シェイクスピアの名作悲劇『ハムレット』が、2026年5月に日生劇場で上演されます。主演は、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』などでも話題、本作が初めてのストレートプレイ出演となる新時代の歌舞伎俳優・市川染五郎さんです。
2026年、シェイクスピアの名悲劇が日本で開幕
『ハムレット』は、イギリスの作家であるウィリアム・シェイクスピアが1601年頃に執筆したといわれる作品。『リア王』『マクベス』『オセロ』と並ぶ四大悲劇のひとつとして知られ、400年以上の時を経てなお、世界中で上演され続けています。
物語では復讐に燃える主人公のハムレットを中心に登場人物の思惑が複雑に絡み合い、やがて悲しい結末を迎えることに。憎悪や疑念など胸の内に渦巻く感情に翻弄され、苦悩する若者の姿が他人事とは思えないからこそ、今も昔も観客の心を強く引き付けるのかもしれません。
日本でも、これまでに数々の演出家や俳優によって多彩な解釈がなされてきた歴史があります。2024年には、彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1『ハムレット』とPARCO PRODUCE 2024『ハムレットQ1』が相次いで上演され、注目を集めました。そして2026年、新たなる『ハムレット』の幕が上がります。
<あらすじ>
デンマークの王子・ハムレットは、父王の急死と、直後に母ガートルードが再婚し、叔父クローディアスが王位についたことに深く苦悩していた。ある夜、父の亡霊が現れ、自らの死はクローディアスによる毒殺だったと告げられたハムレットは、復讐を誓い、狂気を装いながら周囲の反応を探る。疑心暗鬼にさいなまれ、恋人オフィーリアや友人との関係も複雑に絡み合っていく中、彼は芝居を利用して叔父の罪を暴こうと試みるが、その行動は悲劇的な連鎖を引き起こし……。
気になるキャストは?
タイトルロールのハムレット役を演じるのは、歌舞伎俳優の市川染五郎さんです。
十代目松本幸四郎さんの息子として幼い頃より舞台に立ち、2018年1月・2月の歌舞伎座『勧進帳』源義経他で八代目市川染五郎を襲名。直近の2025年4月に、歌舞伎座「四月大歌舞伎」の『木挽町のあだ討ち』にて主演を務めました。来たる8月には、歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」で披露される新作歌舞伎『火の鳥』に坂東玉三郎さんと市川團子さんとともに出演する予定です。一方で、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』や『鬼平犯科帳』新シリーズといった映像作品にも出演し、歌舞伎界に留まることなく活躍の場を広げています。
実は、市川染五郎さんにとって『ハムレット』は縁の深い作品でもあります。というのも、1960年に祖父の二代目松本白鸚さんが、そして1987年には父の十代目松本幸四郎さんがハムレットを演じているんです。さらに幸四郎さんは、シェイクスピアの本場であるイギリスで歌舞伎版ハムレット『葉武列土倭錦絵』のロンドン公演も行いました。
3代続けてのハムレット役に選ばれた市川染五郎さんですが、ストレートプレイには初出演にして初主演。歌舞伎を素地として培ってきた実力を武器に、シェイクスピアの傑作に挑みます。
また、本作で初舞台を踏む當真あみさんが、ハムレットの恋人・オフィーリア役に。2025年7月から放送開始したドラマ『ちはやふる-めぐり-』で連続テレビドラマ初主演を果たし、10月17日には長編映画初主演となる映画『ストロベリームーン』の公開が控えています。映像作品での躍進が光る當真さんが、今度は舞台でどのような演技を見せてくれるのか楽しみです。
演出家にもご注目!
そして本作では、イギリス出身の演出家であるデヴィッド・ルヴォー氏が演出を担当します。1982年に『日陰者に照る月』にてウエスト・エンド演劇賞を受賞すると、1984年にはブロードウェイでも同作品の演出を手掛け、トニー賞にノミネート。その後、トニー賞では1993年の『アンナ・クリスティ』でベスト・リバイバル作品賞を、2003年のブロードウェイミュージカル『NINE』でベスト・ミュージカル・リバイバル賞を含む2部門を受賞しました。他にも『ザ・リアル・シング』や『屋根の上のヴァイオリン弾き』など、数々の話題作を手掛けています。
また、シェイクスピアに関していえば2007年に『シラノ・ド・ベルジュラック』、2013年にブロードウェイ版『ロミオとジュリエット』の演出も務めました。
日本での活動歴は1988年の初来日までさかのぼり、これまで宮沢りえさんや草彅剛さん、中谷美紀さん、井上芳雄さんといった日本人俳優と舞台を創り上げてきました。また、2016年には近松門左衛門の人形浄瑠璃作品をベースとした舞台『ETERNAL CHIKAMATSU ―近松門左衛門「心中天網島」より―』を演出。ちなみに、この作品には歌舞伎俳優の中村七之助さんが出演していました。
このようにシェイクスピア劇にも日本の伝統文化にも深く関わってきたデヴィッド・ルヴォーだからこそ、才気あふれる主役とヒロイン役とともに新しい『ハムレット』の世界に連れて行ってくれるのではないでしょうか。
舞台『ハムレット』は2026年5月に東京の日生劇場、6月に大阪のSkyシアターMBSにて上演されます。このほか愛知公演も行われる予定です。詳細や続報に関しては公式HPをご確認ください。

あの有名な『ハムレット』の物語に実力派の演出家とフレッシュなキャストによるカンパニーがどうアプローチしていくのか、期待せずにはいられません!今後の配役発表もワクワクしながら待ちたいところです。