累計発行部数3900万冊を超える大ヒットクラシック漫画『のだめカンタービレ』が、さまざまなメディアミックスを経て、ついにミュージカル化。初報が出てからというもの、一体誰が出演するのかと話題沸騰だった本作についてご紹介します。
天才的な才能を持つズボラ音大生と指揮者志望のエリート音大生が送るラブコメディ
原作の『のだめカンタービレ』は、2001年から2010年まで女性漫画誌「Kiss」にて連載。主人公野田恵(通称:のだめ)と、のだめと思いがけない出会いをした千秋真一を中心に、彼女らが在籍する音楽大学を舞台に、2人の成長とさまざまな「変人たち」との交流を描いていくストーリーです。
ミュージカル版のあらすじは執筆時点(2023年7月中旬)で公開されていないため、原作のあらすじをご紹介します。
千秋真一は、桃ヶ丘音楽大学ピアノ科に所属しながらも、将来は指揮者を志望している音大生。偉大なピアニストを父に持ち、帰国子女であり、容姿端麗で完璧主義のまさに絵に描いたような「エリート」です。
しかし、千秋には致命的な「恐怖症」があり、飛行機と船に乗れず、幼いころに憧れた指揮者の指導を受けに行こうにも海外に渡航できずじまい。将来に行き詰まりを感じていた千秋は、ある晩自宅マンションの前で酔って眠り込んでしまいます。
次に千秋が目を覚ましたのは、ごみの山……の中で、ピアノを弾く女性の部屋。圧倒的な異臭と悪臭に包まれながらも、千秋は女性に並々ならぬ「才能」を感じます。
話を聞くと、女性は千秋の隣室に住み、同じ大学に通う2年生の野田恵(のだめ)。入浴は1日おき、シャンプーは3日おきというのだめでしたが、千秋は先ほど感じた「才能」を何とか磨き上げたい一心にかられ、行動を共にするようになります。
一方のだめも、何から何まで口うるさい千秋に困惑しつつも、同じ大学の仲間や千秋と切磋琢磨していく中で、自らの「才能」をさらに開花させていきます。
のだめ役は上野樹里が続投 本作で初の舞台出演
情報解禁後、さまざまな話題を呼んでいた出演キャスト。
主演の野田恵役は、ドラマ・映画版同様に上野樹里さんが演じます。上野さんは本作が舞台初出演。長きにわたって演じた役とはいえ、舞台版ともなるとまた違った印象になるかもしれません。
千秋真一を演じるのは、近年大作ミュージカルでの活躍が目覚ましい三浦宏規さん。作中で千秋は「白目をむく」ことが多々ありましたが、果たしてミュージカル版ではどうなるんでしょうか……。
千秋とのだめが触れ合うことになる個性豊かな大学のメンバーは、自己陶酔型ヴァイオリニストの峰龍太郎を有澤樟太郎さん、エリートヴァイオリニストの三木清良役を仙名彩世さんが演じます。また、作中で強烈なインパクトを放つ打楽器奏者の奥山真澄役を内藤大希さんが演じます。
いずれもさまざまなジャンルの作品に出演経験のある方ばかりで、どんな姿を見せてくれるのか非常に気になります。ほかにも、千秋の元担任であり、学内ではスパルタ教育で有名なピアノ科教授の江藤耕造(通称:ハリセン)をなだぎ武さんが演じます。
そして、世界的に有名な指揮者でありながらも、破天荒なふるまいで周囲を困惑させる「ミルヒー」ことフランツ・フォン・シュトレーゼマンもミュージカル版に登場。演じるのは、ドラマ・映画版でこちらも強烈なインパクトを残した竹中直人さんです。
竹中さんは「ドラマ版の時も、実は一度は断っていた」と裏話を明かしながらも、上野さんが初の舞台出演であることに際し「樹里さんの姿を静かに見つめながら演じるしかない…とぼくは思いました。これは一大決心です」と再びミルヒーを演じる決意を語っています。
数々の舞台を手がける上田一豪と演劇に“全て”をかける笠浦静花がタッグを組む
脚本・演出を手がけるのは、上田一豪さん。『笑う男 The Eternal Love -永遠の愛-』や『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』などの演出を担当し、初の日本公演で話題を呼んでいる『ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル 』の演出スーパーバイザーも務めています。上田さんと共に脚本を担当するのは、圧倒的な演劇愛で、演劇に文字通り“全て”をかけている「やみ・あがりシアター」主宰の笠浦静花さん。上田さんと笹浦さんのコラボレーションでどんなミュージカル版『のだめカンタービレ』が生まれるのか注目です。
音楽を担当するのは、上野樹里さんのご主人で、ロックバンド「TRICERATOPS」のボーカル、和田唱さんです。
そして、『のだめカンタービレ』という作品において、要ともいえるクラシック音楽監修。こちらは、原作漫画を音楽化して話題を呼んだ、オーボエ奏者で指揮者の茂木大輔さんが就任します。
ほかにも、漫画原作の舞台作品の衣裳を多く手がけ、2次元と3次元が見事に融合した再現度の高さが話題を呼んでいる中原幸子さんが衣裳を担当します。
スタッフもそうそうたるメンバーぞろいで、ミュージカル『のだめカンタービレ』への期待がさらに高まります。
ミュージカル『のだめカンタービレ』は、10月3日から10月29日まで、東京シアタークリエにて上演予定。11月3日と4日にはサントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)にて長野公演も予定されています。東京公演のチケット一般発売は7月29日(土)から。チケットの詳細はこちら。
そして公演グッズでは特別に、原作者・二ノ宮知子さんによる描き下ろし、「劇場の客席に座るのだめと千秋先輩」イラストの、クリアファイルやアクリルスタンドなどの発売が決定。
シアタークリエ千穐楽の 10 月 29 日(日)13 時公演のライブ配信も発表されました。アーカイブ配信あり(11月8日(水)まで)。詳細は公式サイトにてご確認ください。
原作の『のだめカンタービレ』では作中に多くのクラシック曲が登場しました。なかでも、ベートーヴェンの「交響曲第七番イ長調」、ガーシュウィンの「ラプソディーインブルー」は、ドラマ版の主題歌に起用されているため、実際に聞いてみると、ピンと来る方もいるかもしれません。 ドラマ・映画版では、千秋役の玉木宏さんが指揮を振り、キャストが実演するオーケストラの演奏シーンもありましたが、ミュージカル版の本作でも生演奏シーンはあるのか、期待が膨らみます。