2020年に上演予定だったもののコロナ禍で中止となっていた舞台『モンスター・コールズ』。イギリスで舞台化され、オリヴィエ賞を受賞した名作ダークファンタジーです。佐藤勝利さんを主演に迎え、PARCO劇場で2024年2月に日本初演の幕を開けます。

英国で最も権威ある児童文学賞を受賞、映画化もされた傑作ダークファンタジー

アメリカの作家パトリック・ネスによる原作小説『モンスター・コールズ』は、英国で最も権威ある児童文学賞と言われるカーネギー賞(現:カーネギー作家賞)と、挿絵に対するケイト・グリーナウェイ賞(現:カーネギー画家賞)を同時受賞したベストセラー作品。2016年に映画化され(邦題『怪物はささやく』)、2018年に英国のオールド・ヴィック・シアターで舞台版が初演されました。

舞台『モンスター・コールズ』は2019年のローレンス・オリヴィエ賞で「Best Entertainment and Family」(現:Best Family Show)を受賞、2022年にはイギリス・ロンドン、ブリストル、アメリカ・ワシントンと各地で上演。2020年に日本での初演を予定していた本作でしたが、新型コロナウイルスの影響により上演が中止に。4年の時を経て、日本初上演を迎えます。

演出を務めるのは、2018年の初演時に本作の演出を務め、今作が日本での初演出となるイギリスの演出家、サリー・クックソン氏。俳優として10年活動したのち演出家となり、いくつもの劇場で数多くの作品を手掛け、映画監督としても活動しています。本作の演出では、視覚的な美しさとダイナミックなムービング、吊りロープで縁取られたむき出しの白いステージを使用し話題を集めました。

サリー氏は本作について「まるで強力な薬のように、愛、喪失、癒しといった普遍的なテーマが心の底に深く染み入って残る」作品だとコメント。日本初演にあたって出演者・スタッフと綿密にコミュニケーションを取っていく予定であることを明かし、「俳優の身体と心の中に物語が息づくことが求められ、それを実現するためには一緒に深く掘り下げていく必要がある」と語りました。

本作の主人公は、13歳の少年コナー・オマリー。窓からイチイの木が見える家で、母親と二人暮らしをしています。母親は闘病中のため、コナーとは気の合わないおばあちゃんが、世話に来てくれています。父親は、アメリカに新しい家族を作って出ていってしまいました。学校では、母親の病気がもとで、いじめられています。唯一コナーを気遣う幼なじみのリリーとも不仲になり、孤立してしまうコナー。

そんな時、夜中過ぎにコナーの目の前にやって来たモンスターはこう言います。「これから三つの物語を聞かせる、私がその三つの物語を語り終えた時、お前が四つ目の物語を私に聞かせるのだ。そして、それはコナーが隠している真実でなければならない。お前は真実を語る、そのために、お前は私を呼び出したのだ。」と。

投薬を変えても病状が良くならない母親は入院することになり、コナーはおばあちゃんの家に預けられます。12時7分、闇の中で待つモンスターが最初の物語を語り始めます。

いじめがエスカレートし、学校の先生からも腫れ物に触るように扱われるコナー。急きょ、アメリカから帰国する父親。日に日に悪化する母の病状。

時計が12時7分を指すとき、第二、第三の物語が語られます。コナーは、四つ目の真実の物語を語ることが出来るのでしょうか。また、12時7分には、どんな意味があるのでしょうか。

佐藤勝利・山内圭哉ら、実力派キャストが集結「ダークファンタジーの良さが詰まった作品に」

コナー役を務めるのは、Sexy Zoneとしてのアーティスト活動はもちろん、舞台『Endless SHOCK』や映画『ハルチカ』、ドラマ『赤いナースコール』など俳優としての活躍もめざましい佐藤勝利さん。少年のような純真さと、儚い空気を纏う佐藤さんが孤独なコナーをどう演じるのか、期待が高まります。

コナーの前に現れるモンスター役は、『セールスマンの死』、『世界は笑う』、『歌妖曲~中川大志之丞変化~』、『パラサイト』、ケムリ研究室no.3『眠くなっちゃった』など数々の舞台作品で活躍するほか、ドラマ・映画界においても欠かせない存在である山内圭哉さん。コナーをどのような物語に導くのでしょうか。

また、期癌を患っている母親役は瀬奈じゅんさん、コナーと離れて暮らす父親役には葛󠄀山信吾さん、母親の入院中にコナーの面倒を見ることになる祖母役は銀粉蝶さんと、実力派キャストが集結しました。

コナー役の佐藤勝利さんは本作の出演に際し、次のようにコメントしています。

「情報解禁の今日、実は僕の誕生日なので、記念日に発表できるなんて嬉しいです(笑)。
海外の方々との作品創りは初めてで、演出の仕方もきっと違うと思いますし、刺激的な日々になると思いますので、楽しみです。今までに経験したことのない、思いもよらないリクエストやアドバイスをいただけると思うと、ワクワクします。サリーさんが演出されたイギリスのオリジナル版の舞台映像を拝見した時に感じた海外作品っぽさ、それと同時に感じた再現することの難しさ。今までにないことに、挑戦できることを楽しみにしています。
実はこの作品は、2020年に上演される予定で、お話も伺っていました。原作や台本も読んでいて、このような作品に出られるなんて光栄だと思っていたところ、残念ながら、コロナ禍となり発表されることもなく延期となってしまっていました。この4年の間に自分の経験値も期待値も上がっていて……、それと比例するようにプレッシャーも大きくなってはいます。ただ、そのプレッシャーをいい作品にするエネルギーに変えてがんばりたいです!
今日で、また1つ歳も重ね、コナーという役の13歳とはまた離れてしまったのですが、僕はデビュー当時からあまり顔が変わっていないと言われることがあるので(笑)、見た目的には心配ないのかなと思っています。今までで演じた中でも一番若い役ですが、『ブライトン・ビーチ回顧録』で14歳の役をやっているので、その経験を活かしながら創り上げたいと思います。
家族愛を描いた作品で、コナーは特に心の動きが大きい役です。セットの仕掛けなどワクワクするところも多く、ダークファンタジーの良さが詰まった作品になると思いますので、楽しみにしていてください!」

舞台『モンスター・コールズ』は、2024年2月10日(土)から3月3日(日)まで東京・PARCO劇場、3月8日(金)より17日(日)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて上演。チケットの詳細は公式HPをご確認ください。

Yurika

記念すべき誕生日に発表という素晴らしいタイミングに!ファンの皆さんへのプレゼントですね。日本で初演出となるサリー・クックソン氏の演出も楽しみです。