演劇ユニット「TEAM NACS」のリーダー森崎博之さんが農業をテーマに、歌、芝居、料理、イリュージョンを織り交ぜたエンタメショーを行う『AGRIman SHOW for AGRIman』。2月12日(水)から北海道内各地を巡る北海道ツアーを前に、開幕直前 取材会を実施。取材会後は、森崎さん特製のクリームシチューが振る舞われました。
「農業に光を当てたい」思いを胸に
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2023年に、TEAM NACSのソロプロジェクト「TEAM NACS Solo Project 5D2 -FIVE DIMENSIONS II-」として東京・大阪・札幌で上演された『Hiroyuki Morisaki AGRIman SHOW』。
全編、農業・酪農について一人芝居やイリュージョンを交えて語る“日本一愉快な農業ショー”を銘打った本作は大好評で、TEAM NACSで20年間を共にしてきたアミューズの大里会長から「お前を観てきた20年間の中でこれが一番面白かった!全国の農業がある地域を全部回ってこい!」と太鼓判が押されたそう。
森崎さんは「TEAM NACSで頑張ってきたのは何だったのかと思うくらい絶賛してくれた」と笑いながらも、「私、北海道で17年間、農業番組を務めております。『あぐり王国北海道NEXT』という番組で、もう770回放送しています。私を応援してくださった北海道への感謝がありますので、まずは北海道ツアーを行うことにしました。北海道ツアーが終わったら、たとえば東北や九州、農業地のあるところにはどこへでも出かけたい」と意気込みます。
物価高による野菜の高騰や、後継者不足、高齢化などが日々ニュースとなる農業。しかし森崎さんは「どんな業界だって後継者不足や円安のあおりを受けている。でも、次の世代に向けて、ちゃんと農業の明るいところを紹介しないとならないと僕は思っています。農家さんは、みんなに喜んでもらえる食べ物を作っている素晴らしい仕事だし、ちゃんとお仕事として稼げる仕事です。農業に光を当てたい。私今53歳ですけど、大きくなったら太陽になりたいなと思っているんですよ(笑)。自分がそういう存在になっていきたいし、『AGRIman SHOW』もそうです。観てくれた農家さんや、農業さんのお子さんに、うちの仕事はかっこいいんだ、面白いんだと思ってもらいたいし、一般消費者の方にも、やっぱり食べることって凄く大事だし、もっと感謝をして食べようと思ってもらいたい」とユーモアを交えつつ、熱い思いを語りました。
新作の一人芝居は、トマト生産者の実話から
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今作では前作からパワーアップし、1本の新作芝居を用意。『あぐり王国北海道NEXT』で出会ったトマト生産者の実話を、森崎さん自身が脚本・演出し、一人芝居を行います。
トマト嫌いな小学5年生の子どもたち4人をトマト生産者に連れて行ったところ、トマトを食べて「自分の知っているトマトと違う、これは甘くて美味しい」と感動しただけでなく、1人のお子さんが「嫌いを好きに変える農業ってかっこいい」と言い、農業高校に入り、酪農大学で農業経済と経営を学び、トマト生産者さんのいる町の農協職員になったのだそう。そして今では、農協職員としてトマトやトマトジュースの販売責任者を務めているのだと言います。
森崎さんは「17年間もやっていると、こんな宝物のようなエピソードがあるんです。『AGRIman SHOW』ではそれを余すところなくお伝えしたい」と熱弁します。
芝居の脚本は昨年から時間をかけて執筆してきたそうで、「TEAM NACSでは遠慮のない4人から地獄のようなダメ出しがきて、泣きながら書くんですけれども(笑)。今回は1人なので、北海道の事務所で演劇経験者のスタッフに手伝ってもらいながら書いています。100点がない世界なので、難しいですね。大泉だったらなんて言うかな、安田だったら何も言わないけどどんな顔しているかなとか、考えたりしています」と語ります。
公演に関してTEAM NACSのメンバーからは何も声をかけられず、前作では誰も観にこなかったそうですが、「みんな忙しいですから。前回は(ソロ企画で)5人それぞれが好き勝手やるということでしたし、TEAM NACSとは違うものをやりたいとみんな思っていたはずです」と個性を尊重し合うTEAM NACSらしさが伺えました。
根室のGLAYになります!!
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北海道では『あぐり王国北海道NEXT』の他、講演会などにも積極的に赴き、「北海道の農業応援団長」を名乗る森崎さん。「ゆくゆくは日本の農業応援団長になれたら。農業だけじゃなく、全ての第一次産業を応援させてもらえるような、そんな存在になれたらいいなと思っています。目標です」と思いを語ります。
北海道ツアーについては「注目は根室ですね。根室人口2万2000人、この町で1000人のお客さんに来てもらいます。札幌で考えたら人口比で言うと、札幌で10万人集めたことになります。もうGLAY!私、根室のGLAYになります!!(笑)稚内も1300人の会場です。羽田から毎日直行便が出ていますから、稚内どうですか?最北端、運が良ければ流氷に乗ったアザラシが見えます!」とアピールしました。
会見の締めくくりには、「農業のショーではありますが、我々全員が関与している食べることへの感謝のショーです。観た日から、まるで凄く良い調味料をお渡ししたように、食べ物が美味しくなると思います。なぜなら食べるものというのは、「ながら食べ」で美味しくなるからです。ながら食べというのは、知りながら・感謝しながら・応援しながら食べる。そうしたら、食べるものがどんどん美味しくなっていきます。どうぞ北海道ツアーにいらしてください」とメッセージを贈られました。
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会見後は2021年末に牛乳廃棄問題が話題になった際にTwitter上でも公開した、コンソメなどを使わずに牛乳だけで作るシチューをメディア陣に振舞いました。北海道の牛乳と、雪の中で甘みを増したにんじんなどの野菜が入った特製シチューは、寒い冬に身体に優しく染み渡ります。ショー当日には、牛乳が増えたり、他の液体が牛乳になったりするイリュージョンを交えながら料理を披露するとのこと。森崎さんご自身が1人1人にシチューをよそってくださり、森崎さんの温かな空気が会場中を包み込んだ会見となりました。
『AGRIman SHOW for AGRIman』は2025年2月12日(水)に札幌・共済ホールにて開幕。その後、旭川・北見・七飯・根室・稚内・幕別公演が行われます。公式HPはこちら
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森崎さんの明るさとユーモアを交えたトークで和やかな空気に包まれた会見。シチューを頂く会見というのは初めてで、にんじん嫌いなカメラマンも「甘くて美味しかった!」と感動していました。