ダンカン・マクミランとジョニー・ドナヒューが手がけたユニークな一人芝居『エブリ・ブリリアント・シング』。まるでトークライブのような上演スタイルで世界中の人々を魅了してきた稀有な作品が、出演に佐藤隆太さんを迎え、夏から秋にかけて全国各地で上演されます。
世界的演劇祭で3年連続上演!あたたかい感動で包み込んだ一人芝居
2023年8月11日(金)に東京劇術劇場・シアターイーストで初日を迎える『エブリ・ブリリアント・シング』。秋にかけて、全国ツアーも行われるこの一人芝居は、イマーシブ・シアターと呼ばれる「観客参加型」の上演形態で、格別の演劇体験を味わえる作品です。
オリジナルプロダクションは 2013年にイギリスで開幕し、翌年から3年連続でエディンバラ国際芸術祭にて上演されました。演劇祭の最高峰に参加し、複数年にわたって上演されるという快挙。それだけ、多くの人に届ける機会を与えられたこの作品は、言葉の壁を越え、世界中で翻訳上演されています。
『エブリ・ブリリアント・シング』の登場人物は、たったひとり。演じる俳優は開演前から会場にいて、観客に話しかけたり、番号のついたカードを渡したりと、ファシリテーターの役割を担います。観客が全員着席したら、物語の始まり。
この世界の「ありとあらゆるステキなこと」を書き連ねたリストを手に、登場人物が自分の子ども時代を語り始めます。生きる気力を失くしてしまった母親を何とか元気づけようと、思いつく限りの 「ありとあらゆるステキなこと」をノートに書き連ねてゆく登場人物。観客が見守るなか、「ステキなこと」はどんどん増えていきます。観客とともに進む彼の人生は、はたして、どこへ辿り着くのでしょうか。
「鑑賞型」のお芝居と違うのは、観客が少しだけ登場人物のお手伝いをするかもしれないところ。出演者から渡されたカードに書かれた言葉を読み上げたり、依頼に応えたりという観客のアクションが、舞台を進行するチカラになっていきます。俳優と観客とのやりとりを挟みながら、観客を惹き込んでいく戯曲の緻密さが感じられる作品です。
出演は佐藤隆太さん!2020年初演からの続投に意欲
実験的で、おもしろい演劇体験となること間違いなしの『エブリ・ブリリアント・シング』。日本では、東京芸術劇場とりゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館が共同制作し、2020年に初演。佐藤隆太さんが登場人物を好演し、心あたたまる舞台に大きな反響がありました。しかしながら、観客と俳優の距離が近い上演スタイルゆえ、新型コロナウイルスの影響を受けて全国ツアーを途中で中断せざるをえなくなりました。
そんな舞台が再演への熱い声に応え、いよいよ開幕します。初演に続き佐藤隆太さんが登場人物を務め、観客のいる空間を先導します。翻訳・演出は新たにミュージカルから演劇まで引っ張りだこの演出家・上田一豪さんが担当。 東京芸術劇場を皮切りに、10月まで全国10都市でのツアー公演を行い、ツアー完走を目指して、多くの方と「ステキなこと」探しの時間を共有します。
たったひとりの出演者、佐藤隆太さんは、数多くの舞台・ドラマ出演の経歴に加え、近年はTV番組の司会を務めるなど、マルチに活躍中。定評ある演技とチャーミングな人柄で、今や誰もが知る俳優のひとりです。観客と交流する芝居にひとりで挑む、という重責があるにも関わらず、『エブリ・ブリリアント・シング』の再演を誰よりも待ち望んでいたという佐藤さん。再演への意欲を燃やし、次のようにコメントしています。
「僕自身も待ち望んだ3年ぶりの再演です!この舞台は観客の皆さんと一緒に物語を紡いで完成する作品です。「観客参加型舞台なの!?」と一瞬たじろいだ方もいらっしゃるかもしれませんが、物語を語るお手伝いをほんの少しお願いするだけです。その日その場に集まった方だけで共有する時間や空間は、きっと特別なものになると思います。そして「明日も元気に生きて行こう」と前向きな気持ちになっていただけるはずです。一緒に「ブリリアントなこと」「ステキなこと」を探す旅に出かけましょう!」
『エブリ・ブリリアント・シング〜ありとあらゆるステキなこと〜』は、2023年8月11日(金)から8月27日(日)まで、東京芸術劇場・シアターイーストにて上演。その後、ツアー公演で全国10都市を回ります。公演の詳細は公式ホームページをご確認ください。
生きるということは、呼吸をするよりも難しい。生きがいになりうる「ありとあらゆるステキなこと」を見つけに行く物語に、きっと観客側も何か「ステキなこと」を持ち帰ることができる舞台です。チケットは多くの会場で自由席制なので、当日、その場で生まれる即興性がますます楽しみになります。