さんも演じた役です。また歌手の鈴木蘭々さんや、ミュージカル『シスター・アクト〜天使にラブ・ソングを〜』のメアリー役、ロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2でのマリア役、ミュージカル『WAITRESS ウェイトレス』のドーン役を演じた宮澤エマさんもエマを経験しています。

2023年の上演では、音楽活動だけでなく舞台にも活動の幅を広げ、本作がグランドミュージカル初出演となるDreamAmiさんと、乃木坂46在籍時からその演技力・歌唱力に定評があり、ミュージカル『DOROTHY〜オズの魔法使い〜』での単独初主演も記憶に新しい桜井玲香さんが演じます。

ジキルとハイドの間で揺れ動きながらも破滅的な運命を辿る娼婦のルーシー。初代ルーシーのマルシアさんは、本役で2001年度第56回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞を受賞しました。元宝塚歌劇団トップスターの香寿たつきさんや、ミュージカル界を牽引する存在の濱田めぐみさんも本役を演じています。

2023年の上演では、2018年の公演に続き笹本玲奈さん。そして、元宝塚歌劇団雪組トップ娘役で、抜群の歌唱力を武器に退団後も活躍を続ける真彩希帆さんの2人が演じます。

なんと、笹本玲奈さんはエマとルーシー、正反対の2人の女性を演じたことがあります。2012年・2016年にはエマを演じ、2018年にはルーシーを演じました。自身のコンサートでは毎回のようにルーシーの楽曲を歌っていたと言うほど、笹本さんにとっても大切な役となっています。


娼婦ですが、とてもピュアな心を持っているルーシー。楽曲「あんな人が」はジキル博士に恋心を抱いたルーシーが“あんな人が愛してくれたなら私の人生は変わるだろうに”と希望をこめて歌う歌です。
「新たな人生」では、“私は人生を捨てた、もうどうでもいいの”と歌いますが、そう言いながらも、憧れや希望、夢をまだどこかに持っていて諦めきれていない。少女のような心を持った人物です。
一途にジキルを愛し、支え続けるエマと繋がる部分があります。2役を演じたことのある笹本さんだからこそ出せるルーシー像に今年の上演でも期待が高まります。

新キャストの多い2023年版。新たな『ジキルとハイド』の誕生に期待!

2018年キャスト歌唱披露の様子

エマとルーシーの他にも、2023年版では多くの注目の新キャストが登場します。ジキルの親友でストーリーテラーでもある弁護士アターソンは、ジキルが最期を託すことになる重要な役所です。
原作では頬が痩け、ギスギスしていて、感情を出さない近寄りがたいキャラクターですが、歴代様々なタイプのアターソンがいて、同じセリフでも捉え方が違うなど、自由度が高い役。共演者との化学反応で、どのような変化が生まれるのか、2023年版ではどのようなアターソンになるのか楽しみですね!

歴代演じてきた俳優には、野田秀樹さん主宰の「夢の遊眠社」へ入団、1992年の劇団解散まで主力俳優として活動し、解散後は蜷川幸雄作品や三谷幸喜作品などに出演し活躍を続けている段田安則さん。2013年に第48回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した池田成志さん、安定した歌声と確かな演技力で活躍している戸井勝海さん。

二枚目からコミカルな役まで様々に演じ分ける吉野圭吾さん、1992年に『ミス・サイゴン』日本初演のオーディションに合格以降、確かな演技と歌唱でミュージカルを中心に活躍する石川禅さん、圧倒的な歌唱力と華やかな存在感でミュージカルを中心に活躍している田代万里生さんと実力派揃いです。

2023年の上演では、『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャン役をはじめ確かな歌唱力で数多くのミュージカルに出演してきた石井一孝さんと、『リトルマーメイド』エリック役で日本オリジナルキャストを務めるなど実力と人気を兼ね備えた上川一哉さんが演じます。

そしてエマの父親で、病院の理事会のチェアマンであるダンヴァース卿。
劇団四季時代に『コーラスライン』で主演のザックを800回以上も演じていた浜畑賢吉さん、2010年に第45回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した中嶋しゅうさん。ミュージカル『PIPPIN』でピピンの父親チャールズをチャーミングに演じている今井清隆さん、現在『ハリーポッター』に出演中の福井貴一さんが歴代演じてきました。

2023年の上演では、映像作品からストレートプレイ、ミュージカルまで硬軟自在に演じ分け、三谷幸喜さんの作品の常連としても知られる実力派の栗原英雄さんが務めます。

エマに想いを寄せ、ジキルと対立するストライド役には、2011年から同役を演じているベテランの畠中洋さん。研究にのめり込んでいくジキルを心配しながらも支える執事・プール役を、紀伊国屋演劇賞や読売演劇賞に名を連ねる佐藤誓さんが演じます。

2023年版『ジキル&ハイド』も豪華キャストが恐ろしくも美しい物語を描き出します。ミュージカル『ジギルとハイド』は、2023年3月に東京国際フォーラム ホールCにて上演予定。 4月にはツアー公演も予定されています。詳しい情報は公式HPからご確認ください。
ミワ

2023年版はガラッとキャストが変わり、新しい『ジキルとハイド』が立ち上がるのではないでしょうか。長年受け継がれてきたものは残し、そこに新たな色が加わっていくことが楽しみです。