『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』は、2019年に読売演劇大賞優秀作品賞を受賞した、オリジナルミュージカル。初演から続投する柚希礼音さんとソニンさんが、女性の権利を求めて労働運動を率いた実在の女性サラ・バグリーと、ハリエット・ファーリーを演じます。出演者も待望の再演、チケットの一般発売は4月29日に開始です。

過酷な状況の中、声を上げ力強く生きるファクトリーガールズの物語

2019年に読売演劇大賞優秀作品賞を受賞した、日米クリエイター共作のオリジナルミュージカル『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』が再演決定!

本作は、全米ベストセラーとなった作家ルーシー・ラーコムの回想記「A New England Girlhood (=ニューイングランドでの少女時代)」を原作に、劣悪な工場の環境の中で働かされていた女性達が自身の尊厳と労働環境の向上を求め、世の中を動かしていく姿を描いた作品となっています。女性たちの闘いと連帯の物語が大きな話題となりました。

アメリカ・ブロードウェイで活躍する新進気鋭の作曲家コンビ、クレイトン・アイロンズ&ショーン・マホニーによって作られたパワフルなロックサウンド満載の原案をもとに、演出家・脚本家の板垣恭一さんをはじめとするクリエイティブチームが集結し、日本発のオリジナルミュージカルとして製作されました。

物語の舞台は、19 世紀半ばのアメリカ・ローウェルという街。産業革命により、ローウェルには大規模な紡績工場が誕生。多くの先進的な女性達が集まり、ファクトリー・ガールズとして働いていました。

ガールズたちの寄稿集「ローウェル・オファリング」は自由を夢見る女性たちにとって憧れ。サラ・バグリーもそんな一人で、貧しい家族を助ける為、そして自らの自由を得る為にローウェルへとやってきます。しかし、工場で彼女が目にしたものは、轟音をあげる織機、理不尽な抑圧、そして機械のように働くガールズ。

衝撃を受けるサラでしたが、ラーコム夫人の管理する寮で、心優しいアビゲイルやラーコム夫人の娘ルーシーを始めとする仲間たちとの出会い、人生を謳歌するマーシャの華やかな生き方などに刺激を受けます。

中でも「ローウェル・オファリング」編集者として女工たちの憧れの存在であったハリエット・ファーリーとの出会いにより、サラは文章を書くことで新たな自分を発見していきます。ハリエットもまたサラの文才を認め、二人はいつしか深い友情で結ばれていくのでした。

しかし、工場のオーナーであるアボットは、競合の出現によって業績の落ちてきた自分の工場を立て直すべく、労働時間の延長を図ります。それは、ガールズたちにとっては生命に関わる労働環境の悪化を意味するものでした。

そんな中、サラは、新しい労働新聞「ボイス・オブ・インダストリー」のライターのシェイマスとの出会いにより、自分の文章を武器に労働争議へと身を投じる事を決意します。一方、幼い時に両親を亡くしてからの居場所である工場と仲間を彼女のやり方で守ろうと奔走するハリエット。

いつしか2人の生き方はすれ違い、ローウェルをゆるがす事態に発展する中で、悲劇が起こります。

様々な思惑が渦巻く中、自分の信念に従って生きようとするサラとハリエット。そしてファクトリー・ガールズ達が闘いの末に辿り着く未来とは…。

18世紀アメリカ、ローウェルの女工たちの生活

本作のモデルとなっているローウェルの女工たちは、工場制度の成立を支えた主要な労働力。会社が用意した寄宿舎に住み込みで働いていました。女工の大半は、北部ニューイングランド農村出身の、10代後半から20代前半の未婚女性で、親からの経済的独立を求めてローウェルにやってきていました。

彼女たちは、自分で自由に使えるお金と時間、そしてそれを使って得られる教育の機会、流行のファッションのために、辛い労働環境にも関わらず働き続けていました。

女工たちが余暇に当てることができた時間は、終業し、夕食後から午後10時の消灯まで約2時間。

ルーシー・ラーコムの回想によると、女工たちは寄宿舎の食堂に集まって縫い物や読書、書き物、勉強をして過ごし、時には講演を聴きに出かけたり、観劇したりする人もいたのだそうです。

サラ・ジョージ・バグリーは、1840年代にアメリカの労働指導者として活躍した、実在の女性。

1837年、31歳の時にアメリカ、ローウェルの繊維工場で織工として働き始めます。労働環境に不満を持ったサラは、働く女性たちによって執筆・編集・出版されている文学雑誌「ローウェル・オファリング」に寄稿。

また、1844年には5人の女性たちと共にローウェル女性労働革命協会を結成。当時、ローウェルの繊維工事の労働時間が12〜14時間だったところ、1日最大10時間の労働時間へと環境を改善するための活動を行いました。

水田航生・寺西拓人ら新キャストを迎え、初演からさらにパワーアップ

19世紀半ば、アメリカ北部で女性の権利を求めて労働運動を率いたサラ・バグリーと、ハリエット・ファーリー。初演から続投の柚希礼音さんとソニンさんが演じます。

「自分にとっても待ちに待った再演」という柚希さん。

「時代に合わせてブラッシュアップし、この作品を再びお届けできるのが嬉しいです。初演から3年半経ちますが、その間に学んだことを使いながら、またゼロから“サラ・バグリー”を作り上げられるのが楽しみでなりません。この作品の持つ力は偉大だと思っています」とコメントしています。

ソニンさんも、「この再演は必然であると信じています。作品自体をブラッシュアップし、私自身も役柄同様、女性工員に敬われるリーダー的存在であれるようより責任感をもち、カンパニー一丸となって更なる高みを目指して、お届けいたします」とコメントしています。

サラとハリエットとともに工場で働く、心優しいアビゲイルは実咲凜音さん、ラーコム夫人の娘ルーシーは清水くるみさんが初演から引き続き演じます。

また、初演に引き続き、工場長・アボットを演じる原田優一さん。
ファクトリーガールズたちに無理を押し付け、労働させている工場長という役柄について、原田さんは、「現代において、それは社会の流れに反している存在の役です。もしかしたら、初演時よりも浮き彫りになっている問題かもしれません。だからこそ、やり甲斐を感じる役をいただけたと思います。なぜなら、このような役があるからこそ芝居において社会を反映するのです。今やるべき演劇なのだと思います」とコメントしています。

さらに、華やかな生き方で人生を謳歌するマーシャに平野綾さん、政治家を目指して修行中のベンジャミン・カーティスに水田航生さん、労働争議の支援者になる青年シェイマスに寺西拓人さん。保守的な寮の管理人ラーコム夫人に春風ひとみさんと、再演にあたり新たなキャストも迎えての再演となります。
仲間のために立ち上がり闘う姿は、女性だけでなく、多くの人々の心に訴えかけ、奮い立たせることでしょう。

『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』は、6月5日(月)〜6月13日(火)東京・東京国際フォーラム ホール C、6月24日(土)・6月25日(日)福岡・キャナルシティ劇場、6月29日(木)〜7月2日(日)大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WW ホールにて上演です。公式HPはこちら

ミワ

現代にも通じる『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』の物語。『マリー・キュリー』など女性が描かれたミュージカル作品が増えていくこと、嬉しく思います!