劇団四季出身で現在も数々のミュージカルや演劇作品に出演する福井晶一さんと坂元健児さんが、コンサートツアー『Cross RoadⅡ~10年の時を超えて~』を開催。初日の2月3日、福井さんの地元である旭川の公演に行ってきました。盛りだくさんの内容だった旭川会場のレポートをお届けします!※ネタバレ注意
福井晶一×坂元健児10年ぶりのコンサートツアー!演奏担当は宮﨑誠
福井晶一さんは劇団四季時代に『キャッツ』や『ライオンキング』など多くの作品に出演。退団後は『レ・ミゼラブル』『ジャージー・ボーイズ』などのミュージカル作品に出演し、低音の痺れる声で観客を魅了。2023年には初出演となったテレビドラマ『トクメイ!警視庁特別会計係』でキーパーソンとなる警視庁長官官房長役を演じています。
一方、坂元健児さんは劇団四季時代に『ライオンキング』で初代シンバを演じ、バキバキの筋肉とパワーのある声量で脚光を浴びました。退団後は『レ・ミゼラブル』『マリー・アントワネット』などに出演し、テレビ番組の『THEカラオケ★バトル』ではミュージカル界代表として参戦。ミュージカルに詳しくない方も、この番組で坂元さんの歌声を知った方は多いのではないでしょうか。
今回のコンサートで演奏を担当したのは、エレクトーン奏者の宮﨑誠さん。劇団四季の音楽やKinKi Kids、SMAPなどの有名アーティスト曲を手がけ、ミュージカル界でも有名な音楽家です。福井さんと坂元さんは劇団四季時代から20年以上の付き合いで、2014年にもコンサートツアー『Cross Road~2つの旅が出会う時~』を開催。同じく宮﨑さんも2014年のツアーの演奏を担当しており、3人が10年ぶりに同じステージで集結しました。
初の旭川凱旋コンサート!アットホームな会場で圧巻の声量
福井さんにとって初めての凱旋コンサートとなった旭川公演。福井さんご本人はもちろんのこと、劇団四季時代から応援してきたファンや地元の方々にとっても感慨深かったのではないでしょうか。
会場は旭川駅からバスで5分ほどの場所にあるCoCoDeホール(旭川市市民活動交流センター)。当初180席ほどだった予定を20席ほど増席、それも完売したとのことでした。
ステージ上の出演者との距離が近く感じられ、トーク中はアットホームな雰囲気で進行。しかし歌い始めると圧巻の声量と歌唱力の素晴らしさに鳥肌が立ち、この距離感で味わえることの贅沢さを実感しました。
坂元さんがトークで笑いを誘い観客の心を掴みつつも、主役の福井さんを「旭川のスター」と紹介する場面はお二人の素敵な関係性を感じて温かい気持ちに。また福井さんがひとつひとつ気持ちを込めて話す楽曲のエピソードは、今までとても大事に歌ってきたことが伝わり心に染みました。
王道のディズニーソングやレミゼソングで魅了!真冬の旭川で熱唱した「アンダー・ザ・シー」
『Cross RoadⅡ~10年の時を超えて~』の旭川公演では、劇団四季作品やディズニーソングなどなじみのある楽曲が中心に披露されました。ミュージカル慣れしている方が少なく、子どもも観に来るため他の会場と少しセットリストを変えたとのこと。多くの方に楽しんでもらいたいという気遣いが伝わり、とても盛り上がったコンサートとなりました。
開演時刻になり、客席横の入口から黒のジャケット姿で登場しステージに上がった福井さん、坂元さん、宮﨑さん。オープニングは福井さんと坂元さんでミュージカル『ライオンキング』より「サークル・オブ・ライフ」を熱唱。出演していた時代は違うものの、父親のムファサと息子シンバを演じた2人が揃い迫力のある幕開けでした。
ソロの楽曲として福井さんが歌ったのは、友人で3年前に亡くなった脚本家の本田誠人さんが福井さんのために書き下ろした「フルスイング」。福井さんがラジオ出演するきっかけで本田さんが野球ネタの会話劇を作成、そこにシンガーソングライターの井上侑さんが曲をつけて完成させた楽曲です。グラウンドの光景が浮かぶような歌詞とセリフ、心にそっと触れるような優しく切ないメロディに胸が熱くなりました。
一方、選曲を後悔したという坂元さんは『リトルマーメイド』より「アンダー・ザ・シー」を披露。公演日の早朝に-19℃を観測した旭川で「アンダー・ザ・シー」が聴けたことは、とても貴重で楽しい経験となりました。ステージ上を動き回る坂元さんのパワフルな歌声とノリの良い楽曲に、観客も手拍子で大盛り上がり。ミュージカルを観ている時のような興奮で、この日の楽曲の中で一番体が熱くなりました。
福井さんの低音と坂元さんの高音のハーモニーが素晴らしかったのは、『アナと雪の女王』の「レット・イット・ゴー~ありのままで~」、ミュージカル『レ・ミゼラブル』の「民衆の歌」。この2曲は響き渡る歌声に鳥肌が立ち、感無量です。『レ・ミゼラブル』が大好きで坂元さんの演じるアンジョルラスを観たことがなかった筆者にとって、サプライズのプレゼントをもらったような時間でした。
心に染みる中島みゆき・さだまさしの名曲をカバー
本公演ではディズニーソングやミュージカルソング以外にカバー曲も披露。坂元さんはソロで中島みゆきさんの「誕生」をしっとりと歌いあげます。最初のフレーズですでに涙が溢れそうになり、寂しさや孤独感を思い出すようなメロディが坂元さんの歌声によって心の奥深くまで染み渡るようでした。
その後福井さんと2人でさだまさしさんの「案山子」を歌唱。時代を超えて受け継がれる名曲はいつ聴いても心が洗われますが、歌唱力の素晴らしい2人のハーモニーはとても心地良く想像以上の感動で満たされます。この他にも同じ旭川出身で福井さんが憧れているという玉置浩二さんの「あの頃へ」や、恒例となっているゆずの「栄光の架橋」も熱唱。アンコールは手拍子と歓声に包まれながら、『ジャージー・ボーイズ』より「君の瞳に恋してる」を披露し、大盛り上がりでエンディングを迎えました。
今回紹介した曲以外にもミュージカルソングやディズニーソングなどが盛り込まれており、旭川で初めてミュージカル俳優のコンサートを観たという方も楽しめたのではないでしょうか。
『Cross RoadⅡ~10年の時を超えて~』は今回の旭川公演に続き、2月17日に有楽町I’M A SHOWでの東京公演が終了。2月24日には名古屋公演が新栄シャングリラにて開催されます。
休憩時間15分を挟んだ約2時間のコンサート。福井さんが何度も何度も感謝の気持ちを伝えていたのが印象的でした。また旭川で福井さんのコンサートが開催されるのを楽しみにしています。