映画やアニメに登場する学校は、魔法や楽しいことに溢れていて大人でもつい憧れてしまうもの。しかしNetflixで独占配信中のミュージカル映画『マチルダ・ザ・ミュージカル』に登場する学校は、恐ろしくて誰もが「絶対通いたくない!」と思うのではないでしょうか?
学校を支配する独裁者に果敢に立ち向かうのは、小さな天才少女のマチルダです。日本での初舞台化を3月に控えた話題のミュージカル作品『マチルダ』を、舞台と同じ制作スタッフが作り上げた本作。あらすじや見どころを紹介していきます。
小さなマチルダが立ち向かう大きな困難
病院で新生児たちが両親からの愛と祝福を受けるなか、ワームウッド夫妻だけは夫も妻も浮かない顔で我が子が生まれました。赤ん坊は女の子。男の子を望んでいた父ミスター・ワームウッドは、納得がいきません。
マチルダと名付けられた女の子は大きくなってからも両親に邪険にされ、放って置かれるうちに読書が大好きで難しい勉強を一人でこなす秀才に成長します。
マチルダを放置しすぎて学校に入学させていなかったワームウッド夫妻。自宅にやってきた教師のミス・ハニーから「学校には沢山の本がある」と聞き、マチルダは学校に期待を膨らませます。
しかしミスター・ワームウッドは屈強で恐ろしいトランチブル校長にマチルダは悪ガキだとデタラメを伝え、マチルダに意地悪く「彼女に会え」と脅してきました。
ここまで聞くとマチルダは愛のない両親に虐げられる悲劇の少女に思えるでしょうが、実はそうでもありません。賢いマチルダは「やられっぱなしじゃ何も変わらない」と知っていて、父親の整髪料にこっそりいたずらをし、彼の髪を奇天烈な緑色に変えてしまったのです。
自分の物語は自分で書き換えてしまう、小さいながらもタフなマチルダ。入学の日は学校が待ちきれず、少し早く着いて移動図書館の女主人ミセス・フェルプスに途中まで思いついた空想の物語を聞かせます。
ミセス・フェルプスは「学校で誰かに嫌なことをされても仕返しは良くない」と忠告しますが、マチルダは「相手の悪いところを直すならいいでしょ」とにっこり。こうして学校に通うことになったマチルダですが、学校はトランチブル校長の統制によって生徒たちが虐げられる刑務所のような場所だったのです・・・。
子役のパワーが炸裂するミュージカルシーンは必見
この作品にはトランチブル校長やワームウッド夫妻のようなクセの強い大人が多く登場しますが、主役はなんと言ってもマチルダをはじめとする子どもたち。特にミュージカルシーンは子役たちのみなぎるパワーが炸裂しています。
マチルダを演じるアリーシャ・ウィアーは、アイルランド出身の13歳の少女です。地元のテレビ番組でタレントとして活躍するアリーシャは、ずば抜けた歌唱力とダンスで見事オーディションに合格。冒頭のソロナンバー「Naughty」では、母親のゴージャスなベッドの上で飛び跳ね、屋根の上で逆立ちをし、父への”ささやかな”仕返しを存分に楽しむ姿がキュートです。
フィナーレで歌われる「Revolting Children」では、マチルダの勇姿に感化された子どもたちが拳を振り上げて歌い踊ります。学校中を走り回る子どもたちのエネルギッシュなダンスと歌は、鳥肌モノです!
最初に歌いかけるのは、校長が嫌がらせで用意した巨大ケーキを見事に平らげた食いしん坊のブルース。ブルース役のチャーリー・ホドソン=ブライアは本作で演技に初挑戦したそうですが、初演技とは思えない貫禄を見せています。
字幕と吹き替えどちらも見るのがおすすめ
本作はNetflixで何度でも鑑賞できるため、字幕と吹き替えの両方を観るのがおすすめです。
日本語吹き替えは、セリフだけではなく歌唱も全て日本語で吹き替えられています。マチルダ役は、映画監督の新海誠氏と女優の三坂知絵子さんの娘である新津ちせさん。「パプリカ」で有名な小学生ユニット「Foorin」のメンバーで、幼い頃にはミュージカル『ミス・サイゴン』でタム役を演じた経験があり、伸びやかな歌声を披露しています。
トランチブル校長は女優で声優の塩田朋子さん、ミス・ハニーは『アニー』でタイトルロールを演じたことのある声優の水野貴似さんが吹き替えを担当しており、歌唱シーンもオリジナル版に劣らないクオリティです。
翻訳はディズニー映画の吹替版を数多く翻訳しているいずみつかささんによるもの。言葉遊びがユニークなナンバー「School Song」では、オリジナル版と同じように映像の中に出てくるアルファベットを見事に歌詞に当てはめていて楽しい1曲となっています。
映画『マチルダ・ザ・ミュージカル』は、Netflixにて独占配信中です。
原作が児童文学ということもあり善と悪のキャラクターがわかりやすく、個性的なキャラクターたちのペースにグイグイ引き込まれてしまいます。個人的に気になったキャラクターは、結末に意外な予想外の一面を見せた父親のミスター・ワームウッド。舞台の日本公演に備え、どんなキャラクターが登場するのか本作で予習するのも良いですね。