ここ数年でようやく日本でも馴染みの言葉となってきた、LGBT。一見扱いづらいテーマに思えますが、ミュージカルになってしまえば、私たちはあっという間に登場人物たちの虜!今回は日本でも人気を博した『キンキーブーツ』をご紹介します。
パワフルで魅力的なブロードウェイの最高傑作
『キンキーブーツ』は、ブロードウェイ発の大ヒットミュージカル。日本でも2016年に小池徹平さんと三浦春馬さんのタッグで上演され、2019年の再演では全45公演全て満員御礼となるほど熱狂的な話題となりました。
経営不振に陥った老舗の紳士靴工場を建て直すため、奔走する主人公チャーリー。途方に暮れた彼の前に現れたのは、派手なドレスに厚化粧、足元は15センチ超のハイヒールを履いた人物。でもその声も身体も男性。ドラァグ・クイーンのローラです。衝撃的なこの出会いをきっかけに、チャーリーはドラァグクイーンのためのブーツ“キンキーブーツ”を作ることに。型破りなローラに振り回されるチャーリー。一世一代の賭けは、果たして成功するのか…!?
「レディース アンド ジェントルメン!そして、まだどちらか決めかねているあなた!」
『キンキーブーツ』の魅力は何と言っても、性的偏見をものともしない自信と希望に満ちたローラの言葉の数々。劇中、ローラは何度も偏見をぶつけられます。しかしその度毅然とした態度で立ち向かうその姿に、本物の美しさとはきっとこのことなのだと感じさせられます。
そしてミュージカルの終盤、代表曲のひとつである「Just be」で、ローラはこう締めくくります。「Just be!なりなさい、自分がなりたい人に」「愛を輝かせて、自分を信じて誇りを持って、心が変われば、世界が変わる」。エネルギッシュな名曲に乗せられたローラの真っ直ぐな思いや言葉は、ありのままの自分であればどちらか決めかねていても良いのだと、私たちに教えてくれます。
カラフルなドレスを着て、輝かんばかりに人生を楽しんでいるローラが美しく見えるのは、困難な状況でも自分らしく生きることがいかに大切かということを知っているから。笑いと感動に溢れたブロードウェイの最高傑作です。