厳選の英国演劇を世界に発信する取り組み、ナショナル・シアター・ライブ(NTLive)。世界の名作を日本の映画館で観ることのできる貴重な機会です。毎年恒例のNTLiveアンコール夏祭りが7月14日からシネ・リーブル池袋で開催されます。
夏の暑さを忘れさせるほどの名舞台が揃う!NTLiveアンコール夏祭り2023
英国ナショナルシアターが厳選した傑作を、世界40カ国以上の国と地域の観客に届けているナショナル・シアター・ライブ。舞台上の躍動感が伝わるこだわりのカメラワークで、本場の劇場の熱気が伝わる上質な舞台映像を映画館で楽しむことができる取り組みです。
この夏、シネ・リーブル池袋で開催されるNTLiveアンコール夏祭りでは、英国演劇界最高峰のローレンス・オリヴィエ賞を受賞した作品や、映画等でおなじみの英国俳優、ベネディクト・カンバーバッチやイアン・マッケランの主演など、5作品を上映。期間は7月14日(金)から8月10日(木)まで。作品ごとに上映日が異なりますので、お目当ての作品を鑑賞するのも、スケジュールに合う作品との出会いを楽しむのも良いですね。
上映会場のシネ・リーブル池袋は、池袋駅に隣接したルミネの8階にあり、駅直通で行けるのもポイントです。アクセス良好の映画館で、外の暑さをしばし忘れて、最上級の演劇体験を。上映が始まれば、大画面に映し出される緊迫した名演に惹き込まれてしまうはず。演劇好きが至福の時間を過ごすにはピッタリの夏祭りです。詳しくは公式ホームページをご覧ください。
『るつぼ』 7/14(金)、7/16(日)、7/19(水)
アーサー・ミラーの魅惑的な権力の寓話を、『ザ・クラウン』のエリン・ドハティと『イェルマ』のブレンダン・カウエルの主演で描いた『るつぼ』。NTLiveラインナップのベネディクト・カンバーバッチ主演『ハムレット』を手掛けたリンゼイ・ターナーが演出、『リーマン・トリロジー』でトニー賞を受賞したエス・デブリンがデザインを担当。不条理を描いた脚本は言わずもがな、舞台上の緊迫感から目が離せない上演となり、各紙の批評で高評価を得た作品です。上映時間186分。
あらすじ:“見ざる聞かざる言わざる“の精神の中で生きるセイラムの人々。牧師の娘が昏睡状態となり、「住民の中の誰かが悪魔を呼んだにちがいない」と言い出す人が出て、若い女性たちは、自分達の見たことを証言し始める。やがて恐怖、復讐、告発の風潮が地域社会に蔓延し始めて・・・
『ハムレット』 7/15(土)、7/17(月)、7/18(火)、7/20(木)
“あの”ベネディクト・カンバーバッチが念願のハムレット役に!と、英国上演時には10万枚のチケットが即日完売した、NTLiveでも大人気の舞台が再び登場。精鋭の女性演出家リンゼイ・ターナーによる、舞台の奥行きを活かしたダイナミックな演出は、そこが劇場であることを忘れてしまうような躍動感ある舞台空間を生み出します。ベネディクト特有の個性で打ち出されたハムレットは狡猾に、幼稚に、様々な表情を見せ、長尺でも見飽きることがありません。上映時間約207分。
あらすじ:父王を亡くしたデンマーク王子のハムレット。王位が叔父に渡り、母は叔父と再婚。失意の底にいる彼の前に父王の亡霊が現れ、父王の死が叔父の謀略でもたらされたことを伝える。父の無念を晴らすべく、ハムレットの復讐劇が始まる。
なお、この作品のみ、8月19日(土)に宮崎県の宮崎キネマ館でも上映が決定。本編上映後には、演劇史講座とトークイベントも開催。宮崎県立芸術劇場演劇ディレクターの立山ひろみさんと、宮崎キネマ館支配人の喜田惇郎さんによるトークで、鑑賞後にさらに掘り下げて作品を楽しむことができます。
『フランケンシュタイン』
ベネディクト・カンバーバッチ怪物版 7/21(金)、7/23(日)、7/25(火)、7/27(木)、7/31(月)
ジョニー・リー・ミラー怪物版 7/22(土)、7/24(月)、7/26(水)、7/28(金)、8/1(火)
アカデミー賞監督のダニー・ボイルが演出したメアリー・シェリーの名作『フランケンシュタイン』。フランケンシュタイン博士役、怪物役をベネディクト・カンバーバッチとジョニー・リー・ミラーが役替わりで演じ、ローレンス・オリヴィエ賞主演男優賞をW受賞しました。肉に命を与えられ、自我が芽生えていく人造人間を演じるカンバーバッチとミラー。ふとした目線や表情で、見えてくるものが全く違います。1度の鑑賞でも充分すぎるほどの見応えがありながら、ふたつのバージョンを見比べる楽しさもある作品です。
ベネディクト・カンバーバッチ怪物版 上映時間132分
ジョニー・リー・ミラー怪物版 上映時間126分
あらすじ:博士に造られた怪物。彼は世界との接触により徐々に人間の心を持つようになるが…。
『リア王』 7/30(日)、8/3(木)、8/8(火)、8/10(木)
名優イアン・マッケラン渾身の『リア王』。スーツなどの現代的な衣装に身を包んだ登場人物たちが繰り広げる信頼と裏切りが色鮮やかに映ります。娘に裏切られ、落ちぶれ狂っていく老王リアを演じるマッケランの存在感は一見の価値ありです。日本でも堤真一さん主演『民衆の敵』などで手腕を光らせるジョナサン・マンビィが演出を手掛けました。上映時間230分。
あらすじ:シェイクスピアの四大悲劇の一つ。退位にあたり3人の娘の愛情を試した老王リアだったが、長女と次女に裏切られ、国を追われてしまう――。
『フリーバッグ』 7/29(土)、8/2(水)、8/5(土)、8/7(月)
主演のフィービー・ウォーラー=ブリッジが脚本を書き下ろした一人芝居。上演後にAmazonの配信ドラマ版が製作され、知名度を上げた作品です。現代を生きる皮肉屋で奔放な独身女性フリーバッグの等身大な姿が印象的。「知的で、下品で、最高」との評価を得た本作は、心置きなく話せる同世代の友人と一緒に、もしくはひとりで、観に行くことをおススメします。上映時間88分(休憩なし)。
あらすじ:モルモットカフェを友人と営むアラサー女性が、友人のこと、家族のこと、仕事のことを、時折観客に向かって語りかけながら笑いと毒舌で赤裸々に表現していく。
この夏のNTLiveラインナップはいずれも濃厚な作品ばかり。ぜひこの機会にお楽しみください。