2026年、上田一豪さんが脚本・演出を手掛ける「劇団TipTap」が設立20周年を迎えます。その記念すべきアニバーサリーイヤーの幕開けに選ばれたのが、2023年の初演時に高い評価を得たミュージカル『星の数ほど夜を数えて』です。再演でさらに深まる物語の魅力とキャストについてご紹介します。
劇団TipTapとは?
劇団TipTapは、2006年に早稲田大学ミュージカル研究会のOB・OGを中心に結成された劇団です。脚本・演出の上田一豪さんを中心に、一貫して「観る人、演る人が隔てなく一つの感動を共有する」オリジナルミュージカルにこだわり続けてきました。
2009年以降、上田さんとプロデューサー柴田麻衣子さんによるプロデュース形式で活動。これまでに『Count Down My Life』が、2013年ニューヨーク国際フリンジフェスティバルの海外招聘作品としてニューヨークTheatre80で上演され、アンサンブル賞を受賞するなど、作品の海外発信も評価を集めています。
小劇場ならではの空気感を活かして、観客の日常に寄り添い、人生の悲喜こもごもを温かく照らし出す作品は、多くのファンを生んできました。20周年という節目は、彼らが積み上げてきた「物語の力」を改めて証明する機会となるはずです。
認知症の妻と、人生の終わりに向けて歩き始める
『星の数ほど夜を数えて』は、認知症を患った妻と、彼女を支える夫の姿を描いた物語です。当たり前だった日常が、病によって少しずつ崩れていく現実。戸惑う妻と、それを見守ることしかできない夫の葛藤は、観る者の胸を強く締め付けます。
しかし本作は絶望だけを描く作品ではありません。失われていく記憶の中から「今この瞬間」にある愛を数え直していくプロセスが描かれます。夫婦は限りある時間をどのように過ごし、どのように人生の終わりに向けて準備していくのでしょうか。
上田さんの脚本は認知症という重いテーマを扱いながらも、そこにある「個人の尊厳」や「夫婦の歴史」を肯定してくれます。⼩澤時史さんが手掛け、アンサンブルが奏でる音楽も、言葉にならない感情を代弁し、観客を感動へと誘ってくれるはずです。誰もがいつか直面する「老い」と「別れ」、それらを越えて残る「愛」を、深く味わってみませんか?
【あらすじ】
大学の天文サークルで出会った夫婦。
娘も自立し、仕事をリタイアして悠々自適の老後を送ろうとしていた矢先。
妻が認知症だと診断される。
薄れていく記憶の中、妻は夫にあるお願いをする。
夫はその願いを叶えることができるのか。
愛する妻と人生の終わりに向かって歩き始めた夫。
二人が選び取る幸せとは?
オリジナルキャストと新キャストが生み出すシナジー
再演における最大のトピックは、実力派俳優たちが集結したWキャスト編成です。★チームとして今井清隆さん、⽩⽊美貴⼦さん、⾳くり寿さん、内藤⼤希さん、⽯⽥佳名⼦さん。☆チームとして宮川浩さん、⼟居裕⼦さん、敷村珠⼣さん、⽵内將⼈さん、⽥宮華苗さんが出演します。
まず、初演で圧倒的な存在感を見せ、観客を魅了したオリジナルキャスト陣が再集結します。特に注目なのが今井清隆さんと⽩⽊美貴⼦さん。初演を経て、さらに深化した夫婦像を演じる予定です。今井さんの包容力ある歌声と、⽩⽊さんの自然な「老い」の表現力。世界観に観客をどっぷり没入させたコンビに、今回も期待が高まりますね!
新キャスト陣が作品にどのような新しい息吹を吹き込むのかも見逃せません。Wキャスト編成によって、物語に異なる角度からの光が当たるかもしれません。キャストの組み合わせが変われば、夫婦の距離感や言葉の重みも変わる。これこそが舞台演劇の醍醐味であり、劇団TipTapの「進化」なのではとワクワクしています。
ミュージカル『星の数ほど夜を数えて』は、2026年3⽉5⽇(⽊)から15⽇(⽇)まで、すみだパークシアター倉にて上演予定です。公式サイトから公演の詳細などをご確認いただけます。
20年という歳月をかけて、彼らが磨き上げてきた「日本発オリジナル」の矜持が、本作に凝縮されていると感じます。『星の数ほど夜を数えて』を鑑賞し、劇場を出ると、自分の隣にいる人や、遠く離れた家族の顔が思い浮かび、何気ない会話の尊さに気づかされることでしょう。


















