男性ダンサーたちが学生服姿で跳び回り、ダンスに寸劇、はたまた人形劇まで登場することもある、ダンスカンパニー「コンドルズ」の舞台。日常生活の延長のような、人間味溢れるコンテンポラリーダンスを展開する彼らの不朽の名作が8年ぶりに上演されます!

笑いと身体の日常をパフォーマンスに変えてしまう、不思議なちからのコンテンポラリーダンス

1996年に結成され、以降、日本全国、世界各地での公演を成功に導いてきたコンテンポラリーダンス団体「コンドルズ」。主宰するのは振付家・ダンサーの近藤良平さんです。近藤さんは現在、彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督としても、表現を通した地域振興に取り組まれています。 

コンテンポラリーダンス、とひとことで言っても多様な表現がある中で、コンドルズの特徴は、笑いと親しみやすさ、ではないでしょうか。男性ダンサーたちが学ラン姿で踊り、生演奏や人形劇、パフォーマンス、映像、時にはコントまで、ありとあらゆる身体表現を舞台上で繰り広げる姿には、親しみやすさを感じます。

コンドルズと言えば、かつてNHKで夜帯に放送されていた伝説の番組「サラリーマンNEO」で会社員の日常動作を忠実かつダイナミックに描き出した「テレビサラリーマン体操」のイメージがある方も多いのではないでしょうか。「みんなの体操」というNHK番組のパロディで、近藤さんが体操の動きを説明し、コンドルズのメンバーがアシスタントとして動きを実践。そしてピアノは同じくコンドルズメンバーの石渕聡さんが、トレードマークの長髪をなびかせながら演奏するという、とてもシュールで、サラリーマンの日常への愛と尊敬を感じさせるコーナーでした。

国内外での舞台やワークショップを通して、幅広い年齢層の人が見て楽しい、踊ってみてもっと楽しい、そして言葉の壁も越えていく、そんなノンバーバルなダンスを披露してきた団体が、コンドルズです。

コンドルズ ニューダンス計画2023『沈黙の春―світло―』

毎年、国内外で公演を行い、これまでにもさまざまな題材でダンス公演を披露してきたコンドルズ。彼らの最新公演は、2004年、2015年と上演を重ねてきた、不朽の大傑作『沈黙の春』です。

8年の沈黙を破っての再演となりますが、今回は2023年バージョンに完全リニューアルをしての上演。コンドルズが人類に届ける光の春の訪れは、逆境の世界に寄り添う作品となっているようです。

構成・演出・振付を手がけるのは、主宰の近藤良平さん。そして、出演はコンドルズのメンバーから、石渕聡さん、オクダサトシさん、勝山康晴さん、香取直登さん、鎌倉道彦さん、ぎたろーさん、黒須育海さん、古賀剛さん、ジントクさん、橋爪利博さん、藤田善宏さん、安田有吾さん、山本光二郎さん、近藤良平さんが集いました。

日替わり出演として2組のダンス団体も参加。1組目は、コンドルズメンバーのスズキ拓朗さんが主催する「CHAiroiPLIN」(チャイロイプリン)。『しょくたく~ダンサーのための芝居~』という短編作品を披露します。

2組目は、振付家・ダンサーの山口夏絵さんが主宰する「マグナム☆マダム」。社会で闘うアラフォーおんなダンスカンパニーである彼女たちが、コンドルズの舞台でその魅力を発揮します。

コンドルズニューダンス計画2023『沈黙の春 світло 』は、2023年4月7日から4月9日まで、東京・渋谷区のこくみん共済 coopホール/スペース・ゼロにて開催されます。大変人気公演のため、記事執筆現在、すでに完売した回もあるとのことです。25歳以下の方、小学生以下のお子さま、障害者手帳をお持ちの方にはお得な料金設定も。チケットの詳細やご購入は、オフィシャルホームページをご確認ください。

Sasha

副題につけられた「 світло 」というつづりの意味が気になって調べてみたところ、この舞台で表現したい想いが込められているような気がしました。 また、ホームページ上の公演解説には、キング牧師の名言から、沈黙にまつわる言葉が載せられています。曰く、「問題に沈黙するようになったとき、我々は終わりに向かい始める。(“Our Lives begin to end the day we become silent about things that matter.”)」こうした言葉をあえて提示したうえで、コンドルズが、どのような世界観を展開してくれるのか、とても楽しみにしています。