第30回読売演劇大賞優秀演出家賞の受賞や、昨年、初監督作品『わたし達はおとな』を発表するなど、映像監督・劇作家・演出家として活躍を見せている加藤拓也さん。加藤さんが主宰を務める劇団た組が、安達祐実さんを主演に迎え、新作を上演します。

読売演劇大賞、優秀演出家賞を受賞した加藤拓也率いる劇団た組の新作公演

劇団た組は、2013年に結成された劇団。劇作家・演出家・映像監督として活躍している加藤拓也さんが主宰・脚本・演出を務めています。丁寧な言葉とドラマ運びが特徴。昨年、初めての国内ツアー公演が実施されました。

演出家としてだけでなく、日本テレビ『俺のスカート、どこ行った?』などのドラマの脚本や、映画『わたし達はおとな』では映画監督と、多岐にわたって活躍している加藤さん。
2021年『きれいのくに』(NHK)が第10回市川森一脚本賞を受賞、2022年『もはやしずか』『ザ・ウェルキン』で第30回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞しています。2023年2月には加藤さん演出の舞台『博士の愛した数式』が上演されました。

加藤さんは2021年『ぽに』(2021年)で恋人との関係性をたゆたう女性の所在なさを、『もはやしずか』(2022年)で不妊治療をめぐる夫婦の自己愛と保身を、『ドードーが落下する』(2022年)では統合失調症の友人との関係性を描きました。

時代を鋭敏に分析した脚本と卓越した演出センスで、世界が揺れ動く様を、現代口語とリアリズムなドラマ演劇で鮮やかに描く加藤さんの作品。

加藤さんが戯曲に使う現代口語は軽く、多弁で、聞き取れないほどに速いもの。複数のSNSのアカウントを使い分け、アイデンティティを何重にも構築する若者の自己認識を連想させます。

劇団た組の新作『綿子はもつれる』は、破綻寸前の夫婦に起こった悲劇と緊張の数日間を描きます。
「あのときそれを選択しなかったことを尊重して欲しい」というセリフは、“Z世代の、世界における居心地の悪さか、諦観か…”

加藤さんは、「もつれるということはある空間において、進行方向が別のものがいくつか存在していてそれぞれ進んでいくということで、もつれてから元に戻ろうとすると、正しく、そして連続でほどけていかないといけません。
もつれている点をよく見つめなければいけないのです。その点を見つめる為に、常に別々の方へ進んでいく者をある空間に置いてみるのかもしれません。祐実さんをはじめ、心から納得する人たちとそのような空間を作れることがとても楽しみです」とコメントしています。

加藤拓也作品に欠かせない俳優陣が集結!

主演を務めるのは、10 年ぶりに舞台主演を務める安達祐実さん。『初めて恋をした日に読む話』『にじいろカルテ』『カムカムエヴリバディ』など数々のドラマ作品で活躍してきた安達さんが、久々に舞台へ!安達さんが加藤さんとタッグを組むのは今回で3度目となります。
「何が起こるのか、何処に連れていかれるのか、観に来てくださるお客様と共に時間を生きられること、楽しみにしております」とコメントしています。

また、今までに加藤さんの作品に出演したことのある俳優たちが集結しました。
加藤作品には欠かせない平原テツさんや、鈴木勝大さん、田村健太郎、秋元龍太朗さん、天野はなさん。

そして、初の加藤組参加となる佐藤ケイさん。
演出家・蜷川幸雄さん主宰の彩の国さいたま芸術劇場を拠点とする若手演劇集団「さいたまネクスト・シアター」4期生。蜷川さん演出の舞台に多数出演し、2014年には、シェイクスピアシリーズ第30弾『リチャード二世』ではヒロインを務めました。

『綿子はもつれる』は、5月17日 (水) ~5月28日 (日)東京芸術劇場シアターイーストにて上演です。一般発売は4月15日(土)から。公式HPはこちら

ミワ

男女の関係性について描くことが多い加藤さん。今回は夫婦関係の再構築ということで、どのような作品になるのか楽しみです。